Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した1971年度のカカオ豆生産量ランキングによると、1位はガーナ(470,000トン)、2位はナイジェリア(256,600トン)、3位はコートジボワール(225,814トン)となっています。これらの上位3カ国は、世界全体のカカオ豆生産量の大部分を占めており、西アフリカ地域がこの産業の中心地であることが明らかです。一方、ランキング下位の各国は生産規模が小さく、分布はアフリカ、中南米、アジア太平洋地域に広がっていることが確認できます。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アフリカ | 470,000 |
| 2 |
|
アフリカ | 256,600 |
| 3 |
|
アフリカ | 225,814 |
| 4 |
|
南アメリカ | 218,701 |
| 5 |
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アフリカ | 138,775 |
| 6 |
|
南アメリカ | 70,806 |
| 7 |
|
南アメリカ | 32,470 |
| 8 |
|
オセアニア | 29,100 |
| 9 |
|
アフリカ | 29,000 |
| 10 |
|
南アメリカ | 26,145 |
| 11 |
|
アフリカ | 22,000 |
| 12 |
|
南アメリカ | 21,000 |
| 13 |
|
南アメリカ | 19,413 |
| 14 |
|
アフリカ | 11,034 |
| 15 |
|
南アメリカ | 7,300 |
| 16 |
|
アフリカ | 6,300 |
| 17 |
|
アフリカ | 5,031 |
| 18 |
|
アフリカ | 4,770 |
| 19 |
|
アジア | 4,500 |
| 20 |
|
南アメリカ | 3,767 |
| 21 |
|
アジア | 3,600 |
| 22 |
|
オセアニア | 3,100 |
| 23 |
|
南アメリカ | 3,100 |
| 24 |
|
南アメリカ | 2,866 |
| 25 |
|
アフリカ | 2,642 |
| 26 |
|
アジア | 2,200 |
| 27 |
|
南アメリカ | 2,173 |
| 28 |
|
アフリカ | 2,026 |
| 29 |
|
アジア | 2,009 |
| 30 |
|
アフリカ | 2,000 |
| 31 |
|
南アメリカ | 1,872 |
| 32 |
|
南アメリカ | 1,750 |
| 33 |
|
南アメリカ | 1,353 |
| 34 |
|
アフリカ | 1,040 |
| 35 |
|
南アメリカ | 700 |
| 36 |
|
南アメリカ | 600 |
| 37 |
|
南アメリカ | 530 |
| 38 |
|
アフリカ | 516 |
| 39 |
|
アフリカ | 500 |
| 40 |
|
オセアニア | 300 |
| 41 |
|
南アメリカ | 300 |
| 42 |
|
南アメリカ | 206 |
| 43 |
|
アフリカ | 145 |
| 44 |
|
オセアニア | 119 |
| 45 |
|
南アメリカ | 100 |
| 46 |
|
南アメリカ | 100 |
| 47 |
|
南アメリカ | 100 |
| 48 |
|
南アメリカ | 100 |
| 49 |
|
南アメリカ | 83 |
| 50 |
|
オセアニア | 80 |
| 51 |
|
南アメリカ | 31 |
| 52 |
|
アフリカ | 30 |
| 53 |
|
アジア | 20 |
| 54 |
|
南アメリカ | 20 |
| 55 |
|
アフリカ | 16 |
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1971年のデータをもとにカカオ豆生産量を分析すると、世界におけるカカオ生産の拠点が圧倒的に西アフリカ地域に集中している現状が浮き彫りになります。特にガーナ、ナイジェリア、コートジボワールの3カ国が全体の生産量を牽引しており、その理由としては、気候条件がカカオの栽培に適していることや、労働力の確保、さらに伝統的な農業技術が根付いていることが挙げられます。これらの国々ではカカオ栽培が経済を支える重要な柱であり、主要な輸出品となっています。
一方、南米のブラジルやエクアドル、中米のドミニカ共和国なども上位にランクインしており、こちらは主に中小規模農家による伝統的な栽培と森林の自然を活用した生産が特徴です。この地域では主にアロマ性の高い特定品種のカカオが生産されており、これらは高価格帯のチョコレート製品に使用される傾向があります。さらにアジア太平洋地域では生産量が少ないものの、パプアニューギニアなどが小規模ながら目立つ成果を挙げています。
しかしながら、カカオ生産においては以下の課題に目を向ける必要があります。まず、西アフリカや南米のカカオ生産地の多くでは、プランテーションで働く労働者の賃金が非常に低いという問題があります。カカオ豆が大量に輸出され経済基盤を支える一方で、利益が労働者に回らず、貧困や不平等が続いているのが現実です。また、単一作物に依存しているため、天候変動や疫病の発生によって収穫量が大幅に影響を受けるリスクもあります。
さらに1971年時点の地政学的な背景として、いくつかの生産国における政治的な不安定や内戦の勃発が進行中もしくはその影響下にあるという状況があります。こうした要因は農業労働力や物流網を阻害し、生産性の低下や輸出停滞を引き起こす可能性があります。これは将来的に国際市場の供給網の不安定化を招くリスクとして無視できません。
今後の対策としては、まず生産地の人々への収入の分配を改善することが重要です。特にフェアトレード政策の推進により、小規模農家に適正価格が支払われるようにするべきです。また、国際的な枠組みの中で、生産者が農業に対する新技術を学び活用することで収量を安定化させるための支援が必要です。同時に、気候変動に強い品種開発も大学や研究機関と連携して進めることが求められます。
加えて、地政学的な影響を最小限に食い止めるため、国際機関の介入や地域協力を強化することが解決策となりうるでしょう。たとえば、物流網の確保や紛争地域への人的支援の枠組みの構築が必要です。
最後に、カカオ豆はチョコレート産業に不可欠な原材料であるため、世界需要の増加も予想される状況下において、その供給体制を安定させることが重要になります。日本やアメリカ、ヨーロッパ諸国におけるチョコレート消費が拡大しており、生産国との双方向の持続可能なパートナーシップが今後の鍵となるでしょう。これは単なる経済的な側面のみならず、環境や社会に配慮した持続可能な世界を作り上げるための方向性ともいえます。