国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した1992年度のカカオ豆生産量ランキングによると、世界最大の生産国はコートジボワールで、生産量は813,009トンとなっています。2位のブラジル(328,518トン)、3位のガーナ(312,122トン)を大きく引き離し、同国が全世界のカカオ豆供給において圧倒的な役割を果たしていることがわかります。アフリカ諸国が上位を占める一方で、東南アジアや南米地域も一定の比重を持っています。このような地理的分布は、栽培に適した熱帯地域がカカオ豆生産の中心であることを反映しています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アフリカ | 813,009 |
| 2 |
|
南アメリカ | 328,518 |
| 3 |
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アフリカ | 312,122 |
| 4 |
|
アフリカ | 292,000 |
| 5 |
|
アジア | 220,000 |
| 6 |
|
アジア | 207,147 |
| 7 |
|
アフリカ | 97,835 |
| 8 |
|
南アメリカ | 93,999 |
| 9 |
|
南アメリカ | 54,857 |
| 10 |
|
南アメリカ | 50,376 |
| 11 |
|
南アメリカ | 43,673 |
| 12 |
|
オセアニア | 37,294 |
| 13 |
|
南アメリカ | 17,100 |
| 14 |
|
南アメリカ | 15,000 |
| 15 |
|
アジア | 7,537 |
| 16 |
|
アフリカ | 7,361 |
| 17 |
|
アジア | 6,000 |
| 18 |
|
アフリカ | 6,000 |
| 19 |
|
アジア | 5,733 |
| 20 |
|
アフリカ | 5,400 |
| 21 |
|
アフリカ | 4,298 |
| 22 |
|
アフリカ | 4,188 |
| 23 |
|
オセアニア | 4,159 |
| 24 |
|
アフリカ | 4,000 |
| 25 |
|
南アメリカ | 3,545 |
| 26 |
|
南アメリカ | 3,000 |
| 27 |
|
南アメリカ | 3,000 |
| 28 |
|
南アメリカ | 3,000 |
| 29 |
|
アフリカ | 2,925 |
| 30 |
|
南アメリカ | 2,800 |
| 31 |
|
南アメリカ | 2,700 |
| 32 |
|
南アメリカ | 2,478 |
| 33 |
|
アフリカ | 2,302 |
| 34 |
|
アフリカ | 2,263 |
| 35 |
|
アフリカ | 1,980 |
| 36 |
|
オセアニア | 1,357 |
| 37 |
|
南アメリカ | 1,355 |
| 38 |
|
アフリカ | 1,200 |
| 39 |
|
南アメリカ | 1,139 |
| 40 |
|
オセアニア | 1,000 |
| 41 |
|
南アメリカ | 592 |
| 42 |
|
アフリカ | 460 |
| 43 |
|
アジア | 400 |
| 44 |
|
南アメリカ | 400 |
| 45 |
|
オセアニア | 327 |
| 46 |
|
南アメリカ | 260 |
| 47 |
|
アフリカ | 200 |
| 48 |
|
南アメリカ | 175 |
| 49 |
|
南アメリカ | 143 |
| 50 |
|
南アメリカ | 139 |
| 51 |
|
南アメリカ | 100 |
| 52 |
|
南アメリカ | 60 |
| 53 |
|
アフリカ | 50 |
| 54 |
|
アジア | 29 |
| 55 |
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アフリカ | 22 |
| 56 |
|
南アメリカ | 21 |
| 57 |
|
南アメリカ | 3 |
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カカオ豆は主にトロピカルな気候条件で栽培され、特にアフリカ、ラテンアメリカ、東南アジアがその生産地として重要な地位を占めています。1992年度のデータを見ると、全世界のカカオ豆生産量を主に支えるのはアフリカ大陸と南米地域であることが明白です。1位のコートジボワールは813,009トンを生産し、全世界のカカオ豆生産量において最も重要なプレイヤーです。2位のブラジル、3位のガーナ、4位のナイジェリアもそれぞれ30万トン以上を生産しており、これらの国々が世界市場への供給を支えています。
このランキングから明らかになるもう一つの重要なポイントは、カカオ豆の生産が一部の国々に極端に集中していることです。コートジボワール一国だけでこの年の世界生産量の大部分を占めており、これは供給の安定性に関する懸念を引き起こします。仮にこの地域で自然災害や政治的不安定が発生した場合、カカオを原料とした製品、特にチョコレート産業に大きな影響が及ぶ可能性があります。
地政学的な視点から見ると、カカオ豆生産量の上位を占めるアフリカ諸国は、しばしば経済的・政治的課題や労働環境の問題に直面しています。これには児童労働や労働者の権利に関する問題、未整備なサプライチェーンが含まれます。特にカカオ豆の最大生産国であるコートジボワールでは、これらの課題が経済発展へのブレーキとなっている可能性が指摘されています。これらの問題に対応するためには、国際機関やNGO、輸入企業による協調的な取り組みが必要です。たとえば、持続可能性認証制度の普及や利益還元型の貿易モデルの導入が有効な解決策となるでしょう。
また、このランキングでは東南アジアの国々、具体的にはマレーシアとインドネシアが上位に入っている点も興味深いです。これらの国々は過去数十年でカカオ豆生産を拡大させており、現在もその生産能力を向上させています。この傾向は、新しい栽培技術の導入や政府支援プログラムの強化によるものであり、南米とアフリカへの依存を緩和する役割を果たしています。一方で、この地域では森林伐採に伴う環境問題が懸念されています。持続可能な農業技術の導入が、環境保全と生産性向上の両立に向けた鍵となるでしょう。
また、カカオ豆生産においては、収量の低い国々の状況にも目を向ける必要があります。ランキング下位の国々、例えばフィジーやエルサルバドルなどは、1,000トン未満の生産量にとどまっています。これらの小規模生産国では、地域の気象条件や技術的支援の不足が生産の制約となっています。地域間協力を深め、品質向上やマーケティングの支援を行うことで、これらの国々を国際市場に効果的に組み込むことができるかもしれません。
今後、カカオ業界全体で改善を図るべき課題は大きく3つあります。まず、主要生産国の労働環境を向上させることです。特に児童労働禁止や適正賃金の支払いを徹底することが重要です。次に、生産地の多様化を進めること。これによって市場リスクの分散が進み、供給の安定性が向上するでしょう。そして最後に、持続可能な農業技術の導入です。これは気候変動の影響を軽減し、生産効率の向上にも寄与します。
したがって、今回のデータが示すように、カカオ豆は少数の国々に極度に依存しており、多くの課題を抱えています。しかし、適切な政策を講じることで、長期的な食品供給の安定や持続可能な経済発展を実現することが可能です。国際機関や地域ごとの協力が、これらの目標を達成するための鍵となるでしょう。