国連食糧農業機関(FAO)が発表した1993年の世界のカカオ豆生産量ランキングによると、最も多く生産していたのはコートジボワール(803,799トン)で、世界生産量のトップを占めました。これにブラジル(340,885トン)とナイジェリア(306,000トン)が続き、アフリカや南米の国々が上位を占めています。インドネシア(258,059トン)がアジアから唯一トップ5に入り、地域間での分布に大きな差が見られることが特徴です。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アフリカ | 803,799 |
| 2 |
|
南アメリカ | 340,885 |
| 3 |
|
アフリカ | 306,000 |
| 4 |
|
アジア | 258,059 |
| 5 |
|
アフリカ | 254,652 |
| 6 |
|
アジア | 200,000 |
| 7 |
|
アフリカ | 99,000 |
| 8 |
|
南アメリカ | 82,729 |
| 9 |
|
南アメリカ | 57,472 |
| 10 |
|
南アメリカ | 53,986 |
| 11 |
|
南アメリカ | 53,980 |
| 12 |
|
オセアニア | 35,735 |
| 13 |
|
南アメリカ | 16,080 |
| 14 |
|
南アメリカ | 14,970 |
| 15 |
|
アジア | 7,707 |
| 16 |
|
アフリカ | 7,453 |
| 17 |
|
アフリカ | 7,200 |
| 18 |
|
アジア | 6,000 |
| 19 |
|
アフリカ | 5,400 |
| 20 |
|
南アメリカ | 5,000 |
| 21 |
|
アフリカ | 4,500 |
| 22 |
|
アフリカ | 4,492 |
| 23 |
|
アフリカ | 3,968 |
| 24 |
|
南アメリカ | 3,710 |
| 25 |
|
南アメリカ | 3,656 |
| 26 |
|
アジア | 3,400 |
| 27 |
|
オセアニア | 3,297 |
| 28 |
|
アフリカ | 2,957 |
| 29 |
|
南アメリカ | 2,800 |
| 30 |
|
南アメリカ | 2,544 |
| 31 |
|
南アメリカ | 2,522 |
| 32 |
|
アフリカ | 2,341 |
| 33 |
|
オセアニア | 2,118 |
| 34 |
|
アフリカ | 2,000 |
| 35 |
|
アフリカ | 1,966 |
| 36 |
|
南アメリカ | 1,800 |
| 37 |
|
南アメリカ | 1,778 |
| 38 |
|
南アメリカ | 1,598 |
| 39 |
|
アフリカ | 1,500 |
| 40 |
|
南アメリカ | 551 |
| 41 |
|
オセアニア | 485 |
| 42 |
|
アジア | 400 |
| 43 |
|
アフリカ | 310 |
| 44 |
|
南アメリカ | 260 |
| 45 |
|
南アメリカ | 200 |
| 46 |
|
アフリカ | 200 |
| 47 |
|
南アメリカ | 180 |
| 48 |
|
オセアニア | 152 |
| 49 |
|
南アメリカ | 106 |
| 50 |
|
南アメリカ | 105 |
| 51 |
|
南アメリカ | 72 |
| 52 |
|
南アメリカ | 69 |
| 53 |
|
アフリカ | 55 |
| 54 |
|
アジア | 32 |
| 55 |
|
南アメリカ | 30 |
| 56 |
|
アフリカ | 23 |
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カカオ豆はチョコレートの原料として広く知られるだけでなく、主要な農産物として多くの国の経済にとっても重要な役割を果たしています。1993年の統計を見ると、コートジボワールが圧倒的な生産量を誇り、この年においても「カカオ大国」としての地位を示しました。この地域は赤道付近の気候条件がカカオの栽培に非常に適しており、その地理的強みを活かしています。一方で、ブラジルとナイジェリアがそれに続き、南米とアフリカがカカオ豆生産における主要な地域であることが明確に分かります。
生産量がトップ10に入っている国のほとんどは途上国であり、とりわけその経済にはカカオ生産が密接に関連しています。これらの国々ではカカオ豆の輸出が農業収入の大きな柱となっています。しかしながら、生産に依存しすぎている地域では価格変動リスクや収穫失敗による経済的ダメージが懸念されます。例えば、ガーナ(254,652トン)やマレーシア(200,000トン)は生産量こそ多いものの、自然災害や気候の変動、または国際市場の価格変動が経済の安定に影響を与える可能性があります。
アジアからはインドネシアとマレーシアがランクインしていますが、他のアジア諸国の生産量は比較的少ない傾向にあります。この差の要因として、気候適性はもちろん、栽培技術や農業政策などの違いも挙げられます。一方で、インドネシアとマレーシアの成功事例は、適切な政策支援や技術向上が生産量の増加につながることを示唆しています。これらの実例は他のカカオ生産国でも学ぶべき点が多く、特に小規模農家の支援体制が鍵となるでしょう。
カカオ豆の生産が重要である地域の多くは、政治的リスクやインフラの未整備など、非農業分野での課題も抱えています。例えば、アフリカの主要生産国では、地域紛争や治安の不安定さが生産・流通への障害となることが多々あります。これが原因で国際市場への供給が一時的に滞ると、価格の高騰だけでなく国際的な消費者への影響も出てきます。また、データには当時直接的な影響は見られませんが、現在では地球温暖化が長期的にこの産業に及ぼす影響についても議論されています。一般的にカカオ栽培には適度な気温と降雨が必要ですが、これらのバランスが崩れると将来的な生産能力が低下する可能性があります。
この産業の継続的な発展には、いくつかの具体的な対策が考えられます。第一に、カカオ農家への技術支援やインフラ整備が重要です。これにより、生産性を向上させるとともに、収入の安定性を高めることができます。また、国際市場での価格変動に対応するためには、生産国同士の協力体制を整えるのも一つの方法です。さらに、環境保全の観点からは、持続可能な農業の推進が課題となります。森林伐採を伴わない栽培手法や、気候変動に対応できる耐性作物の研究開発も急務です。
1993年のデータは、カカオ豆生産が特定の地域に集中している状況を顕著に示しており、その分布は現在も大きくは変わっていません。しかし、一部地域では気候変動や地域衝突の継続的な影響を受けやすい構造があるため、国際機関や関係政府の積極的な介入と支援が求められています。これにより、持続可能な農業の育成と国際的な供給の安定を両立させることで、各国が恩恵を享受できる持続可能なカカオ豆産業の実現が期待されます。