国際連合食糧農業機関(FAO)の2024年最新データを基にした2021年度のカカオ豆生産量ランキングによると、世界のカカオ生産はコートジボワールが圧倒的な1位を記録し、生産量は2,228,459トンでした。2位のガーナ(1,047,385トン)や3位のインドネシア(688,210トン)を大きく引き離しています。アフリカの国々が上位を占める一方、南米やアジアの国々からも一定の生産量が報告されています。しかし、生産規模の地域間格差が大きい点が特徴です。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アフリカ | 2,228,459 |
| 2 |
|
アフリカ | 1,047,385 |
| 3 |
|
アジア | 688,210 |
| 4 |
|
南アメリカ | 302,126 |
| 5 |
|
南アメリカ | 302,094 |
| 6 |
|
アフリカ | 295,000 |
| 7 |
|
アフリカ | 280,000 |
| 8 |
|
南アメリカ | 160,522 |
| 9 |
|
南アメリカ | 70,631 |
| 10 |
|
南アメリカ | 65,164 |
| 11 |
|
オセアニア | 41,900 |
| 12 |
|
アフリカ | 35,000 |
| 13 |
|
南アメリカ | 28,144 |
| 14 |
|
南アメリカ | 28,106 |
| 15 |
|
アジア | 27,000 |
| 16 |
|
アフリカ | 23,300 |
| 17 |
|
アフリカ | 22,000 |
| 18 |
|
アフリカ | 20,000 |
| 19 |
|
アフリカ | 16,000 |
| 20 |
|
アフリカ | 15,000 |
| 21 |
|
アフリカ | 14,000 |
| 22 |
|
アフリカ | 12,000 |
| 23 |
|
南アメリカ | 11,640 |
| 24 |
|
アジア | 10,000 |
| 25 |
|
アフリカ | 10,000 |
| 26 |
|
南アメリカ | 8,015 |
| 27 |
|
南アメリカ | 5,884 |
| 28 |
|
オセアニア | 5,000 |
| 29 |
|
アフリカ | 3,000 |
| 30 |
|
南アメリカ | 2,000 |
| 31 |
|
アジア | 2,000 |
| 32 |
|
オセアニア | 1,485 |
| 33 |
|
南アメリカ | 1,472 |
| 34 |
|
アジア | 1,349 |
| 35 |
|
南アメリカ | 1,000 |
| 36 |
|
南アメリカ | 1,000 |
| 37 |
|
南アメリカ | 800 |
| 38 |
|
南アメリカ | 799 |
| 39 |
|
南アメリカ | 703 |
| 40 |
|
アフリカ | 600 |
| 41 |
|
アジア | 537 |
| 42 |
|
オセアニア | 481 |
| 43 |
|
南アメリカ | 480 |
| 44 |
|
アフリカ | 452 |
| 45 |
|
南アメリカ | 390 |
| 46 |
|
南アメリカ | 311 |
| 47 |
|
南アメリカ | 300 |
| 48 |
|
南アメリカ | 230 |
| 49 |
|
アジア | 175 |
| 50 |
|
南アメリカ | 174 |
| 51 |
|
アフリカ | 136 |
| 52 |
|
アジア | 124 |
| 53 |
|
アフリカ | 100 |
| 54 |
|
オセアニア | 80 |
| 55 |
|
アフリカ | 43 |
| 56 |
|
南アメリカ | 33 |
| 57 |
|
オセアニア | 31 |
| 58 |
|
南アメリカ | 5 |
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2021年度のデータを見ると、カカオ豆の生産量においてコートジボワールが世界の約40%を占め、ガーナやインドネシアといった他国を大きく上回っています。これにより、アフリカの西部が世界的なカカオ生産の中心である状況が明確になりました。この地域は歴史的にも天然資源の輸出に依存しており、カカオ産業が現地経済にとって重要な役割を果たしています。ただし、単一の農産品に依存する経済モデルにはリスクが伴うため、多角的な産業発展への試みも必要となっています。
南米ではブラジル(302,126トン)が最大の生産国ですが、従来のトップだったガーナやインドネシアと比べるとその規模は限定的です。一方、エクアドルはブラジルとほぼ同規模の302,094トンを生産しており、高品質のカカオ品種であるアリバ・ナシオナルが世界市場で高評価を受けています。これらの国々の生産は、中南米での持続可能な農業投資や技術革新により着実に成長してきたと言えます。特に、エクアドルの成功は、高付加価値をもたらすプレミアム市場向けの開発が他国にもモデルケースを提供する可能性を示しています。
アジアに目を向けると、インドネシアが3位にランクインし、この地域では断トツの生産量(688,210トン)となっています。インドネシアのカカオ産業は、主にスラウェシ島を中心に広がっており、多くの小規模農家がその生産の中核を担っています。しかし気候変動や土壌の劣化、害虫被害といった課題が深刻化しており、持続可能な農業慣行の導入が急務です。
これらの統計から見える現状にはいくつかの課題が存在します。カカオ生産は地域の労働力や天然資源への大きな依存が特徴であり、生産国の多くは農業インフラの整備や技術の向上が不十分です。さらに、新型コロナウイルスのパンデミックが物流や市場価格に与えた影響は依然として強く、一部の生産国は経済回復に苦戦しています。また、アフリカの生産国を中心に、児童労働や労働環境の改善といった社会的問題に対応する必要性も高まっています。
未来に向けた具体的な提案として、生産国は以下を検討するべきです。一つ目は、気候変動に対応した品種改良や農法の導入です。例えば、耐乾性や害虫耐性を持つカカオ品種の研究開発を国際機関や民間企業と協力して進めることが重要です。二つ目には、透明性の高い流通経路の整備を進めることで、生産者が適正価格で製品を取引できる環境を整えることです。特に、デジタル技術を活用することでトレーサビリティを強化し、サプライチェーン全体の効率化を図るべきです。加えて、金融や教育を通じた小規模農家への支援を拡大することで、農家の自主性を高め、貧困削減にも貢献できます。
また、地政学的リスクにも目を向ける必要があります。例えば、コートジボワールやガーナといった主要生産国は政情の安定性が課題となる場合があり、紛争や社会的不安定が生産や輸出に影響を及ぼすリスクがあります。これに対応するためには、地域内外の協力関係を強化し、国際的な貿易枠組みを活用して生産国の政治・経済安定を支援することが求められます。
以上のように、2021年のカカオ豆生産量データは、世界の食糧供給と経済活動においてカカオが担う重要な役割を示しています。同時に、各国が直面する課題を解決し、持続可能な生産体制を確立することが、業界全体の発展に寄与するでしょう。国際機関や各国政府、企業が連携し、こうした課題解決に取り組むことが必要不可欠です。