1988年におけるカカオ豆生産量ランキングでは、コートジボワールが83万2,177トンで1位に輝きました。同国は全体の生産量における突出した割合を占めています。続いてブラジルが37万4,491トン、ナイジェリアが25万3,000トンで上位を構成。上位5カ国(コートジボワール、ブラジル、ナイジェリア、ガーナ、マレーシア)で世界全体のカカオ豆生産量の大部分を占めている状況が明らかです。一方で、生産量が数百トンから数十トンにとどまる小規模な生産国も多く、地域的な生産分布の偏りが見て取れます。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アフリカ | 832,177 |
| 2 |
|
南アメリカ | 374,491 |
| 3 |
|
アフリカ | 253,000 |
| 4 |
|
アフリカ | 246,700 |
| 5 |
|
アジア | 230,000 |
| 6 |
|
アフリカ | 129,400 |
| 7 |
|
南アメリカ | 85,110 |
| 8 |
|
アジア | 79,335 |
| 9 |
|
南アメリカ | 59,128 |
| 10 |
|
南アメリカ | 54,080 |
| 11 |
|
南アメリカ | 41,481 |
| 12 |
|
オセアニア | 36,000 |
| 13 |
|
アフリカ | 23,700 |
| 14 |
|
南アメリカ | 16,658 |
| 15 |
|
南アメリカ | 13,636 |
| 16 |
|
アジア | 9,092 |
| 17 |
|
アフリカ | 8,265 |
| 18 |
|
アフリカ | 8,190 |
| 19 |
|
アフリカ | 6,200 |
| 20 |
|
アジア | 6,000 |
| 21 |
|
アフリカ | 5,050 |
| 22 |
|
南アメリカ | 3,976 |
| 23 |
|
アフリカ | 3,600 |
| 24 |
|
アジア | 3,600 |
| 25 |
|
南アメリカ | 3,490 |
| 26 |
|
アフリカ | 3,000 |
| 27 |
|
南アメリカ | 2,964 |
| 28 |
|
オセアニア | 2,651 |
| 29 |
|
アフリカ | 2,500 |
| 30 |
|
南アメリカ | 2,259 |
| 31 |
|
南アメリカ | 1,990 |
| 32 |
|
アフリカ | 1,983 |
| 33 |
|
南アメリカ | 1,900 |
| 34 |
|
アフリカ | 1,802 |
| 35 |
|
南アメリカ | 1,712 |
| 36 |
|
アフリカ | 1,611 |
| 37 |
|
南アメリカ | 1,549 |
| 38 |
|
南アメリカ | 1,422 |
| 39 |
|
オセアニア | 756 |
| 40 |
|
オセアニア | 500 |
| 41 |
|
アジア | 400 |
| 42 |
|
南アメリカ | 400 |
| 43 |
|
オセアニア | 238 |
| 44 |
|
アフリカ | 224 |
| 45 |
|
南アメリカ | 200 |
| 46 |
|
南アメリカ | 171 |
| 47 |
|
南アメリカ | 160 |
| 48 |
|
南アメリカ | 120 |
| 49 |
|
アフリカ | 100 |
| 50 |
|
南アメリカ | 100 |
| 51 |
|
南アメリカ | 57 |
| 52 |
|
アフリカ | 45 |
| 53 |
|
南アメリカ | 42 |
| 54 |
|
アジア | 25 |
| 55 |
|
アフリカ | 22 |
| 56 |
|
オセアニア | 20 |
| 57 |
|
南アメリカ | 18 |
| 58 |
|
南アメリカ | 5 |
| + すべての国を見る | |||
1988年のカカオ豆生産量ランキングは、国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータを基にしており、カカオ豆生産の地理的分布とその産業的規模を深く理解するための貴重な資料となっています。最も注目すべき点は、コートジボワールが世界最大のカカオ豆生産国として、83万2,177トンを生産しているという事実です。これは、第2位のブラジルの生産量、37万4,491トンのおよそ2.2倍に相当します。このデータは、カカオ産業における西アフリカ地域の圧倒的な存在感を物語っており、特にコートジボワールおよびガーナが歴史的にこの地域のカカオ生産を牽引してきた背景が反映されています。
西アフリカ地域は、肥沃な農地と適切な気候条件を背景に、カカオ豆の主要生産国が多く集中しています。例えば、ナイジェリアとガーナは、それぞれ25万3,000トンと24万6,700トンを生産しており、同地域が世界のカカオ市場を支える重要な拠点となっていることが分かります。ただし、このようなカカオ生産の中心地においては、インフラの未整備、農産物取引の透明性の欠如、賃金不均衡などの課題も指摘されています。特に気候変動による影響が懸念されており、将来的には生産に深刻な影響を与える可能性があります。
アフリカ以外では、ブラジルとマレーシアが上位に位置しているものの、生産量においては西アフリカ諸国に比べて大差をつけられています。ブラジルは1988年時点で37万トン以上を生産しており、これは同国の農業産業におけるカカオの重要性を示唆しています。しかし、2000年代以降の「ウィッチズブルーム病」などによる生産減少への対応は、持続可能な農業技術の開発や病害虫対策の強化の必要性を訴えています。
一方で、ランキング下位の国を検討すると、東南アジアや中南米の小規模生産国が目立ちます。例えば、インドネシア(79,335トン)やエクアドル(85,110トン)は将来的に成長可能性があるものの、1988年時点ではまだ中規模の生産国にとどまっています。これらの国々が生産量を飛躍的に伸ばす鍵となるのは、労働環境改善や農業技術支援、輸出市場の開拓といった戦略的なアプローチです。
また、低位の生産国では、スリナムやグアドループのように1トン未満と極めて少ない生産量が見られます。こうした国々では、カカオ豆生産が国家の主要産業ではなく、ニッチ産業としての位置づけにある可能性が高いと言えます。逆に言えば、新興経済国や国内市場の潜在需要拡大に応じ、適切な外部支援や市場整備を進めれば、これらの国々が生産国としての可能性を広げる余地もあります。
カカオ豆生産に関連する地政学的背景も留意する必要があります。特に西アフリカ地域では、土地資源や労働力を巡る紛争がカカオ産業に影響を及ぼすリスクがあります。同様に、気候変動や自然災害が作物に与える影響も深刻であり、これらの課題に対する地域協力の枠組みを構築することが求められます。
今後、各国がカカオ産業を持続的に成長させるためには、まず技術革新を含む農業政策の改革が必要です。具体的には、生産者に対する教育機会の提供や、農作物保険の導入、小規模農家に対する低金利融資制度の普及が挙げられます。また、国際機関と連携し、貿易ネットワークを強化することも重要です。これらの施策によって、カカオ豆の生産はさらに拡大し、関係国の経済成長にも貢献することが期待されています。