2020年度のカカオ豆生産量ランキングによると、1位はコートジボワールで2,200,000トン、2位はガーナで800,000トン、3位はインドネシアで720,660トンと、アフリカと東南アジア地域の国々が大きな割合を占めています。全体の生産量の多くがこれらの上位3カ国で占められており、特にコートジボワールが圧倒的な生産力を誇っています。一方、上位と下位の生産量の差は大きく、下位の国々の現状は生産効率や経済基盤での課題を反映している可能性があります。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アフリカ | 2,200,000 |
| 2 |
|
アフリカ | 800,000 |
| 3 |
|
アジア | 720,660 |
| 4 |
|
アフリカ | 357,608 |
| 5 |
|
南アメリカ | 327,903 |
| 6 |
|
アフリカ | 280,077 |
| 7 |
|
南アメリカ | 269,740 |
| 8 |
|
南アメリカ | 158,944 |
| 9 |
|
南アメリカ | 77,681 |
| 10 |
|
南アメリカ | 63,416 |
| 11 |
|
オセアニア | 38,000 |
| 12 |
|
アフリカ | 35,000 |
| 13 |
|
南アメリカ | 29,429 |
| 14 |
|
南アメリカ | 27,827 |
| 15 |
|
アフリカ | 26,337 |
| 16 |
|
アジア | 26,000 |
| 17 |
|
アフリカ | 22,400 |
| 18 |
|
アフリカ | 18,000 |
| 19 |
|
アフリカ | 18,000 |
| 20 |
|
アフリカ | 14,000 |
| 21 |
|
アフリカ | 13,000 |
| 22 |
|
アフリカ | 12,564 |
| 23 |
|
南アメリカ | 11,688 |
| 24 |
|
アジア | 9,341 |
| 25 |
|
南アメリカ | 7,508 |
| 26 |
|
アフリカ | 7,000 |
| 27 |
|
南アメリカ | 5,875 |
| 28 |
|
オセアニア | 4,500 |
| 29 |
|
アフリカ | 3,000 |
| 30 |
|
南アメリカ | 2,000 |
| 31 |
|
アジア | 2,000 |
| 32 |
|
南アメリカ | 1,577 |
| 33 |
|
アジア | 1,455 |
| 34 |
|
南アメリカ | 1,000 |
| 35 |
|
アフリカ | 1,000 |
| 36 |
|
南アメリカ | 1,000 |
| 37 |
|
南アメリカ | 800 |
| 38 |
|
オセアニア | 745 |
| 39 |
|
アジア | 706 |
| 40 |
|
南アメリカ | 673 |
| 41 |
|
南アメリカ | 539 |
| 42 |
|
オセアニア | 481 |
| 43 |
|
南アメリカ | 480 |
| 44 |
|
アフリカ | 451 |
| 45 |
|
南アメリカ | 375 |
| 46 |
|
南アメリカ | 300 |
| 47 |
|
南アメリカ | 228 |
| 48 |
|
南アメリカ | 193 |
| 49 |
|
アジア | 176 |
| 50 |
|
アフリカ | 134 |
| 51 |
|
アジア | 124 |
| 52 |
|
南アメリカ | 112 |
| 53 |
|
アフリカ | 100 |
| 54 |
|
アフリカ | 43 |
| 55 |
|
オセアニア | 32 |
| 56 |
|
南アメリカ | 18 |
| 57 |
|
オセアニア | 9 |
| 58 |
|
南アメリカ | 5 |
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国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、カカオ豆生産の世界ランキングでは、コートジボワールが突出した生産量を誇り、世界全体のカカオ豆供給の中枢を担っていることが明らかです。同国の2020年の生産量2,200,000トンは、第2位のガーナの800,000トンを大きく引き離しており、さらに第3位のインドネシア(720,660トン)との間にも significant な違いを示しています。この3カ国だけで、世界のカカオ豆生産量の約70%を占めており、カカオ豆市場における支配的な地位が伺えます。
このランキングから、カカオ豆生産は特定の地域に集中しているという特徴が浮き彫りになります。特に、西アフリカ諸国(コートジボワール、ガーナ、ナイジェリア)においては、地理的条件や気候がカカオ栽培に適しているだけでなく、その経済がカカオ生産に大きく依存していることも背景にあると考えられます。例えば、コートジボワールではカカオ産業が雇用の基盤となり、多くの農家がこれに従事しています。一方で、東南アジアではインドネシアが同地域を代表しており、カカオはアフリカ型と異なる運営スタイルを採用しています。
しかし、この生産集中には課題も伴います。まず、カカオ生産は気候変動の影響を受けやすく、長期的な収量低下が懸念されています。特に西アフリカ地域では、気温上昇と降雨量の変動が既に耕作可能地に影響を及ぼしており、生産の持続可能性が問われています。また、農家の多くは小規模農場を運営しており、収益性の低下や適正価格の確保が課題となっています。さらに、紛争や不安定な政治状況がカカオ輸出の安定を脅かすこともあり、地政学的な要因が密接に絡んでいます。
エクアドルやブラジルなど中南米諸国は比較的高品質なカカオ(フィノ・デ・アロマ種)を生産することで差別化を図っており、これが近年の高級チョコレート市場の拡大に役立っています。一方で、政策支援や農業技術の向上が進まない国々(例:リベリアやシエラレオネなど)は生産量が少なく、国際市場での競争力に課題があります。
この状況を受け、いくつかの具体的な提案が浮かび上がります。まず、主要生産国においては、気候変動への対策を強化し、生産技術を改善することが急務です。具体的には、耐病性や耐乾燥性の高い品種の普及、農地の効率的な利用、そして農業従事者への経済的支援が重要です。また、西アフリカ地域では、地域間の協調を促進し、輸出価格の安定に向けた共同行動を取るべきです。これには、国際的な枠組みに基づいた価格設定やフェアトレードの原則の徹底が含まれるでしょう。
さらに、中小規模の生産者が多い地域では、現地の教育やインフラの整備を進めることで、生産性の向上を支援することが可能です。同時に、消費地である日本や欧米諸国においても、持続可能な生産と調達を支えるための需給バランスを管理し、エシカルな(倫理的な)購買行動を促進する努力が欠かせません。
最後に、地政学的リスクへの対応が極めて重要です。カカオ豆生産が特定地域に集中している現状は、紛争や自然災害、新型コロナのような疫病流行時に世界市場への影響を高めかねません。したがって、生産地の分散化を進めることでリスクを低減し、世界全体で持続可能なカカオ供給を実現する方策が必要です。
このランキングから見えるデータは、単に生産量の優劣を示すだけでなく、世界の食料・農業政策全般にわたる深い示唆を与えています。各国が協力して、グローバルな供給連鎖の安定を共同で確保していくことが求められる時代であると言えるでしょう。