国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2014年度のカカオ豆生産量ランキングによると、1位はコートジボワールで1,637,778トン、2位はガーナで858,720トン、3位はインドネシアで728,400トンとなっています。これら3か国の合計で世界全体の生産量の約70%以上を占めており、主に西アフリカ諸国がカカオ豆生産の中心地であることが明らかになっています。一方、アジア、中南米地域も一定の生産量を持つものの、上位国との大きな差が見られる結果となっています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アフリカ | 1,637,778 |
| 2 |
|
アフリカ | 858,720 |
| 3 |
|
アジア | 728,400 |
| 4 |
|
アフリカ | 329,870 |
| 5 |
|
南アメリカ | 273,793 |
| 6 |
|
アフリカ | 269,228 |
| 7 |
|
南アメリカ | 156,216 |
| 8 |
|
南アメリカ | 81,651 |
| 9 |
|
南アメリカ | 69,913 |
| 10 |
|
南アメリカ | 47,732 |
| 11 |
|
オセアニア | 45,369 |
| 12 |
|
アフリカ | 28,000 |
| 13 |
|
南アメリカ | 26,969 |
| 14 |
|
南アメリカ | 22,854 |
| 15 |
|
アフリカ | 22,182 |
| 16 |
|
アフリカ | 17,082 |
| 17 |
|
アジア | 15,000 |
| 18 |
|
南アメリカ | 14,633 |
| 19 |
|
アフリカ | 11,500 |
| 20 |
|
南アメリカ | 11,204 |
| 21 |
|
アフリカ | 10,865 |
| 22 |
|
アフリカ | 7,500 |
| 23 |
|
アフリカ | 7,500 |
| 24 |
|
南アメリカ | 5,971 |
| 25 |
|
アジア | 5,428 |
| 26 |
|
アフリカ | 5,000 |
| 27 |
|
オセアニア | 4,832 |
| 28 |
|
アフリカ | 3,200 |
| 29 |
|
アフリカ | 3,000 |
| 30 |
|
南アメリカ | 2,924 |
| 31 |
|
アジア | 2,665 |
| 32 |
|
南アメリカ | 2,188 |
| 33 |
|
アジア | 1,812 |
| 34 |
|
オセアニア | 1,676 |
| 35 |
|
南アメリカ | 1,400 |
| 36 |
|
南アメリカ | 1,154 |
| 37 |
|
南アメリカ | 900 |
| 38 |
|
アフリカ | 892 |
| 39 |
|
南アメリカ | 700 |
| 40 |
|
南アメリカ | 641 |
| 41 |
|
南アメリカ | 605 |
| 42 |
|
オセアニア | 477 |
| 43 |
|
南アメリカ | 470 |
| 44 |
|
アフリカ | 418 |
| 45 |
|
南アメリカ | 366 |
| 46 |
|
南アメリカ | 329 |
| 47 |
|
南アメリカ | 220 |
| 48 |
|
アフリカ | 203 |
| 49 |
|
アジア | 167 |
| 50 |
|
アジア | 144 |
| 51 |
|
アフリカ | 123 |
| 52 |
|
南アメリカ | 75 |
| 53 |
|
アフリカ | 41 |
| 54 |
|
オセアニア | 31 |
| 55 |
|
南アメリカ | 19 |
| 56 |
|
オセアニア | 9 |
| 57 |
|
南アメリカ | 5 |
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カカオ豆はチョコレートやココアの主原料として知られ、世界各地で需要の高まる重要な農産物です。FAOによる2014年度のランキングデータからは、カカオ豆の生産が特定の地域に集中しており、とりわけ西アフリカが世界生産の中心であることが際立ちます。上位2か国であるコートジボワールとガーナだけで、世界生産量の47%を占めており、さらにインドネシアを加えた3か国で約70%以上に達しています。これに対し、その他の国の生産量は大きく劣り、4位以下となるとコートジボワールの約1/5ほどの生産量にとどまるのが現状です。
この地域集中型の生産体制は、気候条件と地理的要因に密接に関連しています。カカオ豆の生産は、高温多湿で適度な降雨のある熱帯地域に適しており、この条件を満たす西アフリカ地域が地理的な優位性を持っています。しかし、この地理的集中は同時に課題も内包しています。例えば、天候不順や疫病、地域衝突といったリスクが生産全体に大きな影響を及ぼす可能性があります。過去には、コートジボワールやガーナでの内戦や労働問題が影響し、価格の高騰や供給の不安定化を招いた事例もあります。
また、生産量4位以下にはナイジェリアやブラジル、カメルーンといった国々が入っていますが、西アフリカ外ではインドネシアやエクアドルが際立っています。これらの国々はカカオ豆の輸出にも力を入れているほか、国内消費や付加価値の高い製品への加工にも注力しています。一方で、アジアや中南米地域にはインフラの未整備や人材育成の課題が存在しており、これらが生産量の拡大を阻む要因となっています。
現在、カカオ豆生産の拡大を持続可能に進めるためには、多くの課題が山積しています。まず、農地の効率的な運用や生産性の向上が重要です。例えば、カカオ農家が直面する土壌の疲弊を防ぐための農業技術の普及や、耐病性の高いカカオ種の導入が挙げられます。また、気候変動の影響を考慮した栽培技術の導入も必要です。次に、労働環境の改善が急務です。特に、児童労働や搾取問題に取り組むことで、国際市場の信頼を獲得することができます。加えて、地政学的な安定を図るために、地域全体での協力体制を強化することも求められます。西アフリカ諸国間で、カカオ関連産業の持続的発展を目指す枠組みを構築する動きが始まっていますが、これを具体的な行動に繋げていくことが重要です。
さらに、新型コロナウイルスや自然災害といったリスクも無視できません。これら外因的な要因は、輸送や労働力調達に影響を与え、特に小規模農家に深刻な打撃を与える可能性があります。感染症の流行や自然災害に備えた分散型の生産システムを構築し、輸出ルートの多様化を図ることが喫緊の課題です。
将来的には、生産者の経済的安定を支える仕組み作りも必要です。例えば、公正取引の促進や高付加価値製品の輸出増加を目指すことで、生産国の経済基盤を強化することができます。さらに、カカオ農業における若者の参加を促進し、新たな技術や革新を取り入れることで、競争力のある持続可能な産業を形成していくことが望まれます。
結論として、2014年度のカカオ豆生産量ランキングは西アフリカの優位性を示すとともに、気候条件や地政学的リスクへの依存といった脆弱性も浮き彫りにしています。今後は、技術革新や国際的な支援、持続可能な農業技術の導入を通じて、カカオ豆の安定供給と生産者の生活向上を目指す取り組みが不可欠です。国際機関や非政府組織もこれらの課題解決に向け、積極的に支援を行うべきです。