Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)による2003年のカカオ豆生産量ランキングでは、1位がコートジボワール(1,351,546トン)、2位がインドネシア(695,361トン)、3位がガーナ(497,000トン)でした。これら三か国が世界のカカオ豆生産量の大部分を占めており、アフリカ地域が生産の中心であることが分かります。また、他の上位国としてはナイジェリアやブラジルが続きました。一方、ランキング下位の国々では生産量が数十トン以下にとどまり、小規模生産が主となっています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アフリカ | 1,351,546 |
| 2 |
|
アジア | 695,361 |
| 3 |
|
アフリカ | 497,000 |
| 4 |
|
アフリカ | 385,000 |
| 5 |
|
南アメリカ | 170,004 |
| 6 |
|
アフリカ | 154,965 |
| 7 |
|
南アメリカ | 88,263 |
| 8 |
|
南アメリカ | 49,965 |
| 9 |
|
南アメリカ | 46,698 |
| 10 |
|
オセアニア | 42,500 |
| 11 |
|
南アメリカ | 41,704 |
| 12 |
|
アジア | 36,236 |
| 13 |
|
南アメリカ | 24,214 |
| 14 |
|
南アメリカ | 15,376 |
| 15 |
|
アフリカ | 12,000 |
| 16 |
|
アフリカ | 10,000 |
| 17 |
|
アジア | 8,397 |
| 18 |
|
南アメリカ | 7,933 |
| 19 |
|
アフリカ | 5,710 |
| 20 |
|
アジア | 5,693 |
| 21 |
|
アフリカ | 5,100 |
| 22 |
|
南アメリカ | 4,950 |
| 23 |
|
オセアニア | 4,587 |
| 24 |
|
アフリカ | 4,500 |
| 25 |
|
アフリカ | 4,410 |
| 26 |
|
南アメリカ | 4,201 |
| 27 |
|
アフリカ | 3,820 |
| 28 |
|
アフリカ | 3,800 |
| 29 |
|
アフリカ | 2,500 |
| 30 |
|
アフリカ | 2,422 |
| 31 |
|
アジア | 2,030 |
| 32 |
|
南アメリカ | 2,000 |
| 33 |
|
オセアニア | 1,521 |
| 34 |
|
南アメリカ | 1,500 |
| 35 |
|
アジア | 1,287 |
| 36 |
|
南アメリカ | 1,150 |
| 37 |
|
アフリカ | 1,000 |
| 38 |
|
南アメリカ | 984 |
| 39 |
|
南アメリカ | 708 |
| 40 |
|
南アメリカ | 617 |
| 41 |
|
アフリカ | 600 |
| 42 |
|
南アメリカ | 550 |
| 43 |
|
オセアニア | 499 |
| 44 |
|
南アメリカ | 417 |
| 45 |
|
南アメリカ | 263 |
| 46 |
|
アフリカ | 200 |
| 47 |
|
南アメリカ | 180 |
| 48 |
|
南アメリカ | 170 |
| 49 |
|
南アメリカ | 170 |
| 50 |
|
アジア | 108 |
| 51 |
|
アフリカ | 100 |
| 52 |
|
アフリカ | 72 |
| 53 |
|
南アメリカ | 41 |
| 54 |
|
南アメリカ | 38 |
| 55 |
|
オセアニア | 33 |
| 56 |
|
アフリカ | 27 |
| 57 |
|
オセアニア | 15 |
| 58 |
|
南アメリカ | 9 |
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2003年の世界のカカオ豆生産量データからは、カカオ豆生産の地理的な偏りが顕著に見られます。特にアフリカ地域は、コートジボワール、ガーナ、ナイジェリアなど上位国が多くを占める生産拠点となっています。コートジボワールは全体のトップであり、約135万トンを生産しており、世界全体の供給を大きく支える存在です。ガーナとナイジェリアも合わせれば、アフリカ地域が全体生産量の約70%を占めることが明らかです。この地域は、豊かな自然環境と適した気候条件を活用してカカオ生産を発展させています。
一方で、アフリカ以外の国々にも特徴的な動きが見られます。2位のインドネシアはアジア唯一の上位国として約70万トンを生産しており、その競争力の高さが注目される点です。さらに、南アメリカではブラジルが主要な生産国(約17万トン)であり、エクアドルやペルーも一定の貢献をしています。ただし、これらの生産量はいずれもアフリカ大陸上位国と比較するとかなり小さいものです。メキシコやドミニカ共和国などカリブ・中南米の国々でも小規模ながらカカオ生産を行っていますが、こちらも世界生産に占める割合はごくわずかです。
このデータから読み取れる課題の一つに、生産国間の経済的な格差と生産プロセスの効率性の違いがあります。特にコートジボワールやガーナといった主要輸出国では、カカオ豆産業が国全体のGDP(国内総生産)や雇用に大きく寄与しています。しかし、これらの国々では採集型の生産方法が依然として主流であり、サプライチェーンの進化や品質向上が取り組むべき次のステップとして急務となっています。
さらに、カカオ豆生産に依存するこれらの国々は、地政学的リスクや気候変動の影響を受けやすいという弱点を抱えています。例えば、天候不良や土壌劣化は生産量に直接影響を与え、輸出収益減少につながる可能性があります。加えて、近年では地域衝突による生産過程の停滞や、国際的な価格変動への適応能力の限界が問題視されています。
これに対して、将来に向けた具体的な解決策としていくつかの提言が挙げられます。一つは、農業技術の導入や生産性向上を通じて、収益構造を強化していくことです。具体的には、持続可能な農法の普及や肥料の適切な使用、灌漑技術の導入が重要です。また、国際機関や非政府組織(NGO)による生産者支援プログラムの活用も欠かせません。さらに、経済的な多角化を推進することで、単一の産業に過度に依存するリスクを低減することが求められます。
カカオ豆産業の発展は、経済的安定と社会問題の解決に直結する重要な要素です。特に児童労働の削減やフェアトレード認証の促進を通じて、倫理的かつ持続可能な供給構造を構築することが求められます。このような取り組みが進展すれば、カカオ豆市場だけでなく、関係する地域全体の発展につながる可能性があります。
以上のように、2003年のカカオ豆生産量データは、地域ごとの生産規模や特性だけでなく、今後解決すべき重要な課題についても示唆を与えています。