1972年における世界のカカオ豆生産量ランキングでは、ガーナが41万5700トンで1位となり、ナイジェリアが24万1100トンで2位、ブラジルが22万1469トンで3位にランクインしています。この時期、アフリカが世界の生産量の大部分を占めており、上位5カ国のうち4カ国がアフリカ大陸に位置しています。一方、南アメリカや中米も一定の役割を果たしていますが、生産量はアフリカ諸国に比べて比較的少ない状況が見られます。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アフリカ | 415,700 |
| 2 |
|
アフリカ | 241,100 |
| 3 |
|
南アメリカ | 221,469 |
| 4 |
|
アフリカ | 185,445 |
| 5 |
|
アフリカ | 126,780 |
| 6 |
|
南アメリカ | 67,784 |
| 7 |
|
南アメリカ | 38,032 |
| 8 |
|
南アメリカ | 36,093 |
| 9 |
|
オセアニア | 29,300 |
| 10 |
|
南アメリカ | 22,000 |
| 11 |
|
アフリカ | 18,600 |
| 12 |
|
南アメリカ | 16,718 |
| 13 |
|
アフリカ | 10,395 |
| 14 |
|
アフリカ | 10,000 |
| 15 |
|
アフリカ | 7,028 |
| 16 |
|
アフリカ | 6,500 |
| 17 |
|
アフリカ | 5,030 |
| 18 |
|
南アメリカ | 5,000 |
| 19 |
|
アジア | 5,000 |
| 20 |
|
南アメリカ | 4,821 |
| 21 |
|
アジア | 3,500 |
| 22 |
|
南アメリカ | 3,300 |
| 23 |
|
アフリカ | 3,184 |
| 24 |
|
南アメリカ | 2,511 |
| 25 |
|
南アメリカ | 2,485 |
| 26 |
|
南アメリカ | 2,378 |
| 27 |
|
南アメリカ | 2,231 |
| 28 |
|
アフリカ | 2,146 |
| 29 |
|
アフリカ | 2,000 |
| 30 |
|
アジア | 2,000 |
| 31 |
|
南アメリカ | 1,900 |
| 32 |
|
アジア | 1,801 |
| 33 |
|
オセアニア | 1,700 |
| 34 |
|
アフリカ | 1,240 |
| 35 |
|
オセアニア | 800 |
| 36 |
|
南アメリカ | 800 |
| 37 |
|
南アメリカ | 600 |
| 38 |
|
アフリカ | 600 |
| 39 |
|
アフリカ | 600 |
| 40 |
|
南アメリカ | 504 |
| 41 |
|
南アメリカ | 300 |
| 42 |
|
南アメリカ | 300 |
| 43 |
|
アフリカ | 190 |
| 44 |
|
南アメリカ | 180 |
| 45 |
|
南アメリカ | 100 |
| 46 |
|
南アメリカ | 100 |
| 47 |
|
南アメリカ | 100 |
| 48 |
|
オセアニア | 89 |
| 49 |
|
オセアニア | 64 |
| 50 |
|
南アメリカ | 58 |
| 51 |
|
アフリカ | 50 |
| 52 |
|
アフリカ | 45 |
| 53 |
|
南アメリカ | 27 |
| 54 |
|
南アメリカ | 25 |
| 55 |
|
アジア | 20 |
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1972年のデータを基にすると、カカオ豆生産は特定の地域に非常に集中している傾向が見られます。当時、1位のガーナは40万トンを超える生産量を記録し、全体ランキングの中でも圧倒的なリーダーシップを発揮しました。このほか、ナイジェリア(24万1100トン)、コートジボワール(18万5445トン)、カメルーン(12万6780トン)など西アフリカ諸国が上位を占めています。この地域は、カカオの栽培に適した気候や地理条件に恵まれているため、世界市場において主要な供給元となっています。
一方で、アフリカ以外の地域を見ると、南米のブラジルが22万1469トンで3位にランクインしており、中南米からも一定の生産が見られるものの、ガーナやナイジェリアには及びません。このことから、1972年の時点ではアフリカと南米がカカオ豆生産の二大拠点であることが明らかです。また、エクアドルやドミニカ共和国、メキシコといった国々が上位に名を連ねており、中南米も重要な生産拠点として位置づけられています。
この現状を受けて、中小規模の生産国の多くが低収量に依存している状況も顕著です。上位10カ国のみで、全世界の生産量の大半を占める一方で、下位10カ国の生産量は非常に少なく、例えばフィジーは89トン、ソロモン諸島は64トン、スリナムは58トンといった状況でした。このような偏在的な生産分布は、カカオ産業が少数の国に依存していることを示しており、地政学的リスクや環境の変化に対して脆弱性があることを意味します。
また、ガーナやナイジェリア、ブラジルなどの上位国では、カカオ豆生産が農村経済の中心的な役割を果たしており、この分野の収益性が生産地の社会や経済に強い影響を与えます。しかし、生産者の多くが小規模農家であり、生産過程での効率化や環境負荷軽減が今後の重要な課題となります。例えば、気候変動や森林破壊、土壌浸食といった問題は、今後のカカオ生産に重大な影響を及ぼす可能性があります。
さらに、地域間での生産量の偏在が続くと、国際市場における価格の安定性への影響も考えられます。主な生産国において天候不順や紛争が発生した場合、供給不足による価格高騰が起きる可能性があります。したがって、カカオ産業全般を支えるためには、生産の多角化と持続可能な開発が欠かせません。具体的には、以下のような対策が効果的です。第一に、新たな生産地の開拓と、既存の小規模国への農業技術や資金支援を提供することです。第二に、国際的な協力を通じて労働環境を改善し、生産者の収入を向上させるとともに、カカオ豆の価格安定を目指すべきです。
1972年の状況から見れば、カカオ豆生産は特定地域への依存度が高いものの、国際的な需要に応える構造が整っていることも明らかです。しかし、現代においては環境変動や労働問題、地域衝突といった新たな課題が加わる可能性を考慮し、より持続可能な生産モデルを目指すべきでしょう。将来的な安定した供給と市場の創出のために、国や国際機関はこの分野への投資を継続し、より幅広い地域への生産基盤の拡大を支援する必要があります。