1969年の世界のカカオ豆生産量ランキングによると、1位はガーナで414,300トン、2位はナイジェリアで220,800トン、3位はブラジルで211,162トンでした。特に、西アフリカ諸国が上位を占めており、ガーナとナイジェリアだけで世界生産の大部分を占めています。一方で、南米や中米、アジアの生産量も少しずつ存在感を示しています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アフリカ | 414,300 |
| 2 |
|
アフリカ | 220,800 |
| 3 |
|
南アメリカ | 211,162 |
| 4 |
|
アフリカ | 180,706 |
| 5 |
|
アフリカ | 108,186 |
| 6 |
|
南アメリカ | 47,993 |
| 7 |
|
アフリカ | 28,000 |
| 8 |
|
南アメリカ | 27,368 |
| 9 |
|
オセアニア | 26,600 |
| 10 |
|
南アメリカ | 25,823 |
| 11 |
|
アフリカ | 23,600 |
| 12 |
|
南アメリカ | 18,500 |
| 13 |
|
南アメリカ | 18,278 |
| 14 |
|
アフリカ | 9,100 |
| 15 |
|
アフリカ | 4,900 |
| 16 |
|
南アメリカ | 4,800 |
| 17 |
|
アジア | 4,400 |
| 18 |
|
アフリカ | 4,366 |
| 19 |
|
アフリカ | 3,782 |
| 20 |
|
南アメリカ | 3,464 |
| 21 |
|
オセアニア | 3,200 |
| 22 |
|
南アメリカ | 3,056 |
| 23 |
|
アジア | 2,750 |
| 24 |
|
南アメリカ | 2,700 |
| 25 |
|
南アメリカ | 2,412 |
| 26 |
|
アフリカ | 2,000 |
| 27 |
|
アフリカ | 1,920 |
| 28 |
|
南アメリカ | 1,857 |
| 29 |
|
アジア | 1,800 |
| 30 |
|
アジア | 1,763 |
| 31 |
|
南アメリカ | 1,300 |
| 32 |
|
南アメリカ | 1,234 |
| 33 |
|
アフリカ | 1,195 |
| 34 |
|
アフリカ | 885 |
| 35 |
|
オセアニア | 600 |
| 36 |
|
南アメリカ | 600 |
| 37 |
|
南アメリカ | 600 |
| 38 |
|
南アメリカ | 500 |
| 39 |
|
アフリカ | 400 |
| 40 |
|
アフリカ | 300 |
| 41 |
|
南アメリカ | 300 |
| 42 |
|
南アメリカ | 294 |
| 43 |
|
アフリカ | 147 |
| 44 |
|
南アメリカ | 127 |
| 45 |
|
南アメリカ | 100 |
| 46 |
|
南アメリカ | 100 |
| 47 |
|
南アメリカ | 100 |
| 48 |
|
南アメリカ | 100 |
| 49 |
|
南アメリカ | 100 |
| 50 |
|
オセアニア | 97 |
| 51 |
|
オセアニア | 60 |
| 52 |
|
アフリカ | 51 |
| 53 |
|
南アメリカ | 30 |
| 54 |
|
アフリカ | 25 |
| 55 |
|
アジア | 20 |
| 56 |
|
南アメリカ | 12 |
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このランキングから、1969年当時のカカオ生産の地理的な分布と経済的・社会的背景を読み取ることができます。まず、最大の生産国であるガーナは、西アフリカの気候条件がカカオの栽培に非常に適していたことに加え、英国植民地時代からのカカオ農業のインフラと技術が存在していたことが大きな要因と考えられます。さらに、ナイジェリアやコートジボワールといった周辺国も同様に自然条件と農業政策を活かし、カカオ生産で主要な地位を築いていました。
ブラジルについては、南米地域で最大の生産国として、熱帯雨林に広がる大規模プランテーションが支えていたと言えます。ただし、地域ごとの気候変動や土地の持続可能性に課題があったことが後の生産減少の要因となったのではないでしょうか。エクアドルやドミニカ共和国など中米諸国も全体に対する生産規模は小さいものの、地理的条件の良さを活かして少量ながら品質の良いカカオの生産を実現していました。
一方で、アジアや太平洋地域の国々(例:インドネシア、フィリピン、パプアニューギニア)は、この時点ではカカオがそれほど主要な作物ではなく、大規模な生産体制が整っていなかったことが分かります。日本を含む東アジア諸国はカカオの栽培に地理的に適していないため、輸入によって需要を賄っていました。
こうした背景を踏まえると、カカオ産業にはいくつかの大きな課題が見えてきます。まず、西アフリカに集中する生産体制は、特定地域の気候変動や自然災害リスクに弱いと言えます。例えば、長期的な干ばつや病害虫の発生が生産量の減少を引き起こす可能性があります。また、大規模なプランテーションでは、土地の過度な利用や労働問題が社会的な課題として挙げられることが多いです。一部の地域では、児童労働や低賃金などの問題も報告されており、持続可能な経済・社会的取り組みが必要です。
地政学的リスクとしても、カカオ豆の主要産地が必ずしも安定した政治環境を持つとは限らず、輸出先の経済にも影響を及ぼす可能性があります。特に内戦や政変が頻発する地域では、カカオの輸出収入が偏在していることが課題であり、適切な国際的な支援が求められます。
未来に向けた具体的な提言としては、まず気候変動への対策として持続可能な農法を導入し、生産地域を多様化することが挙げられます。西アフリカ以外の地域、特にアジアや中南米における生産支援を強化することで、生産リスクの分散が可能になるでしょう。また、フェアトレードの推進や労働者への適正な賃金の保障を行うことで、国際市場における信用を高めることができます。さらに、カカオ豆を原料とした製品の付加価値を高める教育・技術援助を行い、単なる原材料の輸出に依存しない経済構造を目指すことが重要です。
最後に、国際社会や特定の国際機関が主体となり、カカオ生産国間の協調体制を構築し、品質標準化や病害虫防除の技術共有を進めることが必要です。カカオは世界中で愛されるチョコレートの原料であるだけでなく、多くの国々の経済基盤に影響を与える重要な作物であるため、持続可能性を確保する努力を全世界で共有することが求められます。