国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した1977年度のカカオ豆生産量データによると、最大の生産国はコートジボワールで303,621トンを記録し、ガーナ(277,400トン)、ブラジル(249,755トン)がそれに続いています。上位5か国はコートジボワール、ガーナ、ブラジル、ナイジェリア、カメルーンで、生産量全体の大部分を占めています。一方、小規模な生産が目立つ国も多く、ランキング下位の東ティモールやコモロでは20トン程度の生産にとどまりました。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アフリカ | 303,621 |
| 2 |
|
アフリカ | 277,400 |
| 3 |
|
南アメリカ | 249,755 |
| 4 |
|
アフリカ | 193,000 |
| 5 |
|
アフリカ | 107,000 |
| 6 |
|
南アメリカ | 72,120 |
| 7 |
|
南アメリカ | 34,474 |
| 8 |
|
オセアニア | 28,500 |
| 9 |
|
南アメリカ | 27,000 |
| 10 |
|
南アメリカ | 25,442 |
| 11 |
|
アジア | 17,513 |
| 12 |
|
アフリカ | 16,700 |
| 13 |
|
南アメリカ | 16,389 |
| 14 |
|
南アメリカ | 7,694 |
| 15 |
|
アフリカ | 6,000 |
| 16 |
|
アフリカ | 5,500 |
| 17 |
|
アフリカ | 5,454 |
| 18 |
|
アフリカ | 5,200 |
| 19 |
|
アジア | 4,816 |
| 20 |
|
アフリカ | 4,000 |
| 21 |
|
南アメリカ | 3,998 |
| 22 |
|
南アメリカ | 3,795 |
| 23 |
|
アフリカ | 3,573 |
| 24 |
|
南アメリカ | 3,345 |
| 25 |
|
南アメリカ | 3,110 |
| 26 |
|
アフリカ | 3,021 |
| 27 |
|
南アメリカ | 3,000 |
| 28 |
|
アジア | 2,944 |
| 29 |
|
オセアニア | 2,200 |
| 30 |
|
南アメリカ | 2,134 |
| 31 |
|
アフリカ | 2,029 |
| 32 |
|
アジア | 1,700 |
| 33 |
|
南アメリカ | 1,692 |
| 34 |
|
アフリカ | 1,410 |
| 35 |
|
南アメリカ | 1,182 |
| 36 |
|
南アメリカ | 768 |
| 37 |
|
アフリカ | 753 |
| 38 |
|
オセアニア | 700 |
| 39 |
|
南アメリカ | 670 |
| 40 |
|
南アメリカ | 626 |
| 41 |
|
南アメリカ | 500 |
| 42 |
|
アジア | 300 |
| 43 |
|
アフリカ | 300 |
| 44 |
|
南アメリカ | 298 |
| 45 |
|
オセアニア | 166 |
| 46 |
|
南アメリカ | 120 |
| 47 |
|
アフリカ | 100 |
| 48 |
|
南アメリカ | 100 |
| 49 |
|
オセアニア | 97 |
| 50 |
|
南アメリカ | 61 |
| 51 |
|
アフリカ | 60 |
| 52 |
|
南アメリカ | 50 |
| 53 |
|
南アメリカ | 45 |
| 54 |
|
南アメリカ | 40 |
| 55 |
|
アジア | 20 |
| 56 |
|
アフリカ | 20 |
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1977年のカカオ豆生産量ランキングは、コートジボワールが世界の頂点に立ちました。この国は西アフリカの豊かな熱帯気候と土壌条件に恵まれ、1970年代には既に世界最大のカカオ豆生産国としての地位を築き始めていました。2位のガーナとともに、西アフリカ地域全体がカカオ豆生産の中心地であることが顕著に示されています。この地域は、全世界の生産量の大部分を占め、特にコートジボワールとガーナの2国だけで、約58%を担っています。ブラジル(249,755トン)は中南米地域の主要プレーヤーで、やや差をつけられつつも確固たる地位を築いています。
興味深いのは、生産上位5か国の分布が限定的であり、この範囲だけで世界生産量の約80%以上を占めていることです。これにより、世界的なカカオ豆生産は特定の地域に高度に集約されており、地政学的リスクや気候変動の影響を受けやすい状況にあります。例えば、極度の干ばつや洪水がこれらの上位国を襲う場合、生産量全体に大きな影響が及ぶことが予測されます。
ランキング下位の国々を見てみると、極めて少量の生産にとどまる国々が存在します。東ティモールやコモロなどでは、それぞれ20トンの生産に留まり、これらの国々がカカオ豆生産という分野において大きな影響力を持つ可能性はほとんどないと考えられます。しかし、これらの国々における生産は、地域経済にとって重要な収入源となり得るため、さらなる継続的支援が必要です。
今後の課題として、第一に、カカオ豆の生産地域が特定の国に集中していることが挙げられます。この集中構造は、地政学的不安定要因や気候変動の影響を受けるリスクを拡大する可能性があります。紛争地域となる可能性がある西アフリカにおいて、労働者の確保やインフラの安定化に注力する必要があります。また、持続可能な農業モデルの導入が求められます。具体的には、農地の多様化や品質向上、周辺国との協力体制の強化が重要です。
さらに、気候変動への適応がすべての生産国に共通の課題です。一部地域では気温や降雨パターンの変化がカカオ豆の成長条件を悪化させています。ここで、耐久性のある品種の開発や気候に適応した農法の導入などのイノベーションが必要です。国際機関や先進国は、これらの改革を推進するための資金提供や技術支援を強化すべきです。
また、カカオ豆の世界的需要が変化する中で、下位国における生産性向上も主要な課題と言えます。東ティモールやコモロのような国々において、農業機械の普及や教育機関の設立が必要です。これにより、小規模生産者の収益性が向上し、貧困削減につなげることが期待されます。
結論として、1977年のカカオ豆生産データは、西アフリカおよび中南米地域が主導的地位を占める一方で、多くの小規模生産国が存在するという、地域間格差の大きさを示しています。持続可能性を重視した農業振興策や気候変動に対応した政策を進めることが、将来の供給安定と品質維持に繋がるでしょう。