Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した1970年のカカオ豆生産量ランキングによると、最も多くの生産量を記録した国はガーナ(406,000トン)で、2位のナイジェリア(304,800トン)を差し置きトップとなりました。ブラジルは197,061トンで3位、コートジボワールは179,156トンで4位でした。上位国の多くはアフリカ西部や南米に位置しており、世界のカカオ生産においてこれら地域が非常に大きな役割を果たしていることが確認されます。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アフリカ | 406,000 |
| 2 |
|
アフリカ | 304,800 |
| 3 |
|
南アメリカ | 197,061 |
| 4 |
|
アフリカ | 179,156 |
| 5 |
|
アフリカ | 133,770 |
| 6 |
|
南アメリカ | 53,584 |
| 7 |
|
南アメリカ | 37,924 |
| 8 |
|
アフリカ | 35,000 |
| 9 |
|
南アメリカ | 28,823 |
| 10 |
|
アフリカ | 27,900 |
| 11 |
|
オセアニア | 26,100 |
| 12 |
|
南アメリカ | 19,000 |
| 13 |
|
南アメリカ | 18,884 |
| 14 |
|
アフリカ | 9,700 |
| 15 |
|
南アメリカ | 6,213 |
| 16 |
|
アフリカ | 6,200 |
| 17 |
|
アフリカ | 6,095 |
| 18 |
|
アフリカ | 5,080 |
| 19 |
|
アジア | 4,300 |
| 20 |
|
南アメリカ | 4,200 |
| 21 |
|
アジア | 3,200 |
| 22 |
|
南アメリカ | 2,926 |
| 23 |
|
南アメリカ | 2,900 |
| 24 |
|
オセアニア | 2,600 |
| 25 |
|
アジア | 2,300 |
| 26 |
|
南アメリカ | 2,163 |
| 27 |
|
南アメリカ | 2,107 |
| 28 |
|
アフリカ | 2,000 |
| 29 |
|
アジア | 1,738 |
| 30 |
|
アフリカ | 1,621 |
| 31 |
|
アフリカ | 1,344 |
| 32 |
|
南アメリカ | 1,330 |
| 33 |
|
南アメリカ | 1,300 |
| 34 |
|
アフリカ | 1,000 |
| 35 |
|
オセアニア | 700 |
| 36 |
|
南アメリカ | 648 |
| 37 |
|
南アメリカ | 600 |
| 38 |
|
南アメリカ | 600 |
| 39 |
|
アフリカ | 445 |
| 40 |
|
アフリカ | 400 |
| 41 |
|
南アメリカ | 300 |
| 42 |
|
南アメリカ | 300 |
| 43 |
|
アフリカ | 241 |
| 44 |
|
オセアニア | 131 |
| 45 |
|
南アメリカ | 106 |
| 46 |
|
南アメリカ | 100 |
| 47 |
|
南アメリカ | 100 |
| 48 |
|
南アメリカ | 100 |
| 49 |
|
南アメリカ | 100 |
| 50 |
|
オセアニア | 59 |
| 51 |
|
アフリカ | 48 |
| 52 |
|
アフリカ | 35 |
| 53 |
|
南アメリカ | 30 |
| 54 |
|
アジア | 20 |
| 55 |
|
南アメリカ | 17 |
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1970年、カカオ豆生産において卓越した地位を占めたのはアフリカと南米の国々でした。ガーナは406,000トンという圧倒的な生産量で首位を獲得し、カカオ生産国としての地位を不動のものとしました。一方で、ナイジェリアやコートジボワールといったアフリカ西部の隣接国もランキング上位に入り、この地域が世界のカカオ生産を牽引していたことがわかります。ブラジルはアフリカ諸国に続き、南米として最多の生産量を示しました。これらの国々は地理的条件や気候的要因がカカオ栽培に適しており、経済基盤にもカカオの輸出が重要な役割を果たしました。
ランキング全体を見渡すと、アフリカ、南米、そして少数のアジア太平洋地域の国々が名前を連ねています。特筆すべきは、カカオ豆の主な生産地域が赤道付近に集中している点です。この分布は、カカオが高温多湿な環境を必要とする熱帯植物であることを反映しています。比較的小規模な生産国としてエクアドルやドミニカ共和国が中南米地域を代表し、赤道ギニアやパプアニューギニアも独自の生産力を示していました。こうした国々は、一定の輸出量を確保することでカカオ産業からの外貨獲得を目指していました。
実際には、1970年当時のカカオ市場における課題も多岐にわたりました。たとえば、アフリカ地域では政治的不安定やインフラの未発展が、効率的な生産・輸送を阻む要因となることが指摘されていました。一方で、農場管理技術が限られており、害虫や病害を効果的に制御できないという問題も業界全体の持続可能性を脅かしていました。これらの課題を解決するためには、基本的なインフラ整備、例えば道路や貯蔵施設の整備や、農業技術者の育成による作物管理の改善が必要とされました。
加えて、地政学的リスクもカカオ市場に影響を与える可能性が高いと考えられます。特に、アフリカ西部では資源を巡る争いや民間紛争がしばしば発生し、これらが地域全体の生産、輸出、そして価格市場に波及する懸念がありました。さらに、貧困や教育水準の低さが、農業従事者の技能向上や生産性向上を阻害する要因となっていました。
未来に向けた提言としては、各国がカカオ豆栽培の付加価値を高めることが鍵を握っています。ただ原材料として輸出するだけでなく、加工産業を育成し、チョコレート製品など完成品の輸出を目指す方針を取り入れることで、より多くの利益を生み出す可能性があります。たとえば、ブラジルやエクアドルなど新興加工国が参考となるモデルになるでしょう。また、国際機関の支援によって、生産性を向上させるための持続可能な農業技術の導入や教育プログラムの推進も必要です。この場合、より長期的な視点で環境保護と経済発展の両立を目指した施策が欠かせません。
世界全体で見れば、カカオの需要は今後も成長すると予測されるため、カカオ生産国が直面する課題に対する早期の対応が国際的な食品市場の安定に寄与します。輸出国と消費国の協力の枠組みを強化し、透明性のある価格設定やフェアトレード政策を推進することで、持続可能なカカオ生産・供給システムが構築されることが期待されます。