世界のカカオ豆生産量ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

1989年のカカオ豆生産量ランキングによると、コートジボワールが780,521トンで世界1位を占め、2位のブラジル（392,184トン）や3位のガーナ（295,052トン）を大きく引き離しています。アフリカ諸国が上位を占める一方で、東南アジアや中南米の国々も生産量ランキングに名を連ねています。このデータは、カカオが世界の特定地域で重要な農産品であることを改めて示しています。

順位	国名	地域	生産量(トン)
1	コートジボワール	アフリカ	780,521
2	ブラジル	南アメリカ	392,184
3	ガーナ	アフリカ	295,052
4	ナイジェリア	アフリカ	256,000
5	マレーシア	アジア	243,000
6	カメルーン	アフリカ	125,700
7	インドネシア	アジア	110,509
8	エクアドル	南アメリカ	82,880
9	コロンビア	南アメリカ	55,430
10	メキシコ	南アメリカ	50,087
11	ドミニカ共和国	南アメリカ	48,668
12	パプアニューギニア	オセアニア	47,000
13	シエラレオネ	アフリカ	24,200
14	ペルー	南アメリカ	17,813
15	ベネズエラ (ボリバル共和国)	南アメリカ	13,978
16	フィリピン	アジア	9,364
17	トーゴ	アフリカ	7,646
18	コンゴ民主共和国	アフリカ	7,100
19	赤道ギニア	アフリカ	6,570
20	インド	アジア	6,000
21	リベリア	アフリカ	6,000
22	ハイチ	南アメリカ	5,000
23	コスタリカ	南アメリカ	4,270
24	スリランカ	アジア	3,900
25	サントメ・プリンシペ	アフリカ	3,707
26	マダガスカル	アフリカ	3,700
27	ボリビア (多民族国家)	南アメリカ	3,580
28	ギニア	アフリカ	3,400
29	ソロモン諸島	オセアニア	3,299
30	グアテマラ	南アメリカ	3,009
31	ホンジュラス	南アメリカ	2,700
32	キューバ	南アメリカ	2,566
33	タンザニア連合共和国	アフリカ	2,232
34	コンゴ	アフリカ	1,994
35	ガボン	アフリカ	1,800
36	バヌアツ	オセアニア	1,538
37	トリニダード・トバゴ	南アメリカ	1,492
38	グレナダ	南アメリカ	1,472
39	ジャマイカ	南アメリカ	1,386
40	パナマ	南アメリカ	649
41	ニカラグア	南アメリカ	600
42	サモア	オセアニア	595
43	ウガンダ	アフリカ	461
44	タイ	アジア	400
45	エルサルバドル	南アメリカ	400
46	フィジー	オセアニア	375
47	セントビンセントおよびグレナディーン諸島	南アメリカ	160
48	ドミニカ	南アメリカ	124
49	アンゴラ	アフリカ	100
50	セントルシア	南アメリカ	100
51	ベリーズ	南アメリカ	83
52	中央アフリカ共和国	アフリカ	46
53	ガイアナ	南アメリカ	45
54	東ティモール	アジア	25
55	コモロ	アフリカ	22
56	スリナム	南アメリカ	20
57	トンガ	オセアニア	20
58	グアドループ	南アメリカ	5
+ すべての国を見る

1989年のカカオ豆生産量データを詳しく見ると、コートジボワールが世界1位という結果は、同国がすでにこの分野において世界的な主導的役割を果たしていたことを示しています。この年度に生産されたカカオ豆の全体量の約40％近くを占めたと推定され、この地位はその後もほぼ保たれていると言えます。カカオ豆はチョコレートの原料として知られ、世界の消費市場、特に欧米の需要が生産に強く影響しています。

上位国を見ると、アフリカ地域の国々が注目されます。ガーナ（3位）、ナイジェリア（4位）、カメルーン（6位）といった同地域の国々がランクインし、カカオ生産の中心地帯である「カカオ・ベルト」が広がっていることがわかります。この地域は、カカオの成長に適した気候条件を持つ一方で、農業インフラの遅れや気候変動のリスクに常にさらされています。特にカカオ生産は降雨パターンや気温の変化に大きく依存するため、気候変動の影響が将来重要な課題となる可能性があります。

一方、東南アジアのマレーシア（5位）やインドネシア（7位）もランクインしています。この地域では、カカオ生産が主に輸出向けに行われており、生産の近代化や効率化が進んでいます。中南米ではブラジル（2位）やエクアドル（8位）、コロンビア（9位）といった国々がランキング上位を占めていますが、これらの国々では、土地の利用や収益性の観点からカカオの持続可能性が議論の的となっています。

一方で、ランキング下位に位置する国々については、カカオ生産規模が少なく、国内消費や小規模な輸出にとどまっています。これらの国々では、品質の向上やブランド価値の確立といった課題が存在します。

地政学的背景もこの分野に影響しています。たとえば、西アフリカでは、内戦や政治的不安定が生産地の農家や輸出に大きな困難をもたらしてきました。これに加えて、国際市場におけるカカオ価格の変動も小規模農家に直接影響を与えています。価格の暴落は、生活をカカオに依存する農家にとって深刻な問題となっています。また、近年では森林の減少や持続可能性への関心が高まり、カカオ生産地での環境負荷を軽減することが課題となっています。

未来に向けた具体的な提案として、第一に生産国の技術支援が挙げられます。たとえば、耐乾燥性の高いカカオ品種の開発や、収穫後の品質管理を向上させるための訓練プログラムが効果的と考えられます。次に、国際的な価格安定化メカニズムの構築も必要です。これは、生産者が価格変動に左右されず安定した収益を得るための重要な策です。さらに、エコラベルの付与やサプライチェーンの透明化を通じて、倫理的かつ持続可能なカカオ生産への移行を奨励する動きも加速すべきです。

結論として、1989年のカカオ豆生産量データから明らかなのは、特にアフリカ、アジア、中南米がカカオ生産の中心地として浮き彫りになっている点です。しかし、気候変動、地政学的リスク、貧困の問題など、多様な課題が解決されなければなりません。国際社会や各国政府が連携し、技術的・経済的な援助を提供することで、持続可能で公平なカカオ生産の未来を築くことが期待されます。