国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2001年度のカカオ豆生産量ランキングによると、1位はコートジボワールで1,212,428トン、2位はインドネシアで536,804トン、3位はガーナで389,591トンでした。この3か国だけで世界のカカオ豆生産の大部分を占めています。一方、日本や先進国でカカオ生産を行っている国はランクインしておらず、カカオ豆の供給は主にアフリカ、西アジア、ラテンアメリカの国々が担っています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アフリカ | 1,212,428 |
| 2 |
|
アジア | 536,804 |
| 3 |
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アフリカ | 389,591 |
| 4 |
|
アフリカ | 340,000 |
| 5 |
|
南アメリカ | 185,662 |
| 6 |
|
アフリカ | 122,100 |
| 7 |
|
南アメリカ | 76,030 |
| 8 |
|
アジア | 57,708 |
| 9 |
|
南アメリカ | 46,738 |
| 10 |
|
南アメリカ | 44,908 |
| 11 |
|
オセアニア | 38,800 |
| 12 |
|
南アメリカ | 36,070 |
| 13 |
|
南アメリカ | 23,652 |
| 14 |
|
南アメリカ | 15,834 |
| 15 |
|
アフリカ | 11,000 |
| 16 |
|
アフリカ | 10,200 |
| 17 |
|
南アメリカ | 6,840 |
| 18 |
|
アジア | 6,540 |
| 19 |
|
アジア | 6,531 |
| 20 |
|
アフリカ | 6,235 |
| 21 |
|
アフリカ | 4,410 |
| 22 |
|
南アメリカ | 4,320 |
| 23 |
|
南アメリカ | 4,300 |
| 24 |
|
アフリカ | 4,000 |
| 25 |
|
アフリカ | 3,950 |
| 26 |
|
アフリカ | 3,652 |
| 27 |
|
アジア | 3,410 |
| 28 |
|
アフリカ | 2,300 |
| 29 |
|
オセアニア | 2,038 |
| 30 |
|
南アメリカ | 2,000 |
| 31 |
|
南アメリカ | 1,900 |
| 32 |
|
アフリカ | 1,800 |
| 33 |
|
アジア | 1,454 |
| 34 |
|
アフリカ | 1,278 |
| 35 |
|
南アメリカ | 1,150 |
| 36 |
|
アフリカ | 1,000 |
| 37 |
|
オセアニア | 799 |
| 38 |
|
南アメリカ | 708 |
| 39 |
|
南アメリカ | 688 |
| 40 |
|
南アメリカ | 611 |
| 41 |
|
オセアニア | 498 |
| 42 |
|
アフリカ | 416 |
| 43 |
|
南アメリカ | 301 |
| 44 |
|
南アメリカ | 300 |
| 45 |
|
南アメリカ | 261 |
| 46 |
|
アフリカ | 199 |
| 47 |
|
南アメリカ | 188 |
| 48 |
|
南アメリカ | 180 |
| 49 |
|
南アメリカ | 160 |
| 50 |
|
アフリカ | 100 |
| 51 |
|
アジア | 97 |
| 52 |
|
アフリカ | 82 |
| 53 |
|
オセアニア | 33 |
| 54 |
|
南アメリカ | 30 |
| 55 |
|
南アメリカ | 30 |
| 56 |
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アフリカ | 26 |
| 57 |
|
南アメリカ | 8 |
| 58 |
|
オセアニア | 5 |
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2001年度のカカオ豆生産量のデータを詳しく見ると、自給用の消費ではなく商品作物としてのカカオ生産が、特に西・中部アフリカ諸国で顕著であることがわかります。コートジボワールが世界の生産量の首位を占め、1,212,428トンという圧倒的な数字を記録しています。この国は、世界のチョコレート産業を支える重要な供給国といえます。2、3位となるインドネシアとガーナも、それぞれ536,804トンと389,591トンを生産しており、この上位3か国で世界のカカオ豆生産の約70%を占めています。
これらトップ生産国の気候条件や地理的位置は、カカオ栽培に非常に適していることが強みと言えます。ただし、それに伴う課題も存在します。例えば、カカオ農園での収益低下により、持続可能な農業の実現が困難になったり、労働条件の悪化が報告されています。また、一部には児童労働の問題や違法伐採による環境破壊も指摘されています。これらの点から、環境保全や倫理的な労働基準を担保したカカオ生産への取り組みが急務とされています。
地域別に見ると、西アフリカが世界のカカオ豆供給の中心地となっていますが、次にインドネシアやマレーシアがリードする東南アジア、さらにブラジルやエクアドルを含むラテンアメリカが主要な生産拠点となっています。特にエクアドルでは、フレーバーカカオといった高品質品種が注目を集め、プレミアム市場での価値が増しています。一方、アメリカ、日本、ヨーロッパの国々など主要消費国は、ほとんどがこれら生産国に依存しています。そのため、カカオ豆市場は、供給国と消費国の大きな経済的関連性の中で動いています。
今後の課題としては、生産地での気候変動による脅威が増加していることが挙げられます。カカオは十分な湿度と特定の気温条件を必要とするデリケートな作物です。そのため地球温暖化が進む中、乾燥化や降水量の減少が、主要産地のカカオ生産に直接的な影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに備えるため、生産国には持続可能な農業技術を取り入れることが重要です。例えば、アグロフォレストリー(森林農業)の導入により、土壌の保全や生物多様性の保護が考えられます。また、国際機関や消費国側の企業も、フェアトレード認証の導入や生産者支援プログラムを通じて、現地の生産者を支える取り組みが求められます。
このランキングを通じ、カカオ豆は単なる食材ではなく、地球規模の社会・経済・環境の状況を反映する重要な作物であることがわかります。未来に向けては、気候変動対策、倫理的な労働環境の確保、消費国との連携を強化することで、生産国側も持続可能な利益を享受し続ける社会を築く必要があります。特に消費国である日本のような国では、カカオ豆の輸入先となる生産国との協力を深めることが、今後の市場安定のために大切なステップとなるでしょう。