1975年度のカカオ豆生産量ランキングでは、ガーナが約39.7万トンで1位となりました。続いてブラジル(28.1万トン)、コートジボワール(23.1万トン)、ナイジェリア(21.6万トン)が上位を占めています。これらの上位4カ国で全体生産の大多数を占め、特にアフリカの西部地域が生産の中心地であることが分かります。一方で、東南アジアや中南米からも一定の生産が見られ、カカオ生産が多様な気候帯に広がっている点も注目に値します。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アフリカ | 397,300 |
| 2 |
|
南アメリカ | 281,887 |
| 3 |
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アフリカ | 231,136 |
| 4 |
|
アフリカ | 216,000 |
| 5 |
|
アフリカ | 96,000 |
| 6 |
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南アメリカ | 75,272 |
| 7 |
|
オセアニア | 36,000 |
| 8 |
|
南アメリカ | 33,588 |
| 9 |
|
南アメリカ | 30,909 |
| 10 |
|
南アメリカ | 26,000 |
| 11 |
|
南アメリカ | 19,953 |
| 12 |
|
アフリカ | 17,750 |
| 13 |
|
アジア | 12,880 |
| 14 |
|
アフリカ | 10,000 |
| 15 |
|
アフリカ | 7,900 |
| 16 |
|
南アメリカ | 6,609 |
| 17 |
|
アフリカ | 6,340 |
| 18 |
|
アフリカ | 5,300 |
| 19 |
|
南アメリカ | 5,240 |
| 20 |
|
アフリカ | 4,549 |
| 21 |
|
アジア | 3,921 |
| 22 |
|
アジア | 3,313 |
| 23 |
|
アフリカ | 3,163 |
| 24 |
|
アフリカ | 3,000 |
| 25 |
|
南アメリカ | 3,000 |
| 26 |
|
アフリカ | 2,912 |
| 27 |
|
南アメリカ | 2,735 |
| 28 |
|
南アメリカ | 2,658 |
| 29 |
|
南アメリカ | 2,411 |
| 30 |
|
アジア | 2,000 |
| 31 |
|
南アメリカ | 1,780 |
| 32 |
|
オセアニア | 1,600 |
| 33 |
|
アフリカ | 1,380 |
| 34 |
|
南アメリカ | 1,251 |
| 35 |
|
アフリカ | 900 |
| 36 |
|
南アメリカ | 810 |
| 37 |
|
オセアニア | 700 |
| 38 |
|
南アメリカ | 617 |
| 39 |
|
南アメリカ | 603 |
| 40 |
|
アフリカ | 500 |
| 41 |
|
南アメリカ | 300 |
| 42 |
|
南アメリカ | 290 |
| 43 |
|
南アメリカ | 250 |
| 44 |
|
オセアニア | 197 |
| 45 |
|
南アメリカ | 113 |
| 46 |
|
アフリカ | 100 |
| 47 |
|
南アメリカ | 100 |
| 48 |
|
アフリカ | 80 |
| 49 |
|
南アメリカ | 78 |
| 50 |
|
オセアニア | 72 |
| 51 |
|
南アメリカ | 55 |
| 52 |
|
南アメリカ | 42 |
| 53 |
|
南アメリカ | 40 |
| 54 |
|
アフリカ | 21 |
| 55 |
|
アジア | 20 |
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カカオ豆は主にチョコレート製造の基盤となるコモディティとして、世界中で需要が高まり続けています。1975年のデータによれば、ガーナが世界最大の生産国であり、約39.7万トンという圧倒的な生産量を記録しています。この生産量は第2位のブラジル(28.1万トン)を大きく引き離しており、ガーナの農業や気候条件がカカオ生産に非常に適していることを物語っています。さらに、この時期に急速に生産量を伸ばしていたコートジボワールが3位を占め、ナイジェリアとともに西アフリカ諸国が世界の供給網の中心的な役割を担っていたことが明らかです。
カカオ生産の地理的分布に注目すると、アフリカ、南米および中米、東南アジアの熱帯地域が主な生産地であることがわかります。ただし、中南米は歴史的にカカオの起源地であるという点を考えると、ブラジルが2位に位置していることはその歴史的背景の延長線上にあると考えられます。一方、東南アジアのインドネシアやフィリピン、そしてパプアニューギニアといった国々が徐々にランキングに登場していることは、この地域でカカオ生産が1970年代に入り本格化しつつあった過程を示しています。
この時期の生産体制には多くの課題が伴っていました。ガーナやナイジェリアなどのアフリカ諸国では、カカオ農業が現地経済の柱となる一方で、労働環境や土地利用の効率性改善が求められていました。また、天候の変動や病害虫被害がカカオ収穫量に大きな影響を与えるリスクも存在しており、この問題は現在でも課題となっています。特にモニリア病(カカオの主要な病害)は中南米で深刻な影響を及ぼし、生産量の伸びを制限していました。
未来への課題に目を向けると、カカオ消費が増加の一途を辿る一方で、生産国が抱える労働および地政学的リスクがその供給を阻害する可能性があります。例えば、内戦や政情不安が当時のナイジェリアやコートジボワールで生じた場合、生産および物流への影響が顕著に表れていました。これに加えて、気候変動によるカカオ栽培適地の縮小が将来の大きな懸念材料となるでしょう。
これらの課題に対する具体的な解決策として、各国政府および国際機関が積極的にカカオ産業への技術支援を行うことが重要です。例えば、耐病性や干ばつ耐性を持った新しいカカオ品種の開発、また、気候変動への適応戦略を組み込んだ持続可能な農業プログラムが必要となります。さらに、カカオ豆の収穫から輸出に至るまでのサプライチェーンを強化し、公正な取引体制を確立することで、生産者の収益を保障しながら長期的な成長を促進する仕組みの構築も欠かせません。
持続可能なカカオ豆生産の未来は、消費国と生産国の協力が鍵を握ると考えられます。特に、西アフリカ諸国が中心となる地域間の協力体制や、グローバルな需要バランスをモニタリングする国際機関の役割がますます重要になるでしょう。これらの取り組みを通じて、地域経済の発展と環境の保全を両立しながら、世界のカカオ供給の安定を図っていく必要があります。