国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、バヌアツの豚飼育数は、1961年に52,600頭でしたが、近年では2022年に78,928頭となり、長期的には着実に増加している一方で、2015年以降は減少傾向を示しています。これらの変動は、地域の経済状況や農業政策、自然災害など複数の要因が影響していると考えられます。
バヌアツの豚飼育数推移(1961-2022)
年度 | 飼育数(頭) |
---|---|
2022年 | 78,928 |
2021年 | 80,656 |
2020年 | 82,191 |
2019年 | 83,745 |
2018年 | 84,674 |
2017年 | 86,905 |
2016年 | 89,305 |
2015年 | 92,089 |
2014年 | 94,000 |
2013年 | 94,000 |
2012年 | 93,000 |
2011年 | 92,000 |
2010年 | 90,000 |
2009年 | 89,000 |
2008年 | 89,000 |
2007年 | 88,694 |
2006年 | 82,432 |
2005年 | 80,000 |
2004年 | 78,000 |
2003年 | 75,000 |
2002年 | 72,000 |
2001年 | 68,000 |
2000年 | 66,000 |
1999年 | 62,000 |
1998年 | 62,000 |
1997年 | 61,000 |
1996年 | 61,000 |
1995年 | 60,000 |
1994年 | 60,000 |
1993年 | 60,000 |
1992年 | 60,000 |
1991年 | 60,000 |
1990年 | 60,000 |
1989年 | 58,000 |
1988年 | 58,000 |
1987年 | 77,000 |
1986年 | 76,000 |
1985年 | 75,000 |
1984年 | 74,000 |
1983年 | 72,792 |
1982年 | 72,000 |
1981年 | 71,000 |
1980年 | 68,000 |
1979年 | 66,000 |
1978年 | 65,000 |
1977年 | 64,000 |
1976年 | 63,500 |
1975年 | 62,800 |
1974年 | 61,900 |
1973年 | 61,000 |
1972年 | 60,000 |
1971年 | 59,000 |
1970年 | 58,000 |
1969年 | 57,000 |
1968年 | 56,000 |
1967年 | 55,000 |
1966年 | 54,000 |
1965年 | 53,500 |
1964年 | 53,000 |
1963年 | 60,000 |
1962年 | 52,000 |
1961年 | 52,600 |
バヌアツにおける豚の飼育数の推移を見ると、1960年代から1980年代半ばにかけてはほぼ安定的な増加傾向にありました。例えば、1961年の52,600頭から1985年には75,000頭を記録しており、ほぼ25年間で約1.4倍の増加を見せました。これは、豚がバヌアツの農村部における重要な家畜であり、伝統的儀式や経済活動、また一家の資産としての役割が大きいことと密接に関連しています。しかし、1988年から1994年の期間にかけて飼育数が60,000頭前後に停滞しました。これは、1987年に発生したサイクロンや経済的制約による影響が要因である可能性があります。
2000年代に入ると再び増加傾向が見られ、最も高い数値は2008年から2014年にかけて記録され、94,000頭というピークに達しました。この時期は、バヌアツ政府や国際機関による農業振興政策の一環として、家畜管理の効率化が進んでいたことが成果を示していると推察されます。しかしながら、2015年以降、再び下降のトレンドが見られます。2022年には78,928頭と、最盛期から約15,000頭以上の減少を記録しました。
この減少について考える際、いくつかの要因が挙げられます。2015年にはサイクロン・パムという大規模な自然災害がバヌアツを襲い、農業や家畜業に甚大な影響を及ぼしました。また、近年の気候変動の影響により作物の収量が不安定となり、豚の飼料供給に支障を来した可能性もあります。そのほか、グローバル化に伴う食生活の変化や都市化の進行により、農村での従来型の家畜飼育の重要性が相対的に低下していることも一因と考えられます。
今後の課題としては、気候変動への備えや災害時の家畜管理策の整備が挙げられます。例えば、飼料作物の栽培支援や、豚の健康状態を管理するための衛生インフラを整えることが求められるでしょう。さらに、豚を単なる食料資源としてだけでなく、農村振興や観光資源として活用する方向性を考えることも重要です。他国の事例として、フィリピンやインドネシアでは、家畜飼育と観光業を組み合わせることで農村地域の収益向上を実現している事例があります。バヌアツにおいても、文化的な儀式と家畜管理のシステムを保護しながら、外部からの訪問者を引き付ける方法を模索する価値があります。
さらに、国際協力の枠組みを活用し、家畜管理技術や災害対応技術の共有を促進することも良い対策となるでしょう。地政学的背景としてバヌアツは南太平洋という重要な輸送拠点に位置しており、地域の経済協力を強化する上でも家畜業の持続可能な成長が鍵となります。
結論として、過去数十年におけるバヌアツの豚飼育数の推移は、農村経済や気候的リスク、社会的変化に大きく左右されてきたと言えます。将来的にはこうした影響を踏まえつつ、持続可能な家畜飼育のモデルを構築していくことがバヌアツの農業発展にとって不可欠です。