Skip to main content

バヌアツの牛乳生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に発表したデータによると、バヌアツの牛乳生産量は1961年の680トンから長期的に増加し、1999年には3,000トンを記録しました。しかし2000年代以降は増減を繰り返しつつも概ね横ばいであり、特に2015年以降は減少傾向がみられ、2023年には2,323トンに低下しています。生産量は依然として小規模で、安定性のある成長が課題となっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 2,323
-5.19% ↓
2022年 2,450
0.17% ↑
2021年 2,446
0.53% ↑
2020年 2,433
0.44% ↑
2019年 2,422
0.38% ↑
2018年 2,413
1.14% ↑
2017年 2,386
-7.56% ↓
2016年 2,581
-14.81% ↓
2015年 3,030
-7.66% ↓
2014年 3,281
-6.25% ↓
2013年 3,500 -
2012年 3,500
2.94% ↑
2011年 3,400
7.45% ↑
2010年 3,164
0.45% ↑
2009年 3,150
0.64% ↑
2008年 3,130
7.93% ↑
2007年 2,900
-3.33% ↓
2006年 3,000
-3.23% ↓
2005年 3,100
9.03% ↑
2004年 2,843
-5.23% ↓
2003年 3,000
9.36% ↑
2002年 2,743
-5.4% ↓
2001年 2,900
-4.78% ↓
2000年 3,046
1.52% ↑
1999年 3,000
3.45% ↑
1998年 2,900
-2.83% ↓
1997年 2,984
0.05% ↑
1996年 2,983
0.05% ↑
1995年 2,981
2.8% ↑
1994年 2,900
11.54% ↑
1993年 2,600
13.04% ↑
1992年 2,300
-8% ↓
1991年 2,500
4.17% ↑
1990年 2,400
9.09% ↑
1989年 2,200
4.76% ↑
1988年 2,100 -
1987年 2,100
2.44% ↑
1986年 2,050
2.5% ↑
1985年 2,000
2.56% ↑
1984年 1,950
2.63% ↑
1983年 1,900
1.06% ↑
1982年 1,880
0.53% ↑
1981年 1,870
1.08% ↑
1980年 1,850
2.78% ↑
1979年 1,800 -
1978年 1,800 -
1977年 1,800
-5.26% ↓
1976年 1,900
5.56% ↑
1975年 1,800
2.86% ↑
1974年 1,750
2.94% ↑
1973年 1,700
3.66% ↑
1972年 1,640
2.5% ↑
1971年 1,600
3.9% ↑
1970年 1,540
5.48% ↑
1969年 1,460
5.8% ↑
1968年 1,380
9.52% ↑
1967年 1,260
5% ↑
1966年 1,200
11.11% ↑
1965年 1,080
10.2% ↑
1964年 980
11.36% ↑
1963年 880
12.82% ↑
1962年 780
14.71% ↑
1961年 680 -

バヌアツの牛乳生産量の推移データを紐解くと、過去半世紀以上にわたり重要な変化が観察されます。1961年から1970年代中頃にかけて生産量は順調に増加しており、これは当時の農業技術の向上や乳業の発展、さらには国内消費需要の増加が背景にあると考えられます。しかし1977年以降、生産の伸びが鈍化し、1980年代には一部横ばい傾向が見られました。この間の変化要因としては、農業資源の限界や徐々に進行する環境問題が影響している可能性が指摘されます。

1990年代の生産量の回復と持続的な成長は注目に値します。特に1995年の2,981トンや1999年の3,000トンを超える水準の達成は、農法の改善や政策的なサポート、例えば地域農業協力の拡大が背後にあった可能性があります。しかし、これ以降の傾向は低迷と振幅の繰り返しが特徴となり、顕著な増加傾向は見られなくなりました。

2010年代に入ると、生産量の減少傾向が顕著になり、2015年以降はより急激に低下しています。2023年に記録された2,323トンは過去数十年で最も低い値の部類に入り、この減少は複数の要因によるものと考えられます。一つは、バヌアツを含む南太平洋諸国が頻発する自然災害、特にサイクロンや長期的な気候変動の影響を受けやすいという地理的特性です。また、国内の農業労働力の減少やインフラの脆弱性も生産活動に制限を与えていると考えられます。

地政学的な背景を考慮すると、バヌアツの農業セクターは国内需要のみならず、国際市場や隣国との経済関係に左右されやすい状況にあります。他の牛乳生産国であるニュージーランドやオーストラリアと比較すると、生産規模のみならず品質面でも競争力に課題があります。このため、輸出市場での競争力を強化するには、より洗練された技術と市場戦略が求められるでしょう。

このような背景を踏まえ、バヌアツの牛乳生産を未来に向けて持続可能な成長軌道に乗せるためにはいくつかの具体的な施策が必要です。一つは、より耐久性のある気候順応型農業技術の導入を推進することです。例えば、乾燥や洪水などの極端な気候にも対応できる牧草の栽培や乳牛の品種改良が検討されるべきです。加えて、地元の農家と協力し生産量を安定させるための協同組合の形成や、金融面での支援の充実も重要でしょう。さらに、地域間の貿易協力を強化し、輸出市場の開拓に向けたインフラ整備を進めることで、外国からの投資を引き込むことも可能になるはずです。

最後に、教育や技術支援の導入を通じて、農業セクター全体の知識共有を促進することも見逃せません。世界銀行や国際連合機関との連携を深め、政策と資源投入を戦略的に配置することで、バヌアツの牛乳生産量は再び長期的な増加傾向を取り戻す可能性があると言えます。現地政府だけでなく地域および国際機関の協力が重要であり、こうした取り組みを通じて持続可能な成長が実現するでしょう。