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グレナダの牛乳生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、グレナダの牛乳生産量は2023年に643トンとなり、前年度の563トンから大幅に増加しました。過去には1960年代から1970年代前半にかけて生産量が比較的高い水準を維持していましたが、その後減少を続け、1980年代には大幅な生産量の低迷を記録しました。2000年代ではおおむね安定傾向が見られましたが、近年になり緩やかな成長が再び始まりつつあります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 643
14.35% ↑
2022年 563
0.17% ↑
2021年 562
0.17% ↑
2020年 561
0.13% ↑
2019年 560
0.82% ↑
2018年 556
0.17% ↑
2017年 555
-0.03% ↓
2016年 555
-0.03% ↓
2015年 555
-0.05% ↓
2014年 555
0.06% ↑
2013年 555
-0.61% ↓
2012年 558
-20.25% ↓
2011年 700
27.25% ↑
2010年 550
-16.21% ↓
2009年 657
7.36% ↑
2008年 612
10.95% ↑
2007年 551
6% ↑
2006年 520 -
2005年 520 -
2004年 520 -
2003年 520 -
2002年 520 -
2001年 520 -
2000年 520 -
1999年 520 -
1998年 520
-2.17% ↓
1997年 532
2.21% ↑
1996年 520 -
1995年 520
1.96% ↑
1994年 510
0.99% ↑
1993年 505
1% ↑
1992年 500
1.01% ↑
1991年 495
1.02% ↑
1990年 490
1.03% ↑
1989年 485
1.04% ↑
1988年 480
-4% ↓
1987年 500 -
1986年 500
-9.09% ↓
1985年 550
-8.33% ↓
1984年 600
-25% ↓
1983年 800
-20% ↓
1982年 1,000
-13.79% ↓
1981年 1,160 -
1980年 1,160
-7.2% ↓
1979年 1,250
-24.7% ↓
1978年 1,660
-2.35% ↓
1977年 1,700
-5.56% ↓
1976年 1,800
-3.74% ↓
1975年 1,870
3.89% ↑
1974年 1,800
8.43% ↑
1973年 1,660
-2.35% ↓
1972年 1,700
11.84% ↑
1971年 1,520
-2.56% ↓
1970年 1,560
1.96% ↑
1969年 1,530
0.66% ↑
1968年 1,520
8.57% ↑
1967年 1,400
-6.67% ↓
1966年 1,500
11.11% ↑
1965年 1,350
1.5% ↑
1964年 1,330
10.83% ↑
1963年 1,200 -
1962年 1,200
29.03% ↑
1961年 930 -

グレナダの牛乳生産量の長期的な推移を振り返ると、1961年の930トンから1975年の1,870トンまで右肩上がりで増加していたことがわかります。これは、この時期に農業基盤が拡張され、牛乳の取引や消費が促進されたことと関連していると考えられます。しかし、1980年代に急激な生産量の低下が発生しました。例えば、1983年には800トンにまで落ち込みました。この減少の背後には、農家の経済的困難や国内産業の他のセクターへのシフト、さらには外的要因による農業環境の変化があった可能性があります。

1990年代以降、牛乳生産量が500トン付近でほぼ横ばいとなったのは、需要の減少や生産効率の停滞が影響したと思われます。この期間には新たな農業技術や資本の投入が限られていた可能性が示唆されます。しかし、2000年代半ば以降、若干ではあるものの生産量に増加の兆しが見られます。特に2007年から2009年にかけて612トンや657トンという増加が観察されています。この背景には、農業復興への政府支援策や地域コミュニティによる取組があった可能性があります。

直近では、2023年に643トンという数値を示し、長期低迷期に比べると改善が見られています。この増加は、持続可能な農業プラクティスの導入や、地元および海外市場での乳製品需要に対応するための取り組みが奏功したためと考えられます。ただし、依然として中長期的な視点で見ると、全体量はピーク時の1975年の1,870トンには大きく及ばない水準にとどまっており、さらなる課題解決が求められます。

主要な課題として、農業生産基盤の不安定さや、気候変動による影響が指摘されます。グレナダはカリブ海に位置しており、熱帯気候により干ばつや洪水などの自然災害が頻発するリスクが高い地域です。これらの気象条件は家畜飼育や牧草地の維持を困難にし、短期的な生産量の変動を引き起こします。また、乳製品市場はグレナダ産牛乳を混入しない輸入品に一部依存しており、地元産業の競争力強化が優先課題となっています。

これらの問題に対処するためには、いくつかの具体的な対策が考えられます。たとえば、灌漑技術の導入や牧草地の改良を通じて、気象条件への適応力強化を図ることが重要です。また、小規模農家を支援し、乳牛の品種改良や衛生管理の向上を進めることで、生産効率向上や品質確保を目指すことができます。さらに、地域間協力を通じた技術共有や、地産地消プログラムの構築を促進することで、国内需要を満たしつつ輸入依存の低減を図ることが期待されます。

結論として、グレナダの牛乳生産量は現在、緩やかな回復基調にあり、直近の成功例があります。しかし、このポジティブな動きを持続的な成長につなげるには、さらに戦略的な農業支援政策が欠かせません。気候変動への適応や国際的な市場競争に対する柔軟な対応力を高めることが、今後の鍵となるでしょう。国際機関や地域連携も積極的に活用しながら、グレナダの乳生産産業を長期的に強化していく取り組みが求められます。