国際連合食糧農業機関(FAO)が発表する最新データによると、グレナダのニンジン・カブ類の生産量は、1961年の25トンから2023年の76トンまでゆるやかに増加しました。しかし、生産量は一旦1980年代に急増し、その後2000年代以降はほぼ横ばいで推移しています。特に2012年以降、生産量は76トンの一定水準で維持されており、これが安定した持続的な農業生産の目安となっています。
グレナダのニンジン・カブ類生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 76 |
-0.12% ↓
|
2022年 | 76 |
-0.12% ↓
|
2021年 | 76 |
-0.1% ↓
|
2020年 | 76 |
0.25% ↑
|
2019年 | 76 |
0.21% ↑
|
2018年 | 76 |
-0.21% ↓
|
2017年 | 76 |
-0.31% ↓
|
2016年 | 76 |
-0.82% ↓
|
2015年 | 77 |
0.48% ↑
|
2014年 | 77 |
0.56% ↑
|
2013年 | 76 |
-4.83% ↓
|
2012年 | 80 |
4.14% ↑
|
2011年 | 77 |
-0.16% ↓
|
2010年 | 77 |
-3.83% ↓
|
2009年 | 80 |
22.4% ↑
|
2008年 | 65 |
-18.3% ↓
|
2007年 | 80 |
2.43% ↑
|
2006年 | 78 |
-2.48% ↓
|
2005年 | 80 |
2.1% ↑
|
2004年 | 78 |
-0.23% ↓
|
2003年 | 79 |
-0.24% ↓
|
2002年 | 79 |
-0.24% ↓
|
2001年 | 79 |
-0.35% ↓
|
2000年 | 79 |
-0.25% ↓
|
1999年 | 79 |
-0.25% ↓
|
1998年 | 80 |
-0.25% ↓
|
1997年 | 80 |
-0.15% ↓
|
1996年 | 80 |
2.56% ↑
|
1995年 | 78 |
-4.88% ↓
|
1994年 | 82 |
3.8% ↑
|
1993年 | 79 |
-3.66% ↓
|
1992年 | 82 |
-4.65% ↓
|
1991年 | 86 |
-4.44% ↓
|
1990年 | 90 |
2.27% ↑
|
1989年 | 88 |
-1.12% ↓
|
1988年 | 89 |
4.71% ↑
|
1987年 | 85 |
-1.16% ↓
|
1986年 | 86 |
91.11% ↑
|
1985年 | 45 |
50% ↑
|
1984年 | 30 |
15.38% ↑
|
1983年 | 26 |
-3.7% ↓
|
1982年 | 27 |
3.85% ↑
|
1981年 | 26 |
-18.75% ↓
|
1980年 | 32 |
-8.57% ↓
|
1979年 | 35 |
-12.5% ↓
|
1978年 | 40 |
-11.11% ↓
|
1977年 | 45 |
12.5% ↑
|
1976年 | 40 |
81.82% ↑
|
1975年 | 22 |
22.22% ↑
|
1974年 | 18 |
12.5% ↑
|
1973年 | 16 |
-20% ↓
|
1972年 | 20 |
-13.04% ↓
|
1971年 | 23 |
-8% ↓
|
1970年 | 25 | - |
1969年 | 25 |
-16.67% ↓
|
1968年 | 30 | - |
1967年 | 30 | - |
1966年 | 30 | - |
1965年 | 30 |
7.14% ↑
|
1964年 | 28 | - |
1963年 | 28 |
12% ↑
|
1962年 | 25 | - |
1961年 | 25 | - |
グレナダにおけるニンジン・カブ類の生産量推移は、同国の農業セクターの発展や外的環境要因の影響を映し出す指標として注目されます。1960年代から1970年代にかけて、年間生産量は20トン台で推移していましたが、1976年に突然40トンへと倍増しました。この上昇には農業政策の変更や、より高効率な耕作方法の導入が寄与した可能性があります。その後1985年から1990年にかけて生産量は90トン近くまで高まりましたが、これ以降は微減を経て2000年代以降80トン前後に落ち着いています。
注目すべきは、特に2012年以降、生産量が76トンで一定に保たれている点です。このトレンドは、一見すると農業分野における安定を示しているようにも見えますが、逆に言えば、生産性の向上や新たな技術の導入が停滞している可能性も考えられます。他国と比較すると、例えば日本ではニンジンの生産量が年間100万トンを超える規模となっており、中国はさらにその数十倍におよびます。これに対し、島国の特性を持つグレナダは、地理的条件や市場規模の限界もあり、これらの国々と競争するのは現実的ではありませんが、少なくとも国内需要の増加や小規模な輸出市場の確立に注力する余地があると言えます。
問題点の一つとして、グレナダの小規模な農業基盤は気候変動や災害リスクに対して非常に脆弱です。2008年の生産落ち込み(65トン)や、1970年代前半の減少期はその典型例であり、これは自然災害や降水量の変動が影響を与えた可能性があります。さらに、新型コロナウイルスのパンデミック時においても他国と同様に農業サプライチェーンが混乱し、収穫や物流に悪影響を及ぼしたと推測されます。このようなリスクに対する防御策として、災害時や突発的な需要変動に対応可能な農業インフラの整備が求められます。
今後の課題として、持続的かつ効率的な生産体制の構築が挙げられます。これには、より多様な農作物へのシフトを図ることや、ニンジン・カブ類に特化した耐病性の強い品種の開発が効果的です。また、地域協力を通じて市場を広げる試みも重要です。カリブ海諸国間で食料輸出入を促進する枠組みの構築や、専用の物流ネットワークを整備することにより、グレナダの農産物が国際市場で競争力を持つ可能性があります。さらに、農家への支援として、技術的な教育や資金援助の提供も推進されるべきです。
結論として、グレナダのニンジン・カブ類の生産量は、過去数十年でおおむね成長を遂げ、近年では安定した水準に達しています。しかし、気候変動や災害への対応といった課題は残されており、さらなる成長を図るためには、革新的な技術導入とカリブ海地域との協力体制の強化が鍵となります。国や国際機関は、このような持続可能な農業振興を支えるための具体的な施策を進める必要があります。