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グレナダのキュウリ類生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、グレナダのキュウリ類生産量は、1982年の40トンから直近の2023年の447トンまで長期的な推移を見せています。1980年代から1990年代は低い生産量のまま持続的な増加が見られましたが、2000年代後半から急激な成長期を迎え、2016年には2,088トンのピークに達しました。しかしその後は急落し、2023年には447トンと、最高値から大幅に下落しています。この推移はグレナダの農業政策や気候変動、輸出需要の影響などが複雑に絡み合ったものと考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 447
-24.87% ↓
2022年 595
-32.84% ↓
2021年 886
11.45% ↑
2020年 795
-25.77% ↓
2019年 1,071
-3.95% ↓
2018年 1,115
19% ↑
2017年 937
-55.12% ↓
2016年 2,088
66.51% ↑
2015年 1,254
66.53% ↑
2014年 753
81.01% ↑
2013年 416
31.31% ↑
2012年 317
7.04% ↑
2011年 296
22.72% ↑
2010年 241
49.8% ↑
2009年 161
10.27% ↑
2008年 146
64.04% ↑
2007年 89
-17.59% ↓
2006年 108
36.71% ↑
2005年 79
-1.25% ↓
2004年 80 -
2003年 80 -
2002年 80
6.67% ↑
2001年 75 -
2000年 75 -
1999年 75
7.14% ↑
1998年 70 -
1997年 70 -
1996年 70
6.06% ↑
1995年 66
11.86% ↑
1994年 59
-28.05% ↓
1993年 82
43.86% ↑
1992年 57
14% ↑
1991年 50
-7.41% ↓
1990年 54
-1.82% ↓
1989年 55
5.77% ↑
1988年 52
1.96% ↑
1987年 51
4.08% ↑
1986年 49
44.12% ↑
1985年 34
61.9% ↑
1984年 21
-48.78% ↓
1983年 41
2.5% ↑
1982年 40 -

グレナダのキュウリ類生産量には、特定の年代を境にした変化の特徴が見られます。1982年から1992年の10年間、年間生産量は40トンから57トンと着実に増加しましたが、総量は小規模でした。これは、同国の農業が他の主要作物に重点を置いていたことや、キュウリ需要の限定的な増加に起因する可能性があります。その後、1993年以降、生産量は徐々に成長し、2006年の108トンや2009年の161トンというように、2000年代初頭から急激に数字を伸ばしています。この時期の成長は、観光業の発展や外貨獲得を目指した輸出志向型の政策の影響を反映していると考えられます。

特筆すべき点は2010年代の急速な成長です。2010年には241トン、2015年には1,254トン、2016年には2,088トンと記録的な数値を達成しました。この飛躍的な伸びは、輸出市場の拡大、大規模農業への投資、農業技術の導入などが一因と推測されます。一方で、2017年以降、再び急激な下降傾向が見られ、2023年には447トンとピーク時の4分の1以下にまで減少しました。この急落の背景には、気候変動による異常気象やハリケーン被害が農作物に悪影響を及ぼしたこと、農業従事者の減少、世界的な貿易の停滞など、複数の要因が考えられます。また、2019年からの新型コロナウイルス感染症の世界的流行による物流の停滞や観光業の不振も影響している可能性があります。

このデータから見て取れる重要な課題は、農業の安定性を高めることです。特に自然災害のリスクが高いカリブ海地域の地政学的背景を考慮すると、気候変動対策が喫緊の課題です。グレナダは、灌漑施設や耐災害性の高い農作物技術の導入を進めるべきです。また、長期的な視点で見ると、農業の多角化や農業従事者の育成が不可欠と言えます。国内消費市場を安定化させるとともに、既存の輸出市場を強化し、新たな市場の開拓を目指すことも重要です。

政策提言としては、灌漑システムの近代化に対する投資の増加、地域間での農業協力の活性化、さらに農業従事者への補助金や技術支援の拡充が挙げられます。更に、国際機関との連携を強化し、気候変動関連のプロジェクト資金を調達することも効果的です。また、物流を強化し、持続可能な輸出ルートを築くことも不可欠です。

結論として、グレナダのキュウリ類生産量の推移は、特に2010年代の大幅な増減を通じて、農業の成長可能性を示しつつも安定性の課題を浮き彫りにしました。気候変動、国際市場の競争、新型コロナのような外部要因などに対し、より柔軟でレジリエントな農業構造を構築することが、持続可能な経済発展への鍵となるでしょう。

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