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グレナダのキャベツ生産量推移(1961年~2023年)

国連食糧農業機関(FAO)の最新データによれば、グレナダのキャベツ生産量は1961年には25トンであったものの、その後長期的に増加傾向を示しています。特に2010年代に大幅な生産量の伸びが見られ、2015年には2,413トンと過去最高を記録しました。しかし、2020年以降は減少傾向に転じ、2022年の生産量は610トンと、短期間で大きな落ち込みを見せています。この動向は地政学的状況、自然災害、新型コロナウイルスの影響、農業政策などが絡み合った結果であると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 440
-27.87% ↓
2022年 610
-30.05% ↓
2021年 872
-9.26% ↓
2020年 961
-15.55% ↓
2019年 1,138
-13.2% ↓
2018年 1,311
26.06% ↑
2017年 1,040
-25.5% ↓
2016年 1,396
-42.15% ↓
2015年 2,413
112.23% ↑
2014年 1,137
61.51% ↑
2013年 704
40.53% ↑
2012年 501
8.66% ↑
2011年 461
37.71% ↑
2010年 335
69.94% ↑
2009年 197
35.86% ↑
2008年 145
-2.03% ↓
2007年 148
0.68% ↑
2006年 147
25.64% ↑
2005年 117
-41.11% ↓
2004年 199
11.13% ↑
2003年 179
5.86% ↑
2002年 169
-0.14% ↓
2001年 169
-5.8% ↓
2000年 180
0.22% ↑
1999年 179
12.37% ↑
1998年 159
-15.9% ↓
1997年 190
-13.85% ↓
1996年 220
-13.73% ↓
1995年 255
0.39% ↑
1994年 254
1.6% ↑
1993年 250
-1.96% ↓
1992年 255
12.33% ↑
1991年 227
12.38% ↑
1990年 202
5.21% ↑
1989年 192
7.26% ↑
1988年 179
2.29% ↑
1987年 175
24.11% ↑
1986年 141
135% ↑
1985年 60 -
1984年 60
87.5% ↑
1983年 32
-3.03% ↓
1982年 33
10% ↑
1981年 30
-6.25% ↓
1980年 32
-20% ↓
1979年 40
-29.82% ↓
1978年 57
3.64% ↑
1977年 55
41.03% ↑
1976年 39
21.88% ↑
1975年 32
6.67% ↑
1974年 30
11.11% ↑
1973年 27 -
1972年 27
-3.57% ↓
1971年 28 -
1970年 28
-3.45% ↓
1969年 29 -
1968年 29
-3.33% ↓
1967年 30 -
1966年 30 -
1965年 30 -
1964年 30
7.14% ↑
1963年 28 -
1962年 28
12% ↑
1961年 25 -

グレナダのキャベツ生産量推移を見ると、1960年代から1980年代までの間は比較的低い水準で推移しており、年間30トンから60トン程度にとどまっています。この時期、同国におけるキャベツ生産は主に自国内での消費を満たすための小規模な農業活動が中心でした。一方で、1980年代中盤以降、生産量は急速に拡大しました。特に1986年から1995年にかけての生産量の上昇(141トンから255トンへの増加)は、新たな農業技術の導入や農産物市場の拡充が寄与したと推測されます。

1996年以降には一時的な減少が見られますが、2010年代に入ると再び急激な増加が観察されます。2013年から2015年の間には生産量が704トンから2,413トンにまで拡大するという驚異的な成長率を記録しました。この時期の増加要因としては、農業支援政策や農産物に対する国際的な需要の増加、輸出市場の拡大などが挙げられます。しかしながら、この急成長には持続可能性の問題がつきまとい、インフラや人的資源、さらには気候変動の影響に対する備えが不十分であったため、2016年以降は再び減少傾向に入ります。

特に2020年以降、生産量の落ち込みが顕著です。この背景には、新型コロナウイルス大流行によるサプライチェーンの崩壊や、輸出入制限の影響が挙げられます。また、グレナダを含むカリブ地域では近年、異常気象の頻発が農業全体に深刻な影響を与えており、キャベツ生産量の減少もこれらの影響から免れることはできませんでした。さらに農業従事者の高齢化や若年人口の農業離れも、生産性低下を加速させる要因となっている可能性があります。

今後の課題としては、まず気候変動に対する農業分野の耐性を強化する必要があります。具体的には、干ばつや台風に強いキャベツの品種を開発・導入すること、農業灌漑システムを改善することが求められます。また、地域間協力を強化し、カリブ共同体(CARICOM)を通じた技術支援や、農産物の輸出入を円滑化するための枠組みづくりも重要です。さらに、若年層が農業に関心を持てるようなプログラムや奨励策を充実させ、農業従事者を増やすことも欠かせません。

結論として、グレナダのキャベツ生産量はこれまで長期的には増加傾向を辿ってきましたが、近年の低迷の要因にはグローバルおよび地域的な不確実性の影響が大きいことが分かります。この状況を打開するためには、持続可能な農業システムの構築や災害対策、さらにはコスト削減を目指した農業技術の向上が必要です。これらの取り組みが進めば、再び生産量を安定的に増加させることができるでしょう。そして、それはグレナダの農業セクター全体の強化にもつながるはずです。