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セントビンセントおよびグレナディーン諸島の牛乳生産量推移(1961年~2023年)

1961年から2023年までの国際連合食糧農業機関(FAO)が提供するデータによれば、セントビンセントおよびグレナディーン諸島の牛乳生産量は長期間にわたり緩やかな増加傾向を示していましたが、1980年代後半以降は減少や不安定な変動が見られました。特に2014年以降、牛乳の生産量は急激に減少しており、2023年の生産量728トンはピーク時(1986年の1,480トン)の半分以下となっています。この大幅な減少は、食料政策、環境変化、地政学的要因など多様な影響の結果と見られます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 728
-1.49% ↓
2022年 739
-4.06% ↓
2021年 771
-4.07% ↓
2020年 804
-4.74% ↓
2019年 844
-0.44% ↓
2018年 847
-4.92% ↓
2017年 891
-3.92% ↓
2016年 927
-5.11% ↓
2015年 977
-5.06% ↓
2014年 1,029
-29% ↓
2013年 1,450
20.37% ↑
2012年 1,205
-13.96% ↓
2011年 1,400
10.15% ↑
2010年 1,271
-5.85% ↓
2009年 1,350
3.85% ↑
2008年 1,300 -
2007年 1,300
4% ↑
2006年 1,250
13.64% ↑
2005年 1,100
-8.33% ↓
2004年 1,200 -
2003年 1,200
-17.24% ↓
2002年 1,450
3.57% ↑
2001年 1,400
2.19% ↑
2000年 1,370
0.74% ↑
1999年 1,360
-4.76% ↓
1998年 1,428
5% ↑
1997年 1,360
0.74% ↑
1996年 1,350
-0.74% ↓
1995年 1,360
0.74% ↑
1994年 1,350
3.85% ↑
1993年 1,300
1.56% ↑
1992年 1,280
0.79% ↑
1991年 1,270
-5.22% ↓
1990年 1,340
-3.6% ↓
1989年 1,390
-2.11% ↓
1988年 1,420
5.19% ↑
1987年 1,350
-8.78% ↓
1986年 1,480
2.07% ↑
1985年 1,450 -
1984年 1,450
0.69% ↑
1983年 1,440
1.41% ↑
1982年 1,420 -
1981年 1,420
1.43% ↑
1980年 1,400
2.94% ↑
1979年 1,360 -
1978年 1,360
0.74% ↑
1977年 1,350 -
1976年 1,350
0.75% ↑
1975年 1,340 -
1974年 1,340
0.75% ↑
1973年 1,330 -
1972年 1,330
0.76% ↑
1971年 1,320 -
1970年 1,320
0.76% ↑
1969年 1,310 -
1968年 1,310
0.77% ↑
1967年 1,300 -
1966年 1,300
0.78% ↑
1965年 1,290 -
1964年 1,290
0.78% ↑
1963年 1,280 -
1962年 1,280
0.79% ↑
1961年 1,270 -

セントビンセントおよびグレナディーン諸島における牛乳生産量の推移を見ると、1961年の1,270トンから1980年代半ばにかけては約1,500トン近くまで漸増していました。この間、農業技術の改善や国内需要の拡大、それに伴う酪農業の発展が生産量の増加に寄与したと考えられます。しかしながら、1987年に1,350トンへと減少したのを皮切りに、生産量は年ごとの変動が大きくなり、2003年には1,200トンへと急落しました。一時的に持ち直したものの、2013年以降は大幅な減少が再び始まり、2023年には728トンと記録的な減少を見せています。

この生産量の減少には複数の要因が影響していると推測されます。まず、経済や食糧政策の変化が挙げられます。特に酪農業への公的支援や市場統制が十分でない場合、農家の生産意欲が低下することがあります。また、外部からの輸入乳製品が増加した結果、国内市場での牛乳の需要が低下した可能性も否定できません。例えば、隣国やより大規模な酪農生産国から安価な輸入品が増えたことで地元生産に対する競争圧力が高まった可能性があります。

さらに、気候変動の影響も重要です。セントビンセントおよびグレナディーン諸島は小規模な島嶼国家であり、自然災害の影響を受けやすい特徴を持ちます。例えば、台風や干ばつによる飼料作物の減少が、畜産業全体、特に牛乳生産に悪影響を及ぼした可能性があります。また、地球規模の気温上昇が乳牛の生産性を低下させたとも考えられます。

地政学的なリスクも無視できない要因です。例えば、国際石油価格の変動や輸送コストの増加が、酪農業や製品流通に与える負の影響があったかもしれません。また、国際的な貿易協定や制限が変化した際に、地域経済の弱体化を助長した可能性もあります。

今後の課題として、牛乳生産量が継続して減少した場合、同国の食料安全保障に悪影響を及ぼすリスクが高まります。また、酪農家の収入減少や地元経済の弱体化も懸念されます。特に災害や疫病が発生した場合、輸入に大きく依存することは食料供給網全体にとって不安定要素となる可能性があります。

解決策として、いくつかの具体的な対応が考えられます。まず第一に、国内酪農業の効率化を図るための技術支援や教育プログラムの実施が効果的です。また、乳牛の飼育環境を改善するためのインフラ整備や、持続可能な農業技術の導入も急務と考えられます。同時に、輸入品との競争に対応するための政策措置や地元産品を支援するマーケティング施策も必要です。さらに、国際的な協力を通じて、気候変動への適応策を推進することも重要です。例えば、災害に強い農業技術の共有や、気候変動の影響を受けにくい飼料作物の開発が想定されます。

このような取り組みを通じて、セントビンセントおよびグレナディーン諸島における牛乳生産の持続可能性を確保し、長期的に食料自給率や経済成長を改善することが期待されます。国や国際機関、民間団体が協力し、これらの課題に対処していくことが求められます。