Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、セントビンセントおよびグレナディーン諸島のリンゴ生産量は、長期にわたる増加と一部の波動を経ながら、2022年には1,645トンに達しました。この推移からは大幅な成長の段階と停滞または減少の時期が見られます。特に1979年から1985年にかけて急激に生産量が伸び、その後1990年代にはやや停滞しました。近年のデータでは、2015年以降再び生産量が上昇傾向にあり、持続可能な成長が期待されています。
セントビンセントおよびグレナディーン諸島のリンゴ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 1,653 |
0.49% ↑
|
2022年 | 1,645 |
8.49% ↑
|
2021年 | 1,516 |
1.07% ↑
|
2020年 | 1,500 |
1.21% ↑
|
2019年 | 1,482 |
-18.84% ↓
|
2018年 | 1,826 |
2.93% ↑
|
2017年 | 1,774 |
69.6% ↑
|
2016年 | 1,046 |
2.45% ↑
|
2015年 | 1,021 |
3.13% ↑
|
2014年 | 990 |
-13.84% ↓
|
2013年 | 1,149 |
-3.93% ↓
|
2012年 | 1,196 |
-1.16% ↓
|
2011年 | 1,210 |
14.37% ↑
|
2010年 | 1,058 |
-35.37% ↓
|
2009年 | 1,637 |
16.94% ↑
|
2008年 | 1,400 |
7.69% ↑
|
2007年 | 1,300 |
4% ↑
|
2006年 | 1,250 | - |
2005年 | 1,250 |
4.17% ↑
|
2004年 | 1,200 |
4.35% ↑
|
2003年 | 1,150 |
9.52% ↑
|
2002年 | 1,050 |
5% ↑
|
2001年 | 1,000 |
25% ↑
|
2000年 | 800 |
6.67% ↑
|
1999年 | 750 |
7.14% ↑
|
1998年 | 700 |
10.24% ↑
|
1997年 | 635 |
17.59% ↑
|
1996年 | 540 |
-14.29% ↓
|
1995年 | 630 |
1.61% ↑
|
1994年 | 620 |
1.64% ↑
|
1993年 | 610 |
35.56% ↑
|
1992年 | 450 |
-6.25% ↓
|
1991年 | 480 |
-20% ↓
|
1990年 | 600 |
-14.29% ↓
|
1989年 | 700 | - |
1988年 | 700 |
-12.5% ↓
|
1987年 | 800 |
-20% ↓
|
1986年 | 1,000 | - |
1985年 | 1,000 |
42.86% ↑
|
1984年 | 700 |
55.56% ↑
|
1983年 | 450 |
50% ↑
|
1982年 | 300 | - |
1981年 | 300 |
76.47% ↑
|
1980年 | 170 |
-43.33% ↓
|
1979年 | 300 |
130.77% ↑
|
1978年 | 130 |
18.18% ↑
|
1977年 | 110 |
15.79% ↑
|
1976年 | 95 |
5.56% ↑
|
1975年 | 90 |
12.5% ↑
|
1974年 | 80 |
33.33% ↑
|
1973年 | 60 | - |
1972年 | 60 | - |
1971年 | 60 |
50% ↑
|
1970年 | 40 |
100% ↑
|
1969年 | 20 |
33.33% ↑
|
1968年 | 15 | - |
1967年 | 15 |
50% ↑
|
1966年 | 10 | - |
1965年 | 10 | - |
1964年 | 10 | - |
1963年 | 10 | - |
1962年 | 10 | - |
1961年 | 10 | - |
セントビンセントおよびグレナディーン諸島のリンゴ生産量は、1961年から2022年まで一貫して記録されており、その変化は地域農業の進展や経済的影響を表しています。最初のデータである1961年から1970年までは、生産量がわずか10〜40トンに留まっていました。この時期、農業技術や資源投入が限定的であり、リンゴ生産が大規模産業としての位置を占めていなかったことが考えられます。
1970年代後半から1980年代初頭にかけては、革新的な農業技術や生産投資が行われた可能性があり、1979年には300トン、1984年には700トンと顕著な増加を記録しています。この地域でのリンゴ需要増加や輸出機会の拡大、あるいは国内消費パターンの変化が要因として推測されます。しかし、1987年以降一部の年では減少傾向が見られ、600〜800トンに戻る現象が発生しました。この要因には気候変動、農地減少、新たな作物育成との競争などが絡んでいる可能性があります。
1990年代後半から2000年代にかけては、620トン程度を基準としながらも再び上昇が見られ、2004年には1,200トン、2009年には1,637トンまで増加しました。しかし、2010年の急落(1,058トン)やその後数年間の波動から、外部要因――たとえば異常気象や市場価格の変動――がこの地域のリンゴ生産に影響を及ぼした可能性が考えられます。
近年では、2017年以降特に生産量が顕著に伸長し、2018年には1,826トンと過去最高値を更新しています。この背景には、持続可能な農業政策の実施や生産効率の向上、新たな農場の整備が含まれるかもしれません。しかし、2019年以降一時的な減少も見られており、これが新型コロナウイルスの影響――特に輸送や労働力確保の困難――によるものだと考えられます。
将来的な課題としては、リンゴ栽培が抱える気候変動の影響への対応が挙げられます。この地域は熱帯気候に属し、異常気象や台風などの自然災害がしばしば農業に大きな打撃を与えます。また市場の多様化と国際競争の激化が進む中で、品質向上や差別化が重要な戦略といえるでしょう。
国内外の事例を参考にした具体的な対策として、持続可能な農業技術のさらなる導入や、品質管理に特化した研修制度の充実、現地での灌漑システムの改善が挙げられます。また、輸出の市場開拓として、リンゴの加工品――例えばジュースやジャム――の生産を強化することで、付加価値を向上させることも有効です。
このデータが示す長期的な成長と一時的な停滞の変動を考慮すれば、国際的な協力がこの地域のリンゴ産業の持続可能な発展に寄与するでしょう。気候変動対策や貿易支援策の拡充を目的とし、国際機関や周辺国とのパートナーシップを強化することが期待されています。このような包括的なアプローチこそが、セントビンセントおよびグレナディーン諸島のリンゴ生産を次のステージへ引き上げる鍵となるでしょう。