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セントビンセントおよびグレナディーン諸島のカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタン生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新のデータによると、セントビンセントおよびグレナディーン諸島におけるカボチャ、スクワッシュ、ヒョウタンの生産量は、1961年の50トンから2010年代中盤まで概ね増加傾向を示していました。しかし、2020年以降は急激な減少が見られ、2023年には138トンと、直近ピークの2005年(820トン)以降、約83%減少しています。これには自然災害、経済的要因、地政学的リスクなどが絡んでいると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 138
-57.56% ↓
2022年 325
-21.35% ↓
2021年 413
-8.73% ↓
2020年 453
-7.36% ↓
2019年 489
1.45% ↑
2018年 482
-2.63% ↓
2017年 495
21.62% ↑
2016年 407
33.01% ↑
2015年 306
-40% ↓
2014年 510
-11.61% ↓
2013年 577
1.23% ↑
2012年 570
74.31% ↑
2011年 327
6.51% ↑
2010年 307
-37.95% ↓
2009年 495
-23.88% ↓
2008年 650
-13.33% ↓
2007年 750
7.14% ↑
2006年 700
-14.63% ↓
2005年 820
2.5% ↑
2004年 800
19.4% ↑
2003年 670
15.52% ↑
2002年 580
3.57% ↑
2001年 560
1.82% ↑
2000年 550
14.58% ↑
1999年 480
2.13% ↑
1998年 470
-11.32% ↓
1997年 530
17.78% ↑
1996年 450
-10% ↓
1995年 500
11.11% ↑
1994年 450
32.35% ↑
1993年 340
-10.53% ↓
1992年 380
15.15% ↑
1991年 330
-21.43% ↓
1990年 420
32.08% ↑
1989年 318
4.95% ↑
1988年 303
108.97% ↑
1987年 145 -
1986年 145
-0.68% ↓
1985年 146
23.73% ↑
1984年 118
-1.67% ↓
1983年 120
9.09% ↑
1982年 110 -
1981年 110
10% ↑
1980年 100 -
1979年 100 -
1978年 100
-0.99% ↓
1977年 101
-47.4% ↓
1976年 192
74.55% ↑
1975年 110
-8.33% ↓
1974年 120
50% ↑
1973年 80
-27.27% ↓
1972年 110
37.5% ↑
1971年 80
33.33% ↑
1970年 60
-25% ↓
1969年 80
23.08% ↑
1968年 65 -
1967年 65
8.33% ↑
1966年 60 -
1965年 60
9.09% ↑
1964年 55 -
1963年 55
10% ↑
1962年 50 -
1961年 50 -

セントビンセントおよびグレナディーン諸島は、カリブ海に浮かぶ小さな島国であり、その主な農産物としてカボチャ、スクワッシュ、ヒョウタンなどが挙げられます。この3種を含む農産物の輸出は、国の経済において重要な役割を果たしてきました。1960年代から1990年代にかけて、同地域の生産量は漸進的に増加し、1990年には420トン、2005年には820トンと安定的な成長が見られました。この上昇については、農業技術の発展、輸出の需要増加、政府の奨励政策などが寄与したとされています。しかしその後、徐々に波が見え始め、2020年代にかけて減少が顕著になっています。

2023年までに生産量が大幅に減少した主な要因としては、地域における自然災害の頻発が挙げられます。カリブ海地域はハリケーンや台風の被害を受けやすく、農地が損壊したり、作物自体が被害を受けることが多々あります。特に、2023年の138トンへの劇的な生産量減少は、近年の気候変動による気象条件の悪化の影響と考えられるでしょう。また、農村地域の労働力不足という社会的課題や、輸出市場の競争激化も生産を難しくしている原因となっています。

さらに、地政学的リスクも見逃せません。カリブ海地域全体の輸出経路が、国際取引や貿易摩擦の影響を受けることは周知の事実です。特定の輸出市場、特にヨーロッパや北米への輸出が制限や規制に直面した場合、農業の生産意欲が低下する可能性も否定できません。特に、新型コロナウイルスのパンデミックがもたらした国際物流の停滞や経済圏の縮小も、生産量減少に大きく影響しています。

これらの課題に直面する中で、いくつかの具体的な対策が必要です。まず、気候変動に適応した農業技術の導入が不可欠です。例えば、台風や乾燥に強い新品種の作物を開発し普及させることが重要でしょう。また、小規模農家の生計を支えるための政府主導の経済支援や融資の提供、労働力不足に対応するための移民政策強化も検討すべき項目です。

生産量減少が示唆するもう一つの課題は、農業セクターの持続可能性です。長期的には地元市場を優先しつつ、付加価値の高い有機農産物としての市場ポジションを確立する戦略も有効です。さらに、地域間協力を強化し、カリブ海諸国と共同して輸出促進や災害リスク管理の枠組みを構築することが重要です。

今回のデータは、セントビンセントおよびグレナディーン諸島のみならず、同じような課題を抱える小規模島嶼国にも示唆を与えます。農業の気候変動適応力を強化し、地域間の協力を深化させることが今後の発展の鍵です。国際社会、とりわけFAOや世界銀行などの機関が協調して支援することで、これらの地域の農業が再び安定した成長軌道に乗る可能性があります。