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セントビンセントおよびグレナディーン諸島のサツマイモ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、セントビンセントおよびグレナディーン諸島のサツマイモ生産量は、1961年から2022年までの期間で大きな変動を見せています。1961年の4,536トンから、1986年にはピークの11,802トンを記録。しかしその後は減少傾向が続き、2022年には1,822トンにまで落ち込んでいます。この変動の背景には、農業の外的要因や政策、地政学的な影響が関わっている可能性があります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 836
-54.12% ↓
2022年 1,822
-8.7% ↓
2021年 1,996
-10.05% ↓
2020年 2,219
-11.24% ↓
2019年 2,500
15.1% ↑
2018年 2,172
2.94% ↑
2017年 2,110
-10.4% ↓
2016年 2,355
-15.07% ↓
2015年 2,773
-11.12% ↓
2014年 3,120
10.36% ↑
2013年 2,827
-6.33% ↓
2012年 3,018
11% ↑
2011年 2,719
-9.91% ↓
2010年 3,018
7.79% ↑
2009年 2,800
27.27% ↑
2008年 2,200
-4.35% ↓
2007年 2,300
0.13% ↑
2006年 2,297
83.76% ↑
2005年 1,250
2.04% ↑
2004年 1,225
7.83% ↑
2003年 1,136
-24.27% ↓
2002年 1,500
-7.12% ↓
2001年 1,615
-12.7% ↓
2000年 1,850
-15.18% ↓
1999年 2,181
2.01% ↑
1998年 2,138
31.89% ↑
1997年 1,621
-15.79% ↓
1996年 1,925
6.35% ↑
1995年 1,810
-10.84% ↓
1994年 2,030
-31.37% ↓
1993年 2,958
-26.05% ↓
1992年 4,000
3.9% ↑
1991年 3,850
35.23% ↑
1990年 2,847
-27.61% ↓
1989年 3,933
-50.6% ↓
1988年 7,962
73.24% ↑
1987年 4,596
-61.06% ↓
1986年 11,802
38.67% ↑
1985年 8,511
267.17% ↑
1984年 2,318
113.64% ↑
1983年 1,085
-25.17% ↓
1982年 1,450
5.92% ↑
1981年 1,369
-35.12% ↓
1980年 2,110
45.42% ↑
1979年 1,451
-8.45% ↓
1978年 1,585
43.57% ↑
1977年 1,104
-65.61% ↓
1976年 3,210
65.89% ↑
1975年 1,935
-14.68% ↓
1974年 2,268
-16.68% ↓
1973年 2,722
-6.23% ↓
1972年 2,903
-20.03% ↓
1971年 3,630 -
1970年 3,630
-22.8% ↓
1969年 4,702
3.11% ↑
1968年 4,560
1.33% ↑
1967年 4,500
-37.99% ↓
1966年 7,257 -
1965年 7,257
33.33% ↑
1964年 5,443 -
1963年 5,443
20% ↑
1962年 4,536 -
1961年 4,536 -

セントビンセントおよびグレナディーン諸島のサツマイモ生産量の推移を見てみると、大きな増減が特徴的です。1961年から1965年にかけて、安定した生産量(約4,500トン)から急増し、1965年には7,257トンを記録しました。しかし、それ以降の10年間は不安定な状態が続き、特に1970年代後半に劇的な減少が見られます。この1980年代前半までの生産低下は、主に自然災害(熱帯低気圧や干ばつ)や農業インフラの不備が原因と考えられます。この時期、サツマイモ農家が離農したことも影響したかもしれません。

1985年以降、特に1986年には11,802トンに達する急激な生産回復が見られましたが、その後短期間で再び減少。この分野の一時的な好況は、地元および国際市場の需要増加や政策的支援によるものと推測されますが、継続できなかった理由として、関連インフラおよび技術の不十分さが挙げられます。また、その後の世界的な貿易構造の変化や国内経済の多角化が、農業部門への注力を減少させた可能性も考えられます。

1990年代以降、年間生産量は2,000トン前後で推移しており、ここ数十年は安定を保っていますが、この期間中に目立った成長トレンドは確認できませんでした。2022年の生産量である1,822トンは、生産の低迷とともに市場競争の厳しさを示唆しています。この原因として、サツマイモ需要の変化、気候変動の影響による収穫期の異常気象への脆弱性、それに災害時の迅速な復旧体制の未整備が挙げられます。

国際的に見ても、セントビンセントおよびグレナディーンはサツマイモ生産の主要輸出国とは考えられておらず、国内の自給目的が主と推測されます。一方で、日本、中国、アメリカなど、サツマイモの栽培に力を入れている国々では、生産技術の近代化や品種改良を積極的に行い、収量や耐病性の向上を実現しています。セントビンセントおよびグレナディーン諸島でも、他国の事例を参考に、品種改良や災害リスク管理が重要な課題となるでしょう。

今後の対策として、近代的な農業技術導入が不可欠です。具体的には、土壌改良や灌漑設備の整備による生産効率の向上、気候変動に強い品種の導入、また国際協力を活用した技術移転が奨励されます。さらに、サツマイモの加工品市場を開拓することで、付加価値の高い製品展開を目指すことも生産者にとって利益を拡大する手段となるでしょう。

また、地政学的リスクとして、ハリケーンの被害や物流インフラの脆弱性への対応は不可欠です。地域全体での災害対策計画を導入し、農業従事者への支援を拡充することが求められます。近年の新型コロナウイルスのパンデミックにおいても、物流の停滞や輸出入の制限がサツマイモ生産に影響を与えた可能性が高いため、このような国際的な情勢の変化への耐性を強化することも重要です。

総じて、セントビンセントおよびグレナディーン諸島のサツマイモ生産は、多くの外的要因によって影響を受けてきました。長期的な視野で農業技術や政策の改善に取り組むことで、国内自給率の安定化と輸出産業としての可能性を模索できるはずです。