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セントビンセントおよびグレナディーン諸島のココナッツ生産量推移(1961年~2023年)

セントビンセントおよびグレナディーン諸島のココナッツ生産量は1961年から安定して2万トン以上を保っていましたが、1990年代前半に急激に減少し、その後の数十年間は低迷が続いています。2023年時点では1,983トンと、過去最低水準となっています。この長期的な減少の背景には、気候変動、農業従事者の減少、経済構造の変化などが関与していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,983
-25.63% ↓
2022年 2,666
-4.76% ↓
2021年 2,800
-1.7% ↓
2020年 2,848
5.48% ↑
2019年 2,700
3.13% ↑
2018年 2,618
6.64% ↑
2017年 2,455
2.08% ↑
2016年 2,405
7.08% ↑
2015年 2,246
-0.58% ↓
2014年 2,259
-2.38% ↓
2013年 2,314
13.6% ↑
2012年 2,037
-5.87% ↓
2011年 2,164
8.2% ↑
2010年 2,000
-60% ↓
2009年 5,000
2.04% ↑
2008年 4,900
4.26% ↑
2007年 4,700
9.3% ↑
2006年 4,300
3.61% ↑
2005年 4,150
-1.19% ↓
2004年 4,200
3.19% ↑
2003年 4,070
0.25% ↑
2002年 4,060
23.4% ↑
2001年 3,290
58.17% ↑
2000年 2,080
-40.06% ↓
1999年 3,470
-42.83% ↓
1998年 6,070
-19.71% ↓
1997年 7,560
-0.53% ↓
1996年 7,600
11.76% ↑
1995年 6,800
-32% ↓
1994年 10,000
-64.29% ↓
1993年 28,000
7.69% ↑
1992年 26,000
13.04% ↑
1991年 23,000
15% ↑
1990年 20,000
-4.76% ↓
1989年 21,000
-4.55% ↓
1988年 22,000
-4.35% ↓
1987年 23,000
-6.29% ↓
1986年 24,544
5.02% ↑
1985年 23,370
0.6% ↑
1984年 23,230
33.47% ↑
1983年 17,405
-12.93% ↓
1982年 19,990
5.99% ↑
1981年 18,860
-7.55% ↓
1980年 20,400
-24.89% ↓
1979年 27,160
-10.66% ↓
1978年 30,400
33.33% ↑
1977年 22,800
38.18% ↑
1976年 16,500
-19.51% ↓
1975年 20,500
-4.65% ↓
1974年 21,500
7.5% ↑
1973年 20,000
-20% ↓
1972年 25,000
-10.71% ↓
1971年 28,000
16.67% ↑
1970年 24,000
14.29% ↑
1969年 21,000
-4.55% ↓
1968年 22,000
-10.93% ↓
1967年 24,700
4.22% ↑
1966年 23,700
12.86% ↑
1965年 21,000
2.44% ↑
1964年 20,500 -
1963年 20,500 -
1962年 20,500
-4.21% ↓
1961年 21,400 -

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータを基に、セントビンセントおよびグレナディーン諸島のココナッツ生産動向について考察します。この小さなカリブ海の島国では、ココナッツが農業生産の重要な位置を占めていました。1961年には21,400トンを記録し、これは同地域の他の農業製品と比べても大きな貢献をしていた量でした。しかし、1990年代以降、生産量は急激に減少し、特に1994年には10,000トン、1999年には3,470トンまで落ち込みました。2023年の生産量は1,983トンと、この下降傾向の中で最低水準となっています。

この推移から分かるのは、ココナッツ生産が大規模に衰退したことです。原因として考えられるのは、まず気候変動の影響による自然災害の増加です。特に熱帯域に位置するこの地域では、頻繁に訪れるハリケーンが農地と作物に莫大な被害をもたらします。さらに、土壌の劣化や海岸部での塩害もココナッツ農業に深刻な影響を与えてきました。また、1990年代以降、国際市場での価格競争が激化し、安価で大量生産が可能な東南アジア諸国との競争にさらされたことも淘汰の一因となったと考えられます。

さらに、他の産業への労働力移行が進んだことも、農業従事者の減少に拍車をかけました。観光産業の発展や都市部への人口集中が進む中で、農業に従事する若年層が減少したことがココナッツ生産低迷の一端といえるでしょう。このような産業変化は、経済的な多様化には寄与しましたが、伝統的な農業の維持には逆行する形となりました。

今後の課題としては、まず気候変動対策が重要です。セントビンセントおよびグレナディーン諸島が直面している自然災害リスクを軽減するためには、耐塩性や耐風性のある新しいココナッツの品種を導入することが緊急の課題です。それに加え、劣化した土壌を回復させるための技術や、持続可能な農業方法の普及も求められています。国際連携の枠組みを活用して資金や技術支援を受けることが、これらの課題解決には不可欠でしょう。

また、地元生産と国際市場を繋ぐ販路の強化や、加工品を通じた付加価値の向上も検討の価値があります。たとえば、ココナッツオイルやココナッツウォーターといった製品は近年、健康志向の高まりを背景に市場価値が上昇しています。この流れに乗り、新たなマーケティング戦略を開発することで、農業の競争力を再構築する可能性があります。

最後に、自然災害や市場変動に対抗するための保険制度や補助金制度の整備も地域的な安定に寄与するでしょう。将来的には、観光客を巻き込んだ持続可能な農業ツーリズムも、地域の認知度と経済的基盤を強化する手法として期待されています。

以上の課題を踏まえ、セントビンセントおよびグレナディーン諸島のココナッツ農業は、これまでの成長期と停滞期を教訓に持続可能な発展を目指すべきです。これは同国に住む人々の生活を守るだけでなく、地域全体の未来に大きく影響する重要な取り組みです。

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