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ルーマニアの鶏卵生産量の推移【1961年~2023年】世界ランキング・統計データ

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、ルーマニアの鶏卵生産量の推移は時代によって大きく変動しています。1961年には約12万トンで始まり、1984年には38万2,600トンとピークを迎えました。しかし、その後1990年代から減少に転じ、2000年代半ばに一時回復したものの、近年は再び減少傾向が見られます。2019年の生産量は約27万8,000トンと、ピーク時に比べて約27%減少しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2019年 278,203
-2.61% ↓
2018年 285,656
-2.85% ↓
2017年 294,046
-2.99% ↓
2016年 303,099
-5.03% ↓
2015年 319,158
-1.01% ↓
2014年 322,422
4.7% ↑
2013年 307,938
-1.22% ↓
2012年 311,741
2.45% ↑
2011年 304,275
2.27% ↑
2010年 297,535
0.08% ↑
2009年 297,283
-7.65% ↓
2008年 321,900
3.41% ↑
2007年 311,300
-12.72% ↓
2006年 356,650
0.37% ↑
2005年 355,350
6.04% ↑
2004年 335,100
11.18% ↑
2003年 301,400
4.45% ↑
2002年 288,550
4.47% ↑
2001年 276,200
5.08% ↑
2000年 262,850
-1.24% ↓
1999年 266,150
7.41% ↑
1998年 247,800
0.06% ↑
1997年 247,650
-9.27% ↓
1996年 272,950
3.72% ↑
1995年 263,150
3.38% ↑
1994年 254,550
-4.24% ↓
1993年 265,819
-8.34% ↓
1992年 290,000
-15.45% ↓
1991年 343,000
-10.91% ↓
1990年 385,000
14.89% ↑
1989年 335,100
-12.64% ↓
1988年 383,600
9.4% ↑
1987年 350,650
-7.06% ↓
1986年 377,300
9.05% ↑
1985年 346,000
-9.57% ↓
1984年 382,600
6.98% ↑
1983年 357,650
5.07% ↑
1982年 340,400
2.1% ↑
1981年 333,400
11.21% ↑
1980年 299,800
-11.38% ↓
1979年 338,300
7.53% ↑
1978年 314,600
8.6% ↑
1977年 289,700
2.19% ↑
1976年 283,500
14.02% ↑
1975年 248,650
12.05% ↑
1974年 221,900
4.5% ↑
1973年 212,350
9.63% ↑
1972年 193,700
5.5% ↑
1971年 183,600
14.75% ↑
1970年 160,000
6.52% ↑
1969年 150,200
7.59% ↑
1968年 139,600
-5.74% ↓
1967年 148,100
14.45% ↑
1966年 129,400
6.15% ↑
1965年 121,900
7.21% ↑
1964年 113,700
8.75% ↑
1963年 104,550
-12.07% ↓
1962年 118,900
-1.25% ↓
1961年 120,400 -
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ルーマニアの鶏卵生産量における時系列データは、国内農業および経済事情の影響を如実に表しています。1961年から始まったこの記録では、鶏卵生産は安定した成長を示し、特に1970年代から1980年代半ばにかけては驚異的な増加が見られました。この時期は、社会主義経済システムの下で農業が重点政策とされ、大規模な集約農業が行われたことが背景にあります。また、食料自給率を高めるために農業インフラが整備されたことが、生産量の向上へ寄与しました。

しかし、1989年の体制転換以降、この成長軌道は逆転します。社会主義経済の解体により、国家によって支えられていた集中的な農業システムが崩壊しました。その結果、小規模農家への転換や産業の自由化が進みましたが、これが短期的には生産性の低下を招いたと考えられます。特に1990年代には急激な落ち込みが見られ、1994年には25万4,550トンまで減少しています。その後、2000年代になると徐々に持ち直し、政府による農業への支援強化や欧州連合(EU)への加盟による補助金が生産量の底上げに貢献しました。

一方で、2007年以降は再び下降傾向が目立ち、2019年には27万8,203トンと直近50年間で最も低い水準に近づいています。この減少の要因としては、農村人口の減少や、都市化の進行による労働力の移動が挙げられます。また、鶏卵産業の近代化が進んでいない地域が一部存在することや、安価な輸入品との競争が国内生産者にとっての課題となっています。

他国と比較してみると、ルーマニアの鶏卵生産量は同じEU加盟国であるドイツの推移(近年では年間約120万トン)やフランス(85〜90万トン)に比べて極めて小さい規模にあります。また、アジアの主要国であるインドや中国では、国内需要と輸出向け需要の増加により、生産量が継続的に増加しています。これは、人口増加や現代的な養鶏技術の導入が重要な成功要因です。

地政学的リスクの観点からは、ルーマニアの位置する中東欧地域では、最近のウクライナ紛争やそれに伴う農業供給チェーンへの影響が懸念されています。餌の供給が不安定になる可能性やエネルギー価格の高騰が、鶏卵生産にさらなる悪影響を与えることが予測されます。長期的な気候変動による畜産環境の劣化も、ルーマニアの農業全般において重要な課題として浮上しています。

このような状況を改善するためには具体的な対策が必要です。一例として、鶏卵生産の効率を向上させるためには近代的な設備投資が有効と言えます。また、農家に対する補助金や税制優遇措置の導入は、生産者の経済的な負担を軽減し、長期的に生産量の改善につながる可能性があります。さらに、地域内での協力枠組みを強化し、例えばEU内での農業政策の連携を進めることも重要です。輸出市場を視野に入れた競争力の高い生産システムを構築することで、国際市場における地位を高めることが期待できます。

今後、ルーマニアが挑むべき課題には、人口動態や都市化、中東欧地域における地政学的リスクへの対応、さらには産業の持続可能性確保が含まれます。これらに向き合いながら適切な政策と技術革新を進めていくことで、再び国内の生産量を高め、地域ひいては国際市場における地位の向上が期待されます。

ルーマニアの統計データ
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