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ルーマニアのイチゴ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、ルーマニアのイチゴ生産量は1961年から2022年の間に大きな変動を見せています。最高生産量は1988年の39,000トンであり、これをピークとして以降全体的に減少傾向があります。1960年代から1980年代までは増加傾向が見られたものの、1990年代以降は急激な減少を経験し、2000年代以降も安定的な成長には至っていません。2020年以降の最新データでは生産量が再び減少し、特に2022年には17,600トンと過去最低に近い水準を記録しました。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 20,640
17.27% ↑
2022年 17,600
-4.5% ↓
2021年 18,430
-19.73% ↓
2020年 22,960
1.5% ↑
2019年 22,620
-13.27% ↓
2018年 26,080
-3.59% ↓
2017年 27,050
17.61% ↑
2016年 23,000
6.55% ↑
2015年 21,587
-1.59% ↓
2014年 21,935
-5.41% ↓
2013年 23,190
46.77% ↑
2012年 15,800
-16.44% ↓
2011年 18,909
-11.78% ↓
2010年 21,434
-2.44% ↓
2009年 21,969
3.47% ↑
2008年 21,233
28.72% ↑
2007年 16,496
-23.67% ↓
2006年 21,612
19.02% ↑
2005年 18,158
24.94% ↑
2004年 14,533
-2.58% ↓
2003年 14,918
-11.74% ↓
2002年 16,903
-8.06% ↓
2001年 18,385
57.68% ↑
2000年 11,660
-20.49% ↓
1999年 14,664
24.69% ↑
1998年 11,760
-12.88% ↓
1997年 13,499
15.03% ↑
1996年 11,735
-7.87% ↓
1995年 12,737
3.33% ↑
1994年 12,326
69.5% ↑
1993年 7,272
-43.08% ↓
1992年 12,775
-7.61% ↓
1991年 13,827
-24.03% ↓
1990年 18,200
-43.13% ↓
1989年 32,000
-17.95% ↓
1988年 39,000
21.5% ↑
1987年 32,100
4.56% ↑
1986年 30,700
5.55% ↑
1985年 29,085
11.12% ↑
1984年 26,174
7.37% ↑
1983年 24,378
-19.75% ↓
1982年 30,376
-3.81% ↓
1981年 31,579
-5.94% ↓
1980年 33,574
20.04% ↑
1979年 27,969
-1.43% ↓
1978年 28,374
-4.48% ↓
1977年 29,705
1.73% ↑
1976年 29,200
26.96% ↑
1975年 23,000
-4.17% ↓
1974年 24,000
7.62% ↑
1973年 22,300
-22.84% ↓
1972年 28,900
30.77% ↑
1971年 22,100
-29.84% ↓
1970年 31,500
-5.69% ↓
1969年 33,400
57.55% ↑
1968年 21,200
-12.4% ↓
1967年 24,200
-12.64% ↓
1966年 27,700
27.06% ↑
1965年 21,800
74.4% ↑
1964年 12,500
-37.5% ↓
1963年 20,000
47.06% ↑
1962年 13,600
-27.27% ↓
1961年 18,700 -

ルーマニアのイチゴ生産量は、1960年代から1980年代半ばにかけて比較的安定しながら増加傾向にありました。1988年には39,000トンという記録的な生産量を達成し、この時期は同国の農業技術や政策がピークに達していたことを示しています。しかし、これ以降のデータからは生産量が劇的に減少しており、特に1990年代の変化が顕著です。1990年の18,200トンから1993年にはわずか7,272トンという急激な減少が見られます。この減少は、同国が1989年の共産主義政権崩壊後、農業の再編成や土地所有権の移行に伴い、農業生産システム全体が不安定だったことが主な要因と考えられます。

また、1990年代後半から2000年代にかけては、イチゴ生産量が低水準のまま推移しており、地域の農業インフラの遅滞や経済的支援の不足がこれに影響している可能性があります。EU加盟後の2007年以降、一部の年には20,000トンを超える回復が見られましたが、持続的な増加には至らず、近年では再び減少に転じています。2022年の17,600トンという数値は、1990年代の最低水準に近いもので、持続的な改善が見られないことを示唆しています。

気候変動もまた、ルーマニアのイチゴ生産に影響を与える要因として無視できません。同国は地理的条件から異常気象や極端な気候変動の影響を受けやすい地域であり、今後も不安定な環境での農業運営を強いられる可能性があります。特に2021年から2022年にかけての減少は、このような環境要因が寄与していると考えられます。

課題としては、まず農業インフラへの再投資が重要です。特に灌漑や土壌改良に関する技術的支援が必要でしょう。EU加盟国として利用可能な農業資金を活用し、持続可能な農法を普及させることが求められます。また、気候変動に適応した農業技術への転換も急務です。耐性の高いイチゴ品種の導入や、農業気象データの活用による生産管理の高度化が有効と考えられます。

さらに、ルーマニアのイチゴ生産は国際市場での競争力を高める必要があります。これには生産コストの効率化や輸出向けの品質基準の向上が含まれます。ドイツやフランスのような主要消費国に向けたマーケティング戦略を強化することで、同国のイチゴ供給者としてのプレゼンスを確立できる可能性が高いです。

結論として、ルーマニアのイチゴ生産量の推移は、国内の農業政策、経済状況、そして気候条件の影響を強く受けています。これらの課題に対して、政府および農業関係者は、持続可能な農業モデルの導入や地域協力の枠組みづくり、そして国際市場への積極的な進出という具体的な対策を講じる必要があります。こうした取り組みは、生産量の安定化だけでなく、ルーマニア農業全体の発展にも寄与すると期待されます。