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ルーマニアのエンドウ豆(生)生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、ルーマニアのエンドウ豆(生)の生産量は、1960年代から1980年代にかけて増加傾向を示しました。特に1985年には144,000トンと最大値を記録しましたが、その後1990年代以降大幅に減少し、2023年にはわずか2,140トンに落ち込みました。この減少傾向は、地政学的背景や農業政策の変化、気候変動の影響が絡み合った結果と考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 2,140
59.7% ↑
2022年 1,340
-72.82% ↓
2021年 4,930
-21.5% ↓
2020年 6,280
50.24% ↑
2019年 4,180
-1.42% ↓
2018年 4,240
-80.51% ↓
2017年 21,759
26.52% ↑
2016年 17,198
-7.82% ↓
2015年 18,657
-2.55% ↓
2014年 19,146
6.18% ↑
2013年 18,031
-22.52% ↓
2012年 23,273
-12.52% ↓
2011年 26,605
14.12% ↑
2010年 23,313
13.55% ↑
2009年 20,531
-19.11% ↓
2008年 25,381
55.86% ↑
2007年 16,284
-37.6% ↓
2006年 26,097
12.15% ↑
2005年 23,269
33.65% ↑
2004年 17,411
-14.01% ↓
2003年 20,247
3.27% ↑
2002年 19,605
-13.1% ↓
2001年 22,560
27.28% ↑
2000年 17,725
-19.99% ↓
1999年 22,153
-7.97% ↓
1998年 24,071
17.98% ↑
1997年 20,402
-10.78% ↓
1996年 22,866
-32.62% ↓
1995年 33,937
4.63% ↑
1994年 32,434
12.71% ↑
1993年 28,776
-35.94% ↓
1992年 44,920
-18.21% ↓
1991年 54,920
-43.56% ↓
1990年 97,300
-25.15% ↓
1989年 130,000
8.33% ↑
1988年 120,000
20% ↑
1987年 100,000
-23.08% ↓
1986年 130,000
-9.72% ↓
1985年 144,000
10.77% ↑
1984年 130,000
5.43% ↑
1983年 123,300
-8.67% ↓
1982年 135,000
33.66% ↑
1981年 101,000
29.82% ↑
1980年 77,800
7.76% ↑
1979年 72,200
7.76% ↑
1978年 67,000
-9.83% ↓
1977年 74,300
19.84% ↑
1976年 62,000
3.33% ↑
1975年 60,000
1.69% ↑
1974年 59,000
3.33% ↑
1973年 57,100
11.52% ↑
1972年 51,200
12.53% ↑
1971年 45,500
13.75% ↑
1970年 40,000
3.09% ↑
1969年 38,800
57.09% ↑
1968年 24,700
-20.32% ↓
1967年 31,000
-3.13% ↓
1966年 32,000
6.67% ↑
1965年 30,000
7.14% ↑
1964年 28,000
-5.72% ↓
1963年 29,700
12.5% ↑
1962年 26,400
-6.38% ↓
1961年 28,200 -

ルーマニアのエンドウ豆生産量の推移を振り返ると、1960年代から1980年代まで非常に安定した成長を続けていたことがわかります。この時期は、中央計画経済のもとで農業が重視され、作物生産に必要なインフラや支援が充実していました。特に1981年から1985年にかけて、エンドウ豆の生産量は毎年10万トン以上を記録し、1985年には144,000トンと歴史的な高水準に達しました。エンドウ豆はタンパク質が豊富な作物であり、国内の食糧安定を図る上で重要な位置を占めていました。

しかし1989年の体制転換後、農業政策の急激な変更や国有農地の私有化、そして旧ソ連との貿易システム崩壊により、ルーマニアのエンドウ豆生産量は急激に低下しました。1990年代初頭には50,000トンを切り、1993年には28,776トンと、わずか8年前の1985年と比較して約80%近く減少しました。この背景には、農業技術や設備の整備不足、資金難、さらには国内市場の縮小が挙げられます。このような混乱は1990年代を通じて続き、生産量はその後も回復することなく低い水準を維持しました。

さらに近年では、気候変動が農作物生産に深刻な影響を与えています。ルーマニアは中欧地域特有のホットスポットとなっており、干ばつや異常気象が頻発しています。2022年と2023年に生産量がそれぞれ1,340トンと2,140トンまで落ち込んでいるのは、こうした気象条件が直接的な要因となっているものと考えられます。また、2020年代にはエネルギーや肥料価格の高騰、新型コロナウイルス感染症による輸送網の混乱も重なり、農業セクター全体が厳しい状況に直面していることも要因として無視できません。

この傾向に対し、いくつかの政策的対応が求められます。まず第一に、持続可能な灌漑技術の導入が必要です。ルーマニアでは、雨水への依存度が高いため、気候変動に対応するための散水設備や地下水管理技術が不可欠です。次に、小規模農家への資金援助や技術研修を強化し、彼らを支える農協や市場ネットワークの活性化を図るべきです。さらに、エンドウ豆は輸出可能な作物でもあるため、国際市場と連携し、効率的なサプライチェーン構築を目指すことも効果があるでしょう。

また、地政学的リスクの観点からも注意が必要です。ロシア・ウクライナ戦争による国際的な農業資源の供給不安が、ルーマニアの食糧政策に影響を及ぼしています。この地域での安定した農業生産を確立することは、食糧安全保障の観点でも非常に重要です。

結論として、1960年代から絶頂期を迎えたルーマニアのエンドウ豆生産は、現在大幅にその活力を失ったことは明らかです。しかし、適切な政策支援と気候変動への対応を進めることで、この低迷した現状を改善し、市場への再進出を図ることが可能だと考えられます。特にEU加盟国としての特権を活用し、グリーン施策や地域協力を推進することが鍵となるでしょう。

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