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ルーマニアの羊の毛生産量の推移【1961年~2023年】世界ランキング・統計データ

国際連合食糧農業機関(FAO)のデータによると、ルーマニアの羊の毛生産量は1960年代から1980年代半ばにかけて増加傾向を維持しましたが、1990年代初頭から急激に減少しました。その後、2000年代には回復の兆しが見られましたが、依然としてピークに達していた1980年代水準には遠く及びません。特に経済・社会的な変化や農業政策の影響が大きいと推測されます。

年度 生産量(トン) 増減率
2012年 19,713
3.61% ↑
2011年 19,026
-7% ↓
2010年 20,457
-8.48% ↓
2009年 22,352
1.37% ↑
2008年 22,051
4.88% ↑
2007年 21,025
8.5% ↑
2006年 19,378
10.1% ↑
2005年 17,600
0.54% ↑
2004年 17,505
3.71% ↑
2003年 16,879
1.32% ↑
2002年 16,659
-1.31% ↓
2001年 16,880
-6.21% ↓
2000年 17,997
-5.19% ↓
1999年 18,983
-4.93% ↓
1998年 19,967
-9.73% ↓
1997年 22,120
-4.51% ↓
1996年 23,165
-4.76% ↓
1995年 24,323
-3.25% ↓
1994年 25,141
-3.34% ↓
1993年 26,011
-7.17% ↓
1992年 28,020
-13.88% ↓
1991年 32,537
-14.75% ↓
1990年 38,167
7.86% ↑
1989年 35,386
-6.66% ↓
1988年 37,911
-2.42% ↓
1987年 38,853
-2.66% ↓
1986年 39,916
-1.93% ↓
1985年 40,700
-3.68% ↓
1984年 42,254
7.37% ↑
1983年 39,352
1.96% ↑
1982年 38,596
7.33% ↑
1981年 35,961
-3.79% ↓
1980年 37,376
0.14% ↑
1979年 37,325
3.86% ↑
1978年 35,937
3.57% ↑
1977年 34,699
8.37% ↑
1976年 32,020
1.55% ↑
1975年 31,532
2.17% ↑
1974年 30,861
-0.57% ↓
1973年 31,037
1.11% ↑
1972年 30,697
7.07% ↑
1971年 28,670
-3.55% ↓
1970年 29,725
-3.34% ↓
1969年 30,752
0.5% ↑
1968年 30,600
6.99% ↑
1967年 28,600
9.58% ↑
1966年 26,100
2.76% ↑
1965年 25,400
2.42% ↑
1964年 24,800
9.73% ↑
1963年 22,600
-6.61% ↓
1962年 24,200
5.22% ↑
1961年 23,000 -
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ルーマニアは、ヨーロッパにおいて家畜生産が盛んな国の一つであり、羊の飼育も伝統的な産業です。1960年代から1980年代にかけて、羊の毛の生産量は右肩上がりでの成長を見せ、特に1984年には42,254トンと最高値を記録しました。この増加傾向は、国内の農業政策や牧畜の普及、さらにソビエト連邦圏内での需要拡大が背景にあると考えられます。しかし、1980年代後半から1990年代にかけて生産量が急激に減少していることから、経済的・社会的な変革の影響を受けたことが明らかです。

1991年前後からの急激な減少は、いくつかの要因によるものとされています。第一に、東欧の共産主義体制崩壊後の経済の混乱が挙げられます。特にルーマニアにおいては、個人農家への分割が進んだことで効率的な生産活動が困難になったことが影響しています。また、外部市場との競争の激化により、羊毛の輸出需要が減少した可能性もあります。1998年には生産量が19,967トンまで低下し、ピーク時から大幅な縮小を経験しています。

その後の2000年代に入ると、微少ながらも一旦安定した水準まで回復しています。これは、EU加盟に伴う政策支援や技術向上によるものと分析されます。ただし2012年でも生産量は19,713トンと、依然として1960年代の水準にとどまっており、1980年代のピークと比べると約半減している状況です。

この産業構造の変化には、気候変動や自然資源の減少などの地政学的リスクも関与している可能性があります。加えて、羊毛以外に重点が置かれるようになった畜産運営の変化や、近年においては化学繊維産業の台頭も伝統的な羊毛需要の低下に寄与しています。

こうした動向から、ルーマニアがこの産業を持続化するためには、いくつかの具体的な対策が求められます。まず、政府や国際機関による集中的な農業支援が鍵となります。生産性向上を目指した技術提供や効率を高めるためのマイクロファイナンス制度の導入、さらには市場アクセスの拡大を目指した輸出促進策が必要です。また、グローバル市場において競争力を維持するためには、品質の向上やエコロジカルな生産方式への移行も必須と言えます。

他国との比較では、中国やインドが低コストで大量生産する能力を持つため、ルーマニアがそのような市場での競争を避け、むしろ高品質の羊毛市場や特定のニッチ市場への参入を目指すべきです。このような方向性は、ドイツやフランスが支えるヨーロッパのラグジュアリーブランドとの連携においてもメリットがあると考えられます。

さらに、気候変動による新たなリスクへの対策も欠かせません。地球温暖化が牧草地に与える影響を評価し、持続可能な飼育環境を確立することが重要です。また、牧畜労働力が農村部の高齢化により減少しつつある現状をふまえると、若年層に対する職業訓練の機会を拡大し、この分野における雇用を生み出す取り組みも欠かせないでしょう。

全体として、ルーマニアの羊の毛生産量の推移は、多くの課題と可能性を示しています。この産業が持続可能で競争力あるものになるよう、国内外の取り組みが求められます。特に、政策的な支援やグローバル市場への戦略的アプローチは、次世代に向けての発展を支えるための重要なカギとなるでしょう。

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