国際連合食糧農業機関(FAO)の2024年7月に更新された最新データによると、バーレーンのヤギ肉生産量は、1961年の68トンから始まり、これまでに大きな増減を繰り返しています。1971年から1980年にかけて大きな生産量の増加が見られた一方、1980年代には急激な減少を経験し、その後、1990年代に再び上昇傾向を示しました。近年は2019年に251トン、その後2020年以降は若干の減少と横ばいで推移し、2023年には239トンとなっています。このデータは、地域の食料生産の動向を理解する上で貴重な情報を提供します。
バーレーンのヤギ肉生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 239 | - |
2022年 | 239 |
-2.4% ↓
|
2021年 | 244 |
19.05% ↑
|
2020年 | 205 |
-18.28% ↓
|
2019年 | 251 |
12.16% ↑
|
2018年 | 224 |
6.65% ↑
|
2017年 | 210 |
-3.64% ↓
|
2016年 | 218 |
2.92% ↑
|
2015年 | 212 |
6.25% ↑
|
2014年 | 199 |
2.23% ↑
|
2013年 | 195 |
1.56% ↑
|
2012年 | 192 |
2.4% ↑
|
2011年 | 188 |
4.17% ↑
|
2010年 | 180 |
20% ↑
|
2009年 | 150 | - |
2008年 | 150 |
-23.08% ↓
|
2007年 | 195 | - |
2006年 | 195 |
-35% ↓
|
2005年 | 300 | - |
2004年 | 300 |
-33.33% ↓
|
2003年 | 450 |
50% ↑
|
2002年 | 300 |
-6.02% ↓
|
2001年 | 319 |
-38.96% ↓
|
2000年 | 523 |
-24.2% ↓
|
1999年 | 690 |
-19.3% ↓
|
1998年 | 855 |
-16.06% ↓
|
1997年 | 1,019 |
-5.68% ↓
|
1996年 | 1,080 |
20.73% ↑
|
1995年 | 895 |
25.15% ↑
|
1994年 | 715 |
39.32% ↑
|
1993年 | 513 |
36.82% ↑
|
1992年 | 375 |
13.64% ↑
|
1991年 | 330 |
-12% ↓
|
1990年 | 375 |
346.43% ↑
|
1989年 | 84 |
1.82% ↑
|
1988年 | 83 | - |
1987年 | 83 |
10% ↑
|
1986年 | 75 | - |
1985年 | 75 |
-28.57% ↓
|
1984年 | 105 |
-30% ↓
|
1983年 | 150 |
-78.72% ↓
|
1982年 | 705 |
-14.55% ↓
|
1981年 | 825 |
-8.33% ↓
|
1980年 | 900 |
-17.81% ↓
|
1979年 | 1,095 |
69.77% ↑
|
1978年 | 645 |
26.47% ↑
|
1977年 | 510 |
70% ↑
|
1976年 | 300 |
66.67% ↑
|
1975年 | 180 |
-45.45% ↓
|
1974年 | 330 |
4.76% ↑
|
1973年 | 315 |
61.54% ↑
|
1972年 | 195 |
-51.85% ↓
|
1971年 | 405 |
285.71% ↑
|
1970年 | 105 |
16.67% ↑
|
1969年 | 90 | - |
1968年 | 90 | - |
1967年 | 90 | - |
1966年 | 90 |
25% ↑
|
1965年 | 72 |
4.35% ↑
|
1964年 | 69 | - |
1963年 | 69 |
2.22% ↑
|
1962年 | 68 | - |
1961年 | 68 | - |
バーレーンのヤギ肉生産量のデータを振り返ると、その推移にはさまざまな要因による政策や経済的変動の影響が見て取れます。例えば、1960年代から1970年代にかけての増加では、地域における食料自給率を高めようとする取り組みが生産性向上につながった可能性があります。特に、1971年には405トンへと桁違いの増加が見られることから、農畜産業の支援政策やインフラ整備の成果が寄与したと考えられます。また、その後の1976年から1979年の間にかけて急激な増加を記録しており、1,095トンという最大生産量を達成していることは、地域の需給や輸出入政策の変化が影響したのでしょう。
しかし、1980年代に入ると劇的な減少が見られます。これは、経済状況の悪化、あるいは生産体制の変化による可能性があります。特に、1983年には150トンまで大幅に減少してしまい、この時期のバーレーンの畜産業には何らかの深刻な課題や危機が存在していたことを示唆しています。一方で、1990年代からはやや復調し、1996年には再び1,080トンに達しています。この復調は、政策的な支援や市場の回復、生産技術の向上といった要因が貢献したと考えられます。
ところが、2000年代以降は再度減少傾向に入り、近年の生産量は200トン台で安定しています。2019年に一度251トンとわずかに増加を見せましたが、2020年以降は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響や国際市場の変動の影響を受け、生産や流通に支障をきたしたことが想定されます。
世界的に見ると、バーレーンのような小規模な国では、食料自給のために農畜産業に依存する度合いが高いものの、同時に海外からの供給にも依存しています。たとえば、近隣のガルフ諸国(サウジアラビア、オマーンなど)は特に広大な土地を持つわけではないため、バーレーンのような国々同様に畜産業の発展には制約が存在します。他方、アメリカやインドといった広大な農地を持つ国々は、ヤギ肉の供給量では圧倒的に優位に立っています。
バーレーンのように土地資源が限られた国にとって、持続可能な畜産業の展開には課題があります。今後は、効率的な飼育技術の導入や、近代的な畜産農場の整備、さらには国内で消費される需要に応じて生産量を調整する政策が必要不可欠です。また、食品の保管流通網を強化し、輸入との適切なバランスを図ることで、万が一の食料危機にも対応できる体制を整えることが重要です。
さらに、地政学的リスクにも注意が必要です。バーレーン周辺地域の安定が損なわれた場合、輸入ルートの確保が困難となる可能性があります。したがって、農畜産業の強化に加え、地域間連携が重要な役割を果たします。ガルフ協力会議(GCC)などを活用して共同の農畜産資源確保プロジェクトを推進することは、有効な手段となり得るでしょう。
結論として、バーレーンではヤギ肉の生産量の過去の変遷を見ると、さまざまな挑戦を乗り越えてきた一方で、依然として多くの課題を抱えています。今後は、生産の効率化と輸入とのバランス、そして長期的な食品安全保障を目的とした協力体制の構築を進める必要があります。これには、国際機関や近隣諸国との連携を深めることが求められています。