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アイルランドの鶏卵生産量の推移【1961年~2023年】世界ランキング・統計データ

国際連合食糧農業機関の最新データによると、アイルランドの鶏卵生産量は長期的な視点で見ると、1961年に45,800トンから1970年代後半には減少し、33,000トン前後で推移しました。しかし21世紀に入り、特に2010年以降は一貫した増加傾向が顕著で、2017年には54,050トンに達しました。この傾向は、国内の食生活の変化や輸出市場の需要増加が背景にあると考えられます。一方で、一定の生産波動も見られ、これには飼料コストや農業政策の変化が影響した可能性があります。

年度 生産量(トン) 増減率
2017年 54,050
4.44% ↑
2016年 51,750
4.65% ↑
2015年 49,450
3.02% ↑
2014年 48,000
2.13% ↑
2013年 47,000
1.08% ↑
2012年 46,500
1.09% ↑
2011年 46,000
2.22% ↑
2010年 45,000
8.17% ↑
2009年 41,600
0.97% ↑
2008年 41,200
21.89% ↑
2007年 33,800
-11.29% ↓
2006年 38,100
1.6% ↑
2005年 37,500
17.69% ↑
2004年 31,863 -
2003年 31,863
-4.12% ↓
2002年 33,231
6% ↑
2001年 31,350
-3.17% ↓
2000年 32,376
2.34% ↑
1999年 31,635
-5.28% ↓
1998年 33,400
-3.88% ↓
1997年 34,750
-5.31% ↓
1996年 36,700
19.16% ↑
1995年 30,800
1.32% ↑
1994年 30,400
-9.52% ↓
1993年 33,600 -
1992年 33,600
-5.62% ↓
1991年 35,600
14.47% ↑
1990年 31,100
-1.58% ↓
1989年 31,600
-9.2% ↓
1988年 34,800
-3.33% ↓
1987年 36,000
-2.7% ↓
1986年 37,000 -
1985年 37,000 -
1984年 37,000 -
1983年 37,000
5.71% ↑
1982年 35,000
-5.41% ↓
1981年 37,000
12.12% ↑
1980年 33,000
-5.71% ↓
1979年 35,000
-5.41% ↓
1978年 37,000
-2.6% ↓
1977年 37,989
-1.76% ↓
1976年 38,669
-4.82% ↓
1975年 40,627
1.83% ↑
1974年 39,897
-0.59% ↓
1973年 40,133
6.33% ↑
1972年 37,745
-3.36% ↓
1971年 39,058
-2.07% ↓
1970年 39,885
0.46% ↑
1969年 39,704
-1.11% ↓
1968年 40,150
-4.1% ↓
1967年 41,868
-4.63% ↓
1966年 43,900
-0.23% ↓
1965年 44,000
0.23% ↑
1964年 43,900
-2.23% ↓
1963年 44,900
0.45% ↑
1962年 44,700
-2.4% ↓
1961年 45,800 -
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アイルランドの鶏卵生産量の推移を長期的に観察すると、いくつかの明確なトレンドが浮かび上がります。1961年に45,800トンだった生産量は徐々に減少し、1980年代には33,000トン前後で安定しました。この時期の減少傾向は、国内農業構造の変化に加え、家族農業から大規模商業農業への移行が進んでいく中、家禽業の競争力低下が一因であったと推測されます。また、1970年以上もの間、世界的にも経済不確実性があり、それに伴う飼料コストの変動が生産性に影響を与えた可能性があります。

21世紀に入ると、生産量は新たな転換期を迎えます。2003年からのゆるやかな上昇を皮切りに、2010年以降は特に急激な増加を記録し、2017年には54,050トンに到達しました。これは、輸出市場の需要増加や、国内食品業界における健康意識の高まりに伴う卵の需要拡大が影響した結果とみられます。例えば、EU諸国でのケージフリーレート(動物福祉を考慮した飼育形態)が重要視される流れが、アイルランドの鶏卵業界に革新を促しました。さらに、農業技術の進歩や高効率な生産システムを採用したことも重要な要因といえます。

しかし、急激な増加基調の中にもいくつかの課題が見受けられます。一つは、飼料原料の価格高騰や環境規制の強化によるコスト負担が農業所得に与える影響です。特にアイルランドのような畜産主体の農業構造では、肥料や燃料コストの上昇が直接的に生産コストに跳ね返るため、安定供給を確保するための持続可能な経営体制が求められます。

また、地政学的リスクも考慮すべき点です。EU域内での規制、特に英国のEU離脱(ブレグジット)がアイルランドの農産物輸出の物流や価格設定に一定の影響を及ぼし、これが農家経営にリスクをもたらす可能性があります。さらに、気候変動に象徴される不確実性も無視できません。降雨量や気温の変動が鶏の飼育環境や飼料作物の収量に影響を及ぼし、長期的な生産計画に困難をもたらす恐れがあります。

今後、アイルランドが鶏卵生産の有利性を保つためには、いくつかの具体的な対策が必要です。一つは、持続可能な農業を推進するための政策支援の強化です。たとえば、再生可能エネルギーの利用拡大や環境負荷を低減する畜産技術の導入を奨励することで、農業生産の効率向上を図ることが期待されます。また、地域間協力を強化し、EU域内の規制との整合性を高めることで、輸出市場の安定を確保する必要があります。さらに、国家またはEUレベルでの研究開発(R&D)投資を促進し、革新的な畜産技術の導入を支援すべきです。

結論として、アイルランドの鶏卵生産量は2010年以降の一貫した増加により、他国と比較しても強力な成長を見せています。特に日本やアメリカのように消費市場が多様化・高度化する中で、アイルランドも付加価値の高い製品に焦点を当てた生産体制への転換を図るべきでしょう。これにより、国内経済への貢献度をさらに高め、地政学的リスクや環境問題に柔軟に対応できる持続的な農業モデルを構築することが可能になるでしょう。

アイルランドの統計データ
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