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アイルランドの天然蜂蜜生産量の推移【1961年~2023年】世界ランキング・統計データ

国際連合食糧農業機関(FAO)が提供するデータによると、アイルランドの天然蜂蜜生産量は1960年代の初期段階では大きな変動を見せていましたが、その後長期にわたりほぼ一定の生産が続きました。そして、1980年代から1990年代にかけて一部減少傾向を見せたものの、2000年以降は徐々に増加傾向を示しています。2017年には268トンと記録的な数値に達しています。生産量の安定化と増加にはいくつかの要因が絡んでいると考えられますが、それと同時に気候変動や農業形態の変化など、課題も見え隠れしています。

年度 生産量(トン) 増減率
2017年 268
1.11% ↑
2016年 265
0.1% ↑
2015年 264
2.35% ↑
2014年 258
1.85% ↑
2013年 254
1.22% ↑
2012年 251
1.23% ↑
2011年 248
1.25% ↑
2010年 245
1.26% ↑
2009年 242
1.28% ↑
2008年 238
1.3% ↑
2007年 235
1.32% ↑
2006年 232
-0.25% ↓
2005年 233
5.49% ↑
2004年 221
10.41% ↑
2003年 200
1.52% ↑
2002年 197
-24.23% ↓
2001年 260
8.33% ↑
2000年 240
20% ↑
1999年 200 -
1998年 200
-4.76% ↓
1997年 210
5% ↑
1996年 200
-20% ↓
1995年 250
53.37% ↑
1994年 163 -
1993年 163
12.41% ↑
1992年 145
-9.88% ↓
1991年 161
27.7% ↑
1990年 126
5% ↑
1989年 120
20% ↑
1988年 100
17.65% ↑
1987年 85
46.55% ↑
1986年 58
-57.66% ↓
1985年 137
-47.1% ↓
1984年 259
-22.22% ↓
1983年 333
66.5% ↑
1982年 200
5.26% ↑
1981年 190
-5% ↓
1980年 200 -
1979年 200 -
1978年 200 -
1977年 200
14.29% ↑
1976年 175
-2.23% ↓
1975年 179
-10.5% ↓
1974年 200 -
1973年 200 -
1972年 200 -
1971年 200 -
1970年 200 -
1969年 200 -
1968年 200
-20% ↓
1967年 250 -
1966年 250 -
1965年 250
66.67% ↑
1964年 150
-25% ↓
1963年 200
100% ↑
1962年 100
-50% ↓
1961年 200 -
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アイルランドにおける天然蜂蜜の生産量は、1961年の200トンをピークに始まりましたが、1962年には100トンという半減の記録が残っています。その後1960年代には、生産量の急激な増減が見られましたが、1970年代以降は概ね200トン前後での比較的安定した生産が続きました。しかし、1983年には突如333トンという高い生産量を記録した一方で、それ以降は一部の年で大幅に減少するなど変動が見られるようになります。1980年代半ばの1986年にはわずか58トンという低生産量を記録しており、この時期に生産量が激しく落ち込んだ原因の一つには、気象条件の急変や蜜源植物(蜂蜜の原料となる花)への影響が挙げられると推測されます。

2000年以降は、長期的にみると天然蜂蜜の生産量は緩やかな増加傾向にあります。特に2008年以降は、ほぼ毎年数トンずつ微増しており、2017年には268トンにまで達しました。この傾向は、アイルランドの気候や蜜蜂保護活動、また農業の持続可能性に配慮した政策が功を奏している結果とも考えられます。しかし、気候変動による異常気象や農薬使用の増加がポリネーター(花粉媒介者)の減少を招き、将来的に生産量へ重大な影響を及ぼす可能性も依然として懸念されています。

アイルランドの蜂蜜生産量の向上には、いくつかの地理的特徴と背景が影響しています。同国の気候は、温暖で湿潤な環境が長年続いており、この条件は蜜蜂の生育に適しているという特徴があります。また、農業において持続可能な方法の採用が進んでいることも要因となっている可能性があります。ただし、他国との比較では、その生産規模は小さく、日本や中国、アメリカなどの大規模生産国に比べると競争力は限定的です。特に、中国は世界最大の蜂蜜生産国であり、2017年時点での年間生産量は44万トンを超えています。一方、アイルランドは地方特有の小規模ながら高品質な蜂蜜を強みとして差別化を図る必要があります。

現時点での課題としては、気候変動が蜜植植物の分布と生育を左右し、生産量の安定性を脅かす可能性が挙げられます。また、外来種の導入や病害虫による蜜蜂の減少もリスクとして浮上しています。これらの脅威に対抗するには、国内外の農業関係者や環境保護団体とも協力し、蜜蜂保護のための政策的措置を講じることが必要です。例えば、蜜蜂に優しい農薬の利用推奨や蜜植植物の植栽、また地域ごとの生産者ネットワークの充実といった対策が考えられます。

結論として、アイルランドの天然蜂蜜生産量は、過去数十年にわたり増減を繰り返しつつも、近年は安定傾向にあります。しかし、気候や生態系の変化によるリスクを甘く見てはいけません。将来的には、持続可能な農業の推進や環境保護政策の強化、そして市場競争力の向上を目指すべきです。国際協力の枠組みを利用して蜜蜂の保護を進めることが、アイルランドだけでなく、すべての蜂蜜生産国における重要な課題として捉えられるべきです。

アイルランドの統計データ
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