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アイルランドのカリフラワー・ブロッコリー生産量推移(1961年~2023年)

FAO(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、アイルランドのカリフラワー・ブロッコリー生産量は1961年に2,000トンであったのに対し、1974年から急激な増加を記録し1977年には16,000トンに達しました。その後、生産量は長期間にわたり上下を繰り返しながら、2000年代には16,400トンを最高点とした一方で、2023年には9,000トンへと減少しています。このデータはアイルランドにおける農業政策や市場需要、気候条件の変化が生産量に及ぼす影響を示していると言えます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 9,000
-4.15% ↓
2022年 9,390
-10.4% ↓
2021年 10,480
-0.47% ↓
2020年 10,530
13.23% ↑
2019年 9,300
-3.13% ↓
2018年 9,600
3.48% ↑
2017年 9,277
-14.1% ↓
2016年 10,800
-2.7% ↓
2015年 11,100
-8.26% ↓
2014年 12,100 -
2013年 12,100
12.04% ↑
2012年 10,800
-22.3% ↓
2011年 13,900
17.8% ↑
2010年 11,800
-7.81% ↓
2009年 12,800
0.79% ↑
2008年 12,700
-9.29% ↓
2007年 14,000
-6.67% ↓
2006年 15,000
-8.54% ↓
2005年 16,400
64% ↑
2004年 10,000 -
2003年 10,000
4.17% ↑
2002年 9,600
-21.31% ↓
2001年 12,200 -
2000年 12,200
40.23% ↑
1999年 8,700
-20.18% ↓
1998年 10,900
17.2% ↑
1997年 9,300
-5.1% ↓
1996年 9,800
-2% ↓
1995年 10,000
-5.66% ↓
1994年 10,600
1.92% ↑
1993年 10,400
-7.96% ↓
1992年 11,300
-5.04% ↓
1991年 11,900
12.26% ↑
1990年 10,600
-13.82% ↓
1989年 12,300
-3.15% ↓
1988年 12,700
5.83% ↑
1987年 12,000
4.84% ↑
1986年 11,446
-14.83% ↓
1985年 13,439
-6.3% ↓
1984年 14,342
-4.48% ↓
1983年 15,014
-6.16% ↓
1982年 16,000
20.3% ↑
1981年 13,300
0.76% ↑
1980年 13,200
-8.97% ↓
1979年 14,500
-9.38% ↓
1978年 16,000 -
1977年 16,000
33.33% ↑
1976年 12,000
20% ↑
1975年 10,000
25% ↑
1974年 8,000
300% ↑
1973年 2,000 -
1972年 2,000 -
1971年 2,000 -
1970年 2,000 -
1969年 2,000 -
1968年 2,000 -
1967年 2,000 -
1966年 2,000 -
1965年 2,000 -
1964年 2,000 -
1963年 2,000 -
1962年 2,000 -
1961年 2,000 -

アイルランドのカリフラワー・ブロッコリー生産量の推移を見ると、大きく分けて3つの時期に分けることができます。1961年から1973年にかけては2,000トンと安定して低い水準を保っていました。この時期のアイルランドでは、これらの野菜に対する市場需要が限定的であり、農地の利用も他の主要作物に重点を置いていたことが一因と思われます。しかし1974年以降、急激に生産量が増加し、1977年には16,000トンと大幅な伸びを記録しました。この背景には、食生活の多様化や健康志向の高まりに伴い、ブロッコリーやカリフラワーが国内外において需要を増したことが挙げられます。

1980年代以降は、生産量の波が目立つようになります。原因としては、アイルランド国内の気候条件の変動や農作物市場の価格変動が挙げられます。特に2005年に記録した16,400トンは短期間の回復を示しましたが、それ以降は概して減少傾向にあります。近年のデータでは2023年に9,000トンまで落ち込み、この長期的な低下トレンドが注目されています。

この減少の背景には、いくつかの要因が考えられます。第一に、気候変動による作付け環境の悪化が挙げられます。アイルランドは適度な降雨と冷涼な気候を持つ農業国として知られていますが、近年の気象パターンの変化は洪水や干ばつといった極端な現象を引き起こし、農作物の品質と収量に悪影響を及ぼしています。第二に、グローバル市場の競争激化がアイルランドの生産者に負担を強いています。ヨーロッパ全体ではスペインやイタリアなど、気候や土地利用がカリフラワーやブロッコリーの大量生産に適した国々が競合国として存在しており、価格競争の中でアイルランドの生産者が不利な立場に立たされる場面が増えています。そして第三に、農村労働力の減少が全体的な生産コストの高騰を招いている点も大きな課題です。

アイルランドが今後この問題にどう対処するかが課題です。具体策としては、まず第一に、気候変動に対応した農業技術の普及が重要です。耐寒性や耐病性のある新品種の導入、また効率的に降水を活用できる灌漑技術を推進することが現実的な解決策といえます。第二に、国際市場での競争力を強化するため、農家向けへの補助金や税制優遇措置を増やすとともに、輸出促進のために国際的な協力を深めるべきです。たとえば、EU(欧州連合)内での農産物振興プログラムの枠組みを活用する提案が考えられます。また、第三として消費者教育キャンペーンを行い、地元産品の魅力をアピールすることも、生産者を間接的に支援する道筋となるでしょう。

結論として、この長期的傾向はアイルランドの農業セクター全体にとって注意深く監視すべき重要なテーマだといえます。同様の課題はフランスやイギリスでも報告されていますが、それらの国々は政策対応を加速させています。アイルランドは気候変動時代に適応し、国民と国際社会に貢献する農業基盤を築くために、迅速かつ包括的な対応策をとることが求められるでしょう。