国連食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、アイルランドにおけるイチゴの生産量は2022年に7,200トンを記録しました。1960年代は3,000トンで横ばいが続いていましたが、1970年代後半から徐々に増加しました。その後、生産量は波を描きつつも増減を続け、2010年代には高い生産水準を維持しました。しかし、2000年前後には一時的に大きな減少が確認され、その後再び回復への道を辿っています。直近では2020年以降、安定した成長を見せています。
アイルランドのイチゴ生産量推移(1961-2022)
年度 | 生産量(トン) |
---|---|
2022年 | 7,200 |
2021年 | 6,500 |
2020年 | 6,260 |
2019年 | 5,990 |
2018年 | 5,680 |
2017年 | 6,578 |
2016年 | 6,400 |
2015年 | 6,900 |
2014年 | 6,800 |
2013年 | 7,900 |
2012年 | 7,600 |
2011年 | 5,400 |
2010年 | 5,400 |
2009年 | 5,100 |
2008年 | 5,100 |
2007年 | 4,100 |
2006年 | 4,900 |
2005年 | 4,600 |
2004年 | 4,100 |
2003年 | 4,200 |
2002年 | 3,100 |
2001年 | 1,900 |
2000年 | 1,000 |
1999年 | 4,000 |
1998年 | 4,000 |
1997年 | 4,700 |
1996年 | 5,800 |
1995年 | 5,200 |
1994年 | 4,800 |
1993年 | 4,100 |
1992年 | 5,200 |
1991年 | 6,400 |
1990年 | 6,200 |
1989年 | 5,800 |
1988年 | 4,600 |
1987年 | 4,400 |
1986年 | 2,723 |
1985年 | 4,160 |
1984年 | 4,002 |
1983年 | 2,689 |
1982年 | 5,000 |
1981年 | 4,600 |
1980年 | 5,900 |
1979年 | 5,000 |
1978年 | 4,200 |
1977年 | 4,000 |
1976年 | 3,000 |
1975年 | 3,000 |
1974年 | 3,000 |
1973年 | 3,000 |
1972年 | 3,000 |
1971年 | 3,000 |
1970年 | 3,000 |
1969年 | 3,000 |
1968年 | 3,000 |
1967年 | 3,000 |
1966年 | 3,000 |
1965年 | 3,000 |
1964年 | 3,000 |
1963年 | 3,000 |
1962年 | 3,000 |
1961年 | 3,000 |
アイルランドのイチゴ生産量のデータを見てみると、1960年代は安定して3,000トンの生産量を維持しており、当時のイチゴ栽培はまだ国内の需要を満たす規模でした。しかし、1970年代後半以降、生産量は徐々に増加しており、1979年には初めて5,000トンを超えています。この背景には、農業技術の進歩や消費者ニーズの高まりが影響していると考えられます。その後、1980年代から1990年代にかけては、生産量の増減を繰り返しながら6,400トンに近づく年もありました。
しかし、2000年には生産量が1,000トンに急減しています。この一時的な著しい減少は、労働力不足や市場競争の激化、輸入果実の競争が要因として考えられます。一方、これを契機として新しい栽培技術や効率的な農業管理が進められた結果、再び回復し、2003年には4,200トンに達しています。それ以降のデータでは緩やかに伸び続け、特に2012年から2015年にかけては7,000トン近くにまで伸び、近年ではさらに安定した高水準が見られるようになっています。
2022年の生産量が7,200トンに達した要因の一部として、温室技術の利用の拡大が挙げられます。アイルランドは伝統的に気候が冷涼であるため、露地栽培では気候的な制約が大きい地域です。それを克服するためには、温室栽培や持続可能な農法が重要な役割を果たしたと考えられます。また、地元産品の消費を奨励する動きや、イチゴの健康効果に対する認識の向上が需要を後押ししています。
課題も残されていることも忘れてはなりません。まず、一部の年に生産が大きく減少している影響を分散させるために、栽培方法のさらなる多様化が必要です。労働力問題も依然として大きな課題であり、特にヨーロッパ全域で農業労働者の供給不足が懸念されています。地政学的背景として、EU離脱後のイギリスとの貿易関係の変化も、輸出市場や生産コストに影響を与える可能性があります。
今後の具体的な対策として、従来の栽培技術のさらなる効率化に加え、IoT技術によるモニタリングの導入が期待されます。また、技術的支援を受けるために、EUとの協調的な農業プログラムの活用が考えられます。さらに、消費者の需要に応じて、有機イチゴの栽培や環境負荷軽減への取り組みを強化することで、生産の安定性と持続可能性を高めることが重要です。
結論として、アイルランドのイチゴ生産量は近年着実に改善しており、2022年時点での7,200トンという水準は過去のピークを超えました。この成果を維持し、さらに発展させるためには、気候変動や労働力の供給問題への具体的な対策を考案する必要があります。同時に、地元産品の魅力をPRし、国内外の市場で競争力を強化していくことも重要です。アイルランドの農業政策と技術革新は、今後の安定した生産と持続可能な成長を支える鍵となるはずです。