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アイルランドのテンサイ(甜菜)生産量の推移【1961年~2023年】世界ランキング・統計データ

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、アイルランドのテンサイ(甜菜)生産量は1960年代から1990年代まで一定の増減を繰り返しながら、概ね100万トンから180万トンの範囲で推移していました。しかし2006年以降、テンサイの生産量は劇的に減少し、現在はかつてのピーク時のわずか数パーセントにまで大きく落ち込んでいます。この急減の要因や背景には、政策や経済、そして気候変動が関与していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2017年 75,000
4.17% ↑
2016年 72,000
-8.07% ↓
2015年 78,318
-8.41% ↓
2014年 85,510
-4.31% ↓
2013年 89,360
-9.07% ↓
2012年 98,269
-8.31% ↓
2011年 107,177
112.52% ↑
2010年 50,432
-15.95% ↓
2009年 60,000
-25% ↓
2008年 80,000
77.78% ↑
2007年 45,000
-40.48% ↓
2006年 75,600
-94.52% ↓
2005年 1,380,000
-25.86% ↓
2004年 1,861,400
23.66% ↑
2003年 1,505,200
15.72% ↑
2002年 1,300,700
-13.17% ↓
2001年 1,498,000
-18.1% ↓
2000年 1,829,000
6.83% ↑
1999年 1,712,100
4.4% ↑
1998年 1,640,000
-0.5% ↓
1997年 1,648,200
11.7% ↑
1996年 1,475,600
-4.62% ↓
1995年 1,547,000
11.29% ↑
1994年 1,390,000
24.44% ↑
1993年 1,117,000
-20.04% ↓
1992年 1,397,000
-0.85% ↓
1991年 1,409,000
-4.8% ↓
1990年 1,480,000
2% ↑
1989年 1,451,000
8.77% ↑
1988年 1,334,000
-17.81% ↓
1987年 1,623,000
27.39% ↑
1986年 1,274,000
-2.67% ↓
1985年 1,309,000
-22.73% ↓
1984年 1,694,000
3.93% ↑
1983年 1,630,000
-1.81% ↓
1982年 1,660,000
25.85% ↑
1981年 1,319,000
14.1% ↑
1980年 1,156,000
-12.56% ↓
1979年 1,322,000
-9.2% ↓
1978年 1,456,000
4.15% ↑
1977年 1,398,000
-4.77% ↓
1976年 1,468,000
2.68% ↑
1975年 1,429,700
54.41% ↑
1974年 925,900
-29.94% ↓
1973年 1,321,600
20.75% ↑
1972年 1,094,511
-10.15% ↓
1971年 1,218,100
23.98% ↑
1970年 982,500
7.2% ↑
1969年 916,500
-16.13% ↓
1968年 1,092,700
14.28% ↑
1967年 956,200
35.8% ↑
1966年 704,123
-7.28% ↓
1965年 759,372
-14.97% ↓
1964年 893,108
-6.19% ↓
1963年 952,039
2.29% ↑
1962年 930,702
4.33% ↑
1961年 892,092 -
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アイルランドのテンサイ生産量の推移データを分析すると、初期の1960年代から1980年代にかけては緩やかに増加傾向が見られ、特に1970年以降、1年あたり100万トンから160万トンを安定して生産していたことがわかります。1990年代に入ると僅かな変動はあるものの、この増加傾向が継続し、2000年には1,829,000トンという記録的な生産量を達成しています。この時期の高生産量は欧州諸国全体でテンサイ需要の高まりがあったほか、農業政策や技術の向上が背景にあったと考えられます。

しかしながら、2006年以降、状況は一変します。この年から生産量は劇的に減少し、2006年には75,600トン、翌年にはわずか45,000トンまで落ち込みました。この変化の要因として、EUが行った「砂糖改革政策」が挙げられます。この政策の一環として、砂糖生産能力を削減するため、多くの加盟国で砂糖に使用されるテンサイの生産が縮小されました。アイルランドも例外ではなく、国内生産はほぼ完全に停止され、現在の生産量は主にニッチ市場向けや特殊需要を満たす程度に限られています。

さらに、気候変動の影響も見逃せません。テンサイは温帯気候に適応する作物として知られており、その生育には一定の降水量と適度な気温が求められます。アイルランドでは近年、気候変動による異常気象や不安定な気温が観測されており、これがテンサイ栽培に適した条件を提供しにくくなっている可能性があります。また、農業労働力の減少や他の高利益作物への転換も、生産量減少を加速させた要因と言えるでしょう。

今後の課題として、アイルランドがテンサイ生産をどの程度重要視するかが鍵になります。現状では生産規模が縮小していますが、テンサイは砂糖だけでなくバイオエタノールなど代替エネルギーの原料としても注目されています。このような新たな利用可能性を考慮すると、生産と輸出の両面で新たな機会を得る余地があります。他国との比較で見ると、ドイツやフランスなどの欧州諸国では、依然として数百万トン規模のテンサイ生産が行われており、これらの国々から学ぶべき事例も多く存在します。

政策上の提案としては、まず気候変動対策や農業技術の改良を目指した研究を進め、テンサイ栽培の効率を高める方策が考えられます。また、EUの支援を活用し、地域間での協力体制を構築することで、市場ニーズに応じた柔軟な対応が可能となるでしょう。さらに、国内の農業従事者へのインセンティブを提供し、テンサイ生産を再び活性化させることも選択肢の一つです。

結論として、アイルランドのテンサイ生産量推移データは、農業政策、気候変動、地域経済といったさまざまな要因が生産動態に影響をもたらすことを如実に示しています。今後は多角的な取り組みを通じて、可能性のある産業としての地位を再評価し、持続可能な方法で生産体制を再構築していくべきと言えるでしょう。

アイルランドの統計データ
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