シエラレオネのサトイモ生産量推移（1961年～2023年）

出典： Food and Agriculture Organization「国際連合食糧農業機関」

国際連合食糧農業機関（FAO）が発表したデータによると、シエラレオネのサトイモ生産量は、1961年には25,000トンと比較的高いレベルにありましたが、その後減少傾向を示し、1990年代から2000年にかけては3,000トン前後に低迷しました。2000年代にはわずかな回復が見られたものの、2010年代後半以降は停滞気味の推移となり、2022年には2,873トンと確認されています。この長期的な生産量の減少は、シエラレオネの経済的および社会的課題を映し出しています。

年度	生産量(トン)	増減率
2023年	2,944	2.48% ↑
2022年	2,873	-0.78% ↓
2021年	2,895	-1.03% ↓
2020年	2,925	-1.18% ↓
2019年	2,960	-4.34% ↓
2018年	3,095	0.51% ↑
2017年	3,079	1.37% ↑
2016年	3,037	5.79% ↑
2015年	2,871	-8.6% ↓
2014年	3,141	1.32% ↑
2013年	3,100	3.33% ↑
2012年	3,000	4.07% ↑
2011年	2,883	2.95% ↑
2010年	2,800	1.82% ↑
2009年	2,750	10% ↑
2008年	2,500	-10.71% ↓
2007年	2,800	-3.45% ↓
2006年	2,900	5.45% ↑
2005年	2,750	-1.79% ↓
2004年	2,800	6.67% ↑
2003年	2,625	0.96% ↑
2002年	2,600	4% ↑
2001年	2,500	6.84% ↑
2000年	2,340	-3.7% ↓
1999年	2,430	-4.8% ↓
1998年	2,553	-1.49% ↓
1997年	2,591	0.69% ↑
1996年	2,573	-4.69% ↓
1995年	2,700	-15.63% ↓
1994年	3,200	-0.93% ↓
1993年	3,230	-5% ↓
1992年	3,400	-
1991年	3,400	6.25% ↑
1990年	3,200	-8.57% ↓
1989年	3,500	-5.41% ↓
1988年	3,700	-7.5% ↓
1987年	4,000	-33.33% ↓
1986年	6,000	-25% ↓
1985年	8,000	-20% ↓
1984年	10,000	-16.67% ↓
1983年	12,000	-14.29% ↓
1982年	14,000	-12.5% ↓
1981年	16,000	-11.11% ↓
1980年	18,000	-10% ↓
1979年	20,000	-
1978年	20,000	-
1977年	20,000	-
1976年	20,000	-13.04% ↓
1975年	23,000	-
1974年	23,000	-
1973年	23,000	-
1972年	23,000	-
1971年	23,000	4.55% ↑
1970年	22,000	-4.35% ↓
1969年	23,000	21.05% ↑
1968年	19,000	-7.32% ↓
1967年	20,500	13.89% ↑
1966年	18,000	-10% ↓
1965年	20,000	-
1964年	20,000	-
1963年	20,000	-20% ↓
1962年	25,000	-
1961年	25,000	-

シエラレオネのサトイモ生産量は、1960年代には25,000トン前後を維持していましたが、その後は減少傾向が顕著となりました。特に1980年代から1990年代にかけての急激な減少は注目すべき変化です。この減少は内戦や政治的不安定さ、農地利用の変化、人材とインフラ面の不足に起因すると考えられます。この当時、シエラレオネは内戦に直面し、多くの農業従事者が土地を離れたことや、持続可能な農業技術への投資が限られていたことが影響を与えたと推測されます。

2000年代初頭からは、一時的に回復の兆しを見せ、生産量は2,500トンから2,800トン付近まで上昇しました。しかし、その回復は本格的なものとは言えず、依然として1960年代の生産量には及びませんでした。この背景には、農業分野の近代化が十分に進まなかったことや、世界的な農産物市場での競争力の弱さが影響を及ぼしました。また、気候変動による収穫の不安定さも問題視されています。

直近の2022年の生産量は2,873トンでした。この数値は向上の兆しとは捉えられず、むしろ停滞を示しています。他国と比較すると、たとえば日本やアメリカのような先進国ではサトイモが大規模消費されるわけではないものの、効率的な生産方法の導入により生産性自体は向上しています。一方、シエラレオネでは、このような効率化が進んでいないことが弱点です。また、アジア圏ではインドや中国がサトイモを主食や加工食品の素材として利用し、生産量の増加と市場の多様化が進んでいるのに対して、シエラレオネでは地元消費を中心とした小規模生産が主流です。

このような状況において重要な課題は、農業の近代化と生産の安定化です。具体的には、以下のような対策が有効と考えられます。まず、インフラ整備を進めることです。特に農地への水路や輸送路の整備は、生産性を大きく向上させる可能性があります。次に、農業従事者への技術研修を強化し、農作物の効率的栽培方法や土壌改善技術を普及させることも鍵となります。

また、国際市場との連携を深めるための政策も検討するべきです。サトイモの輸出ルートを開拓し、世界的な需要をターゲットにすることで、農業の経済的基盤を強化することが可能です。同時に、気候変動の影響を軽減するための取り組みとして、気候に強い品種の導入や、自然災害への備えを徹底することも急務とされます。

こうした長期的な視点に基づく政策が実行されない限り、サトイモ生産が再び成長軌道に乗るのは困難です。しかし、適切な支援と投資の下で、シエラレオネの農業は再び持続可能な発展を迎える可能性を秘めています。国際社会や地域協力の枠組みを活用し、シエラレオネの農業部門の基盤強化が進められることを期待したいと思います。