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シエラレオネの牛乳生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、シエラレオネの牛乳生産量は1961年から長期的な増加傾向を示す中で、大きな変動を交えながら推移しています。1983年以降の停滞を経て、1990年代初頭には急激な生産増加を記録しましたが、内戦の影響を受けて1999年には減少しました。その後、2000年以降は再び増加傾向を見せ、2010年代中頃にはピークに達しましたが、最近では再び減少と回復の間を行き来しています。

年度 生産量(トン)
2022年 149,146
2021年 164,410
2020年 144,575
2019年 137,451
2018年 133,920
2017年 139,055
2016年 146,415
2015年 155,375
2014年 166,727
2013年 165,309
2012年 165,286
2011年 162,474
2010年 148,510
2009年 131,769
2008年 106,230
2007年 91,761
2006年 102,489
2005年 73,289
2004年 55,238
2003年 48,299
2002年 44,136
2001年 44,130
2000年 55,208
1999年 55,200
1998年 75,993
1997年 75,983
1996年 87,073
1995年 102,333
1994年 103,707
1993年 100,916
1992年 98,126
1991年 95,337
1990年 17,250
1989年 17,250
1988年 17,250
1987年 17,250
1986年 17,250
1985年 17,250
1984年 17,250
1983年 18,500
1982年 19,500
1981年 19,000
1980年 18,250
1979年 17,750
1978年 17,500
1977年 17,250
1976年 17,000
1975年 16,750
1974年 16,500
1973年 16,250
1972年 16,000
1971年 15,750
1970年 15,500
1969年 15,250
1968年 15,000
1967年 14,750
1966年 14,500
1965年 14,000
1964年 13,500
1963年 13,000
1962年 12,250
1961年 11,500

シエラレオネの牛乳生産量データは、この国の農業と経済の構造的な変遷、さらに社会的・地政学的背景を反映する重要な指標です。1961年から1980年代初頭にかけて、牛乳生産量は持続的に増加し、500〜1,000トン程度の緩やかな成長を毎年記録していました。この追い風となったのは、安定した農業環境や家畜管理の改善が挙げられます。

しかし、1980年代中頃から生産量は停滞に入り、1983年には一時的な減少を見せました。この要因には、地域農業のインフラ不足や、国全体の経済・農業政策が効果を発揮しなかったことが考えられます。その後、1991年頃から生産量が急激に跳ね上がりを示しましたが、これはデータの誤差や計測方法の改定で説明できる可能性があります。ただ、この上昇は内戦が勃発する1990年代中盤まで続き、その後生産量は大幅に減少しました。この時期、生産量は75,000トン以下に落ち込み、1999年にはさらに最低値の55,200トンを記録しました。これは、シエラレオネ内戦(1991年〜2002年)が農村部の生産基盤を破壊したことに起因しています。

2002年に内戦が終結した後、安定した政情回復のもとで農業復興が進み、牛乳生産量は2000年代中盤以降に急速な成長を見せました。これは、農業支援政策や国際社会からの支援、さらには農村部のインフラ再建が影響していると考えられます。特に2010年以降、生産量は100,000トンを超え、2014年には最高値の166,727トンを記録しました。

しかし、2015年以降からは減少傾向が再び見られ、2022年には149,146トンまで低下しました。この要因として、近年の気候変動や災害、そしてエボラ出血熱の流行(2014年〜2016年)が農業に与えた影響を考慮する必要があります。また、家畜管理や牧草地の不足、さらには輸送や販売インフラの未整備も一定の影響を与えています。

これに対処するためには、いくつかの具体的な対策が考えられます。第一に、牧草地整備や牛の健康管理を改善するための技術的支援を拡大することが重要です。また、牛乳の加工・流通インフラの発展と、国内市場の活性化を促す政策を整える必要があります。さらに、近年の気候変動の影響を軽減するためには、持続可能な農業技術の普及や水資源管理の向上が急務です。国際社会の援助を受けつつ、これらの課題解決策を統合的に推進することが鍵となるでしょう。

シエラレオネの牛乳生産量は、国全体の社会的安定や農業政策に密接に関わってきたことがデータから読み取れます。今後もこの分野を強化し、地域や国の経済成長の軸として発展させていくことが期待されます。同時に、食料安全保障や農村振興といったテーマも含めた包括的な政策を進めることが求められます。