国際連合食糧農業機関(FAO)による最新のデータによると、トンガの牛乳生産量は1961年の150トンから2023年の325トンまで増加しています。ただし、長期的な推移を見ると、生産量には大きな変動があり、特に1981年の554トンをピークに急激に減少した時期も見られます。その後は1960年代の水準に戻る傾向となり、近年では比較的安定した生産量を維持しています。2023年の生産量は過去数年間と比べ微増の傾向を見せています。
トンガの牛乳生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 325 |
0.11% ↑
|
2022年 | 324 |
0.2% ↑
|
2021年 | 324 |
0.2% ↑
|
2020年 | 323 |
0.09% ↑
|
2019年 | 323 |
0.43% ↑
|
2018年 | 321 |
0.28% ↑
|
2017年 | 320 |
-0.01% ↓
|
2016年 | 320 |
0.3% ↑
|
2015年 | 319 |
-23.93% ↓
|
2014年 | 420 |
2.44% ↑
|
2013年 | 410 |
2.5% ↑
|
2012年 | 400 |
3.9% ↑
|
2011年 | 385 |
4.05% ↑
|
2010年 | 370 |
19.06% ↑
|
2009年 | 311 |
0.06% ↑
|
2008年 | 311 |
0.07% ↑
|
2007年 | 310 |
0.27% ↑
|
2006年 | 310 |
0.06% ↑
|
2005年 | 309 |
0.06% ↑
|
2004年 | 309 |
0.06% ↑
|
2003年 | 309 |
0.06% ↑
|
2002年 | 309 |
0.06% ↑
|
2001年 | 309 |
-16.62% ↓
|
2000年 | 370 |
106.7% ↑
|
1999年 | 179 |
-37% ↓
|
1998年 | 284 |
0.06% ↑
|
1997年 | 284 |
0.07% ↑
|
1996年 | 284 |
89.17% ↑
|
1995年 | 150 |
-33.33% ↓
|
1994年 | 225 |
-20.55% ↓
|
1993年 | 283 |
-0.43% ↓
|
1992年 | 284 |
-1.86% ↓
|
1991年 | 290 |
28.81% ↑
|
1990年 | 225 |
-24.24% ↓
|
1989年 | 297 |
1.02% ↑
|
1988年 | 294 |
1.03% ↑
|
1987年 | 291 |
1.04% ↑
|
1986年 | 288 |
1.05% ↑
|
1985年 | 285 |
-1.72% ↓
|
1984年 | 290 |
-6.45% ↓
|
1983年 | 310 |
-16.22% ↓
|
1982年 | 370 |
-33.21% ↓
|
1981年 | 554 |
36.12% ↑
|
1980年 | 407 |
24.85% ↑
|
1979年 | 326 |
5.16% ↑
|
1978年 | 310 |
19.23% ↑
|
1977年 | 260 |
1.96% ↑
|
1976年 | 255 |
1.19% ↑
|
1975年 | 252 |
1.61% ↑
|
1974年 | 248 |
1.22% ↑
|
1973年 | 245 |
2.08% ↑
|
1972年 | 240 |
10.09% ↑
|
1971年 | 218 |
3.81% ↑
|
1970年 | 210 |
3.45% ↑
|
1969年 | 203 |
4.1% ↑
|
1968年 | 195 |
3.72% ↑
|
1967年 | 188 |
4.44% ↑
|
1966年 | 180 |
4.05% ↑
|
1965年 | 173 |
4.85% ↑
|
1964年 | 165 |
4.43% ↑
|
1963年 | 158 |
5.33% ↑
|
1962年 | 150 | - |
1961年 | 150 | - |
1961年から2023年までの牛乳生産量の推移を見ると、トンガは数十年をかけて生産量を増加させる努力が見られます。特に1960年代から1970年代にかけて着実な増加を記録しました。この時期は、畜産業への政策的支援や技術革新が進んだと考えられ、1970年代末には310トンを達成しました。その後、1981年には554トンに急増していますが、これは農業および畜産業の一時的な活性化や、輸出可能な畜産製品への需要増加が関連している可能性があります。
しかし、1981年以降、生産量は急落し、1984年以降は200〜300トン台で推移しています。この大幅な減少の背景には、資源の枯渇や市場価格変動、他の産業への注力による畜産業の相対的な衰退が関与していると考えられます。また、地政学的要因として、これまで以上に輸入品が国内市場を占めるようになったことも、国内生産活動に影響を与えた可能性があります。
2000年以降、トンガの牛乳生産量はおおむね安定し始めています。2010年代には安定して300トン以上を維持し、2023年には325トンという数値が示されています。これは、持続可能な牧畜方法や地域社会レベルでの畜産活動の普及が、この安定の一因と考えられます。ただし、2015年から2016年にかけて一時的な減少(319トン)が見られるなど、気候変動の影響や経済条件による小幅な上下動は依然として続いています。
トンガの牛乳生産量は基本的に国内消費の需要を満たすことを主な目的としていますが、近年の気候変動や自然災害などにより、畜産業の継続的な発展には課題が残されています。例えば、トンガは地理的に小さな島国であるため、牧草地や水資源の確保が難しい状況があります。また、災害や疫病のリスクが周辺国と比較して高い点も問題です。2022年初頭に発生したトンガの火山噴火と津波は農地に多大な影響を与え、畜産やその収穫環境にも少なからず被害を及ぼした可能性があります。
今後の課題として、トンガの牛乳生産をさらに持続可能なものとし、環境負荷を低減しつつ生産増加を目指す必要があります。一つの提案として、牛乳生産に特化した効率的な牧草地管理や、気候変動に強い飼料作物の導入が挙げられます。また、農場経営者や生産者を対象とした技術指導の拡充と、政府による継続的な補助金やインセンティブの提供も重要です。さらに、地域間での協力関係を構築し、他国の成功事例(例えばニュージーランドの先進的な酪農技術や、気候変動対応型の生産方式)を参考にした政策採用も有効でしょう。
結論として、トンガの牛乳生産は長期的に右肩上がりの見込みがありますが、これは適切な計画と持続可能性への配慮が前提です。特に、地球温暖化やフィジーなど近隣諸国との貿易関係の変化など、外的要因に迅速に対応する能力が今後ますます重要になるでしょう。国際機関やトンガ国内政府との連携を深めることで、安定的かつ効率的な牛乳生産の実現が期待されます。