Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、トンガのヤギ肉生産量は1960年代から増加傾向を示し、1980年代前半にピークを迎えた後に減少し、その後は安定した状態が続いています。2023年の生産量は29トンで、近年は緩やかな増加傾向にありますが、過去のピークである1981年の48トンには遠く及びません。これは、地域の畜産業の変化や消費傾向が影響していると考えられます。
トンガのヤギ肉生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 29 |
2.93% ↑
|
2022年 | 29 |
1.06% ↑
|
2021年 | 28 |
1.11% ↑
|
2020年 | 28 |
1.34% ↑
|
2019年 | 28 |
1.06% ↑
|
2018年 | 27 |
0.7% ↑
|
2017年 | 27 |
1.12% ↑
|
2016年 | 27 |
-0.67% ↓
|
2015年 | 27 |
0.52% ↑
|
2014年 | 27 |
-0.3% ↓
|
2013年 | 27 |
3.65% ↑
|
2012年 | 26 |
2.92% ↑
|
2011年 | 25 |
-0.28% ↓
|
2010年 | 25 |
-3.31% ↓
|
2009年 | 26 | - |
2008年 | 26 | - |
2007年 | 26 |
2.94% ↑
|
2006年 | 26 |
3.03% ↑
|
2005年 | 25 | - |
2004年 | 25 | - |
2003年 | 25 | - |
2002年 | 25 | - |
2001年 | 25 | - |
2000年 | 25 | - |
1999年 | 25 |
3.13% ↑
|
1998年 | 24 | - |
1997年 | 24 |
-5.88% ↓
|
1996年 | 26 |
-5.56% ↓
|
1995年 | 27 | - |
1994年 | 27 |
-14.29% ↓
|
1993年 | 32 | - |
1992年 | 32 | - |
1991年 | 32 |
5% ↑
|
1990年 | 30 |
5.26% ↑
|
1989年 | 29 |
-26.92% ↓
|
1988年 | 39 |
4% ↑
|
1987年 | 38 |
4.17% ↑
|
1986年 | 36 |
4.35% ↑
|
1985年 | 35 | - |
1984年 | 35 | - |
1983年 | 35 |
-11.54% ↓
|
1982年 | 39 |
-18.75% ↓
|
1981年 | 48 |
14.29% ↑
|
1980年 | 42 |
16.67% ↑
|
1979年 | 36 |
20% ↑
|
1978年 | 30 |
17.65% ↑
|
1977年 | 26 |
13.33% ↑
|
1976年 | 23 |
2.74% ↑
|
1975年 | 22 |
73.81% ↑
|
1974年 | 13 |
5% ↑
|
1973年 | 12 | - |
1972年 | 12 | - |
1971年 | 12 | - |
1970年 | 12 | - |
1969年 | 12 | - |
1968年 | 12 |
14.29% ↑
|
1967年 | 11 |
7.69% ↑
|
1966年 | 10 |
8.33% ↑
|
1965年 | 9 |
-7.69% ↓
|
1964年 | 10 |
8.33% ↑
|
1963年 | 9 |
20% ↑
|
1962年 | 8 | - |
1961年 | 8 | - |
トンガのヤギ肉生産量の推移は、地域の農業と畜産業の動向を反映した興味深いデータです。このデータによれば、1960年代のヤギ肉生産量は年間8トンから始まり、1970年代中頃までに12トンほどで安定しました。その後、1975年から急激な増加が見られ、1981年には48トンに達し、トンガのヤギ肉の生産量としての史上最高記録を達成しています。この時期の増加は、地域住民のタンパク質需要が高まる一方で、ヤギ飼育が容易なため畜産の選択肢として広がったことが背景にあると推測されます。
しかし、1980年代以降には生産量が減少に転じ、1989年には29トンまで落ち込みました。その後、1990年代以降は24トンから32トンの範囲で推移し、2020年代に入ってからは再び微増が見られています。このような長期にわたる減少や停滞の要因としては、トンガ国内の経済変化や人口構造の変化、あるいは輸入肉への依存の増加が考えられます。また、小規模農家が主導するヤギ飼育が、人口増加や気候変動による土地利用の制約に直面している可能性も示唆されます。
地理的にトンガは離島国家であり、輸送コストや市場規模の制約が観光産業や輸出品目にも影響を与えることで知られています。同様の課題は畜産業にも反映され、特にヤギ肉生産においては大規模な商業展開が難しい状況にあります。そのため、生産量は主に地域内消費に依存していることが推察されます。ただし、近年の微増傾向は、伝統的食品としての価値の再評価や、持続可能な農業手法の導入が進んできた可能性を示しています。
この状況に対して課題として挙げられるのは、ヤギ飼育の効率化が進まないことや、気候変動による農作物と飼料の供給への影響が増大する点です。また、国際的な市場アクセスも限定的であり、農業技術の見直しや協力体制の強化が求められています。具体的な対策として、ヤギ飼育のノウハウを共有するための研修制度の導入や、気候変動に強い飼料作物の研究開発を進めることが望まれます。また、オセアニア地域内での地域協力を強化し、輸出機会の拡充を実現することも重要です。例えば、ニュージーランドやオーストラリアといった近隣諸国との連携を通じて、農畜産品の市場を広げることが考えられます。
さらに近年では、新型コロナのパンデミックによる物流の停滞や観光需要の減少などが、地域経済および農業に連鎖的な影響を及ぼしました。これに対処するため、持続可能なローカルフードシステムの構築や、地元コミュニティによる市場の保護が重要性を増しています。
結論として、トンガのヤギ肉生産量は過去数十年の間に顕著な変遷を遂げましたが、現在は比較的安定した状態にあり、緩やかな改善も見受けられます。このデータは、トンガの畜産業が地理的・経済的な制約に対してどのように調整してきたかを示す良い例と言えます。未来に向けては、生産量の回復を図るだけでなく、農村の自立性や持続可能性を確保するための国際的な知見導入と地域連携の強化が必要不可欠です。