Skip to main content

トンガのサツマイモ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月最新データによると、トンガのサツマイモ生産量は非常に長期にわたる推移が特徴的です。1960年代から1970年代には1万トンを超える水準を安定して維持していましたが、1980年代以降は急激に減少しました。そして1990年代から2000年代前半にかけて変動が激しい時期を経て、2010年代以降再び安定した水準を保っています。2020年代では年間約6,500トン前後で推移しています。この一連の推移はトンガ特有の食料・農業環境が影響しており、その背景にある複雑な要素が解析可能です。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 6,574
0.15% ↑
2022年 6,564
0.31% ↑
2021年 6,544
0.34% ↑
2020年 6,522
-2.34% ↓
2019年 6,679
-0.09% ↓
2018年 6,684
1.04% ↑
2017年 6,616
-0.54% ↓
2016年 6,652
1.23% ↑
2015年 6,571
0.74% ↑
2014年 6,523
0.35% ↑
2013年 6,500
8.33% ↑
2012年 6,000
-6.43% ↓
2011年 6,412
0.49% ↑
2010年 6,381
0.45% ↑
2009年 6,352
0.39% ↑
2008年 6,328
-6.95% ↓
2007年 6,800
0.74% ↑
2006年 6,750
9.77% ↑
2005年 6,149
1.39% ↑
2004年 6,065
1.1% ↑
2003年 5,999
-0.02% ↓
2002年 6,000
9.09% ↑
2001年 5,500
-31.25% ↓
2000年 8,000
159.74% ↑
1999年 3,080
-48.67% ↓
1998年 6,000
11.11% ↑
1997年 5,400
3.85% ↑
1996年 5,200
1.23% ↑
1995年 5,137
-14.38% ↓
1994年 6,000
-8.69% ↓
1993年 6,571
71.34% ↑
1992年 3,835
19.99% ↑
1991年 3,196
-0.13% ↓
1990年 3,200
-20% ↓
1989年 4,000
-18.37% ↓
1988年 4,900
-15.52% ↓
1987年 5,800
-13.43% ↓
1986年 6,700
-10.67% ↓
1985年 7,500
-10.71% ↓
1984年 8,400
-9.68% ↓
1983年 9,300
-8.82% ↓
1982年 10,200
-7.27% ↓
1981年 11,000
-7.56% ↓
1980年 11,900
-7.03% ↓
1979年 12,800
-6.57% ↓
1978年 13,700
-5.52% ↓
1977年 14,500
-6.23% ↓
1976年 15,464
-0.23% ↓
1975年 15,500
-0.94% ↓
1974年 15,647
0.3% ↑
1973年 15,600
1.3% ↑
1972年 15,400
4.53% ↑
1971年 14,733
11.54% ↑
1970年 13,209
-7.14% ↓
1969年 14,225
-0.52% ↓
1968年 14,300 -
1967年 14,300 -
1966年 14,300 -
1965年 14,300
-0.18% ↓
1964年 14,326
5.22% ↑
1963年 13,615
0.11% ↑
1962年 13,600
0.74% ↑
1961年 13,500 -

1960年代には、1万3,500トンから1万4,000トンを安定的に記録していたサツマイモの生産量は、トンガの農業基盤が比較的強固であったことを示しています。この時期、サツマイモは同国の伝統的な根菜類の主力作物として、食料自給および輸出の観点からも重要な役割を果たしていました。しかし1970年代後半から1980年代にかけて、気候変動や農地の劣化、土壌肥沃度の低下が進んだことにより、生産量は急激に減少し、1990年には3,200トンと記録的な低水準に落ち込みました。この時期には経済基盤の脆弱性が農業生産全体の停滞を招き、輸入食品への依存が高まる結果となった可能性が考えられます。

1993年から2000年にかけて、一定の回復が見られたものの、その後は気候変動リスクの影響や農業技術の不足、さらには国内外経済情勢の変化により変動が大きい時期が続きました。特に台風や洪水といった自然災害が同国の農業・食料生産に多大な影響を与えたことは無視できません。2000年には突如として生産量が8,000トンに急増していますが、このような異常値の背景には、特定支援プロジェクトや外部からの技術輸入が一時的に奏功した可能性が考えられます。

2010年代以降、年間6,000トンから6,700トン前後で生産量が推移し、安定期に入っています。この背景としては、持続可能な農業技術が導入され、また政府や国際機関の支援により農地の回復や生産効率の向上が図られたことが挙げられます。しかし、これらの改善策により生産量が一定のレベルに保たれているとはいえ、過去のピーク時の水準には遠く及びません。さらに国際的な市場需要と地政学的リスク(例:食品輸送の遅延、燃料価格の高騰)も、トンガの農業経済全体において課題となり続けています。

このように分析すると、トンガのサツマイモ生産にはいくつかの今後の課題が浮き彫りとなります。第一に、持続可能な農業技術のさらなる普及が必要です。これには、土壌分析技術や耐旱性品種の導入を通じて、気候変動への適応能力を高めることが含まれます。第二に、トンガの農業コミュニティにおける資源管理の効率化です。すなわち、限られた資源(例えば肥料や灌漑システム)を最適に活用できるような教育・訓練の促進が求められます。第三に、国際的な農業市場との連携強化を進めることで、サツマイモの輸出市場を拡大させ、経済的なメリットを高めるべきです。

また自然災害のリスクを軽減し被害を抑えるためには、地域レベルでの防災対策が重要です。これには早期警報システムの構築や農地の防災インフラ整備が含まれます。同時に、疫病や新型コロナウイルスのような大規模パンデミックの影響を見据えた食料供給ルートの強化も忘れてはなりません。これらの対策を組み合わせ、地域の特性や地政学的背景を踏まえた統合的な農業開発政策を展開することが肝要です。

トンガはサツマイモの生産量を維持するだけでなく、かつてのように1万トンを超える生産水準を目指すことが可能であると考えます。そのためには国際機関、地域政府間の協力を深め、新技術の活用を進めることが不可欠です。これにより、トンガの食料自給と農業経済の持続可能性がさらに向上する可能性を秘めています。