Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が最新の2024年7月に発表したデータによると、ガイアナの牛乳生産量は、初期の上昇期と大幅な減少期を経て、中期以降は緩やかな増加を辿り、再び安定した生産量に達していることが確認されました。特に1961年から1980年代前半までにかけて生産量が大きく落ち込んだ一方、2010年以降は安定的な上向きを見せ、2023年まで55,000トンの生産量を維持している現状がわかります。
ガイアナの牛乳生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 55,000 | - |
2022年 | 55,000 | - |
2021年 | 55,000 | - |
2020年 | 55,000 | - |
2019年 | 55,000 | - |
2018年 | 55,000 | - |
2017年 | 55,000 | - |
2016年 | 55,000 |
-0.59% ↓
|
2015年 | 55,327 |
5.76% ↑
|
2014年 | 52,315 |
16.26% ↑
|
2013年 | 45,000 |
2.27% ↑
|
2012年 | 44,000 |
2.33% ↑
|
2011年 | 43,000 |
53.83% ↑
|
2010年 | 27,953 |
1.38% ↑
|
2009年 | 27,572 |
0.69% ↑
|
2008年 | 27,382 |
0.06% ↑
|
2007年 | 27,365 |
0.06% ↑
|
2006年 | 27,348 |
0.06% ↑
|
2005年 | 27,330 |
0.06% ↑
|
2004年 | 27,313 |
0.06% ↑
|
2003年 | 27,296 |
0.06% ↑
|
2002年 | 27,279 |
-6.44% ↓
|
2001年 | 29,157 |
-3.04% ↓
|
2000年 | 30,071 |
0.24% ↑
|
1999年 | 30,000 |
-5.84% ↓
|
1998年 | 31,860 | - |
1997年 | 31,860 |
13.18% ↑
|
1996年 | 28,150 |
116.54% ↑
|
1995年 | 13,000 |
-4.48% ↓
|
1994年 | 13,610 |
-31.95% ↓
|
1993年 | 20,000 |
2.56% ↑
|
1992年 | 19,500 |
1.14% ↑
|
1991年 | 19,280 |
2.44% ↑
|
1990年 | 18,820 |
6.39% ↑
|
1989年 | 17,690 |
2.61% ↑
|
1988年 | 17,240 |
10.16% ↑
|
1987年 | 15,650 |
11.31% ↑
|
1986年 | 14,060 |
26.55% ↑
|
1985年 | 11,110 |
28.89% ↑
|
1984年 | 8,620 |
15.24% ↑
|
1983年 | 7,480 |
3.17% ↑
|
1982年 | 7,250 |
6.62% ↑
|
1981年 | 6,800 |
3.34% ↑
|
1980年 | 6,580 |
-17.75% ↓
|
1979年 | 8,000 |
-20% ↓
|
1978年 | 10,000 |
-20.98% ↓
|
1977年 | 12,655 |
3.33% ↑
|
1976年 | 12,247 |
4.5% ↑
|
1975年 | 11,720 |
4.18% ↑
|
1974年 | 11,250 |
-31.45% ↓
|
1973年 | 16,411 |
-2.63% ↓
|
1972年 | 16,855 |
0.7% ↑
|
1971年 | 16,738 |
-16.86% ↓
|
1970年 | 20,133 |
0.58% ↑
|
1969年 | 20,016 |
-6.27% ↓
|
1968年 | 21,355 |
6.84% ↑
|
1967年 | 19,987 |
23.99% ↑
|
1966年 | 16,120 |
-18.99% ↓
|
1965年 | 19,898 |
5.13% ↑
|
1964年 | 18,927 |
5% ↑
|
1963年 | 18,026 |
8.7% ↑
|
1962年 | 16,584 |
11.74% ↑
|
1961年 | 14,842 | - |
ガイアナの牛乳生産量推移を時系列で分析すると、大きく3つの時期に分けることができます。まず1961年から1965年にかけての初期成長期において、生産量は14,842トンから19,898トンまで着実に増加しました。この時期の増加は、農業技術の導入や牧畜の拡大が背景にあったと考えられます。しかし、それ以降、1966年を境に牛乳生産量は安定せず、1974年には11,250トンと大きく減少しました。この減少の要因として、ガイアナ特有の社会情勢や自然災害、さらには生産管理の不備などが挙げられると推測されます。
1970年代後半から1980年代にかけては特に厳しい状況が続き、生産量は8,000トン以下にまで低下しました。この時期、世界全体で食料危機やオイルショック等の経済的影響が広がり、ガイアナもその影響を受けたとみられます。同時に、適切な政策支援やインフラ整備が進まなかったことが低迷を招いた可能性が高いです。
1990年代になると徐々に回復傾向が見られるようになります。例えば、1991年には19,280トン、1993年には20,000トンと増加が見られ、1996年には28,150トン、1997年には31,860トンへと上昇しました。この改善傾向は、1980年代の停滞期を経て牧畜への投資や技術革新が進んだ成果と関連していると考えられます。
2010年以降は、特に目覚ましい回復が見られます。2011年の43,000トン以降、生産量は45,000トンを突破し、2014年には52,315トンを記録しました。2015年から最新の2023年に至るまで、ガイアナは一貫して55,000トンの生産量を維持しています。この長期的な安定成長の背景には、農業政策の整備や、地元農家の支援を目的とした国際的なプログラムの導入が大きく寄与していると考えられます。
しかしながら、安定した数字を維持している現状にも、いくつかの課題があります。まず、生産性向上の一環として、持続可能な牧畜システムの導入が重要です。これは、環境負荷の軽減や資源の効率的な活用につながります。また、生産された牛乳の保管や輸送状況にも課題が見られることから、これらのインフラ整備も依然優先的な課題です。
さらに、ガイアナの地政学的背景を考慮すると、気候変動の影響を避けることは困難であり、干ばつや洪水が牧畜分野に与えるリスクを最小化するための対策が求められます。過去の急激な生産量低下の要因の一部として、自然災害の影響が大きかった可能性を考慮すれば、気候変動適応のための緊急プログラムの策定が急務となるでしょう。
将来に向けて、国際支援の受け入れや地方農家の収益性向上に注力することで、ガイアナの牛乳生産はさらなる発展が期待できるはずです。具体的には、技術革新による乳量の増加や規模の経済によるコスト削減の実現が必要となります。こうした取り組みは、国内はもちろん、近隣地域や関係する国々との貿易機会の増加にもつながるでしょう。
結論として、ガイアナの牛乳生産量の推移は、過去の課題を克服し安定期に入ったことを示しています。同時に、気候変動の影響やインフラ整備といった新たな課題にも対応する必要がある時期です。国や国際機関が農業開発と環境政策を結び付け、持続可能な農業成長を支援する取り組みを拡充することが、今後の優先課題となるでしょう。