Skip to main content

ガイアナのサトウキビ生産量推移(1961年~2023年)

最新の国際連合食糧農業機関(FAO)によるデータでは、ガイアナのサトウキビ生産量は、2023年に949,874トンと記録されました。これは、1961年の3,618,829トンから著しい減少を遂げ、同国内における農業セクターと経済に深刻な課題を提示しています。ピーク時の1971年の4,310,606トンからは一貫して減少傾向が続き、特に2010年代後半以降の減少幅が大きいことが特徴的です。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 949,874
-13.05% ↓
2022年 1,092,462
-14.4% ↓
2021年 1,276,258
4.86% ↑
2020年 1,217,154
8.76% ↑
2019年 1,119,149
-7.85% ↓
2018年 1,214,495
-34.67% ↓
2017年 1,859,037
-21.46% ↓
2016年 2,366,995
-15.93% ↓
2015年 2,815,616
-0.75% ↓
2014年 2,836,896
15.27% ↑
2013年 2,461,079
-9.19% ↓
2012年 2,710,243
-15.19% ↓
2011年 3,195,690
15.69% ↑
2010年 2,762,262
-0.14% ↓
2009年 2,766,000
-0.02% ↓
2008年 2,766,500
-10.74% ↓
2007年 3,099,200
4.17% ↑
2006年 2,975,000
-1.02% ↓
2005年 3,005,800
-19.72% ↓
2004年 3,744,200
10.69% ↑
2003年 3,382,500
-8.78% ↓
2002年 3,708,000
18.05% ↑
2001年 3,141,000
15.92% ↑
2000年 2,709,700
-16.49% ↓
1999年 3,244,600
9.39% ↑
1998年 2,966,000
-3.5% ↓
1997年 3,073,524
-4.6% ↓
1996年 3,221,892
0.39% ↑
1995年 3,209,253
1.92% ↑
1994年 3,148,895
3.04% ↑
1993年 3,056,000
-0.81% ↓
1992年 3,081,000
4.97% ↑
1991年 2,935,000
8.7% ↑
1990年 2,700,000
6.26% ↑
1989年 2,541,000
-14.44% ↓
1988年 2,970,000
-5.71% ↓
1987年 3,150,000
-6.38% ↓
1986年 3,364,825
2.89% ↑
1985年 3,270,290
1.77% ↑
1984年 3,213,380
-7.69% ↓
1983年 3,481,130
-10.89% ↓
1982年 3,906,700
-6.81% ↓
1981年 4,192,220
9.44% ↑
1980年 3,830,510
-2.63% ↓
1979年 3,934,150
-8.2% ↓
1978年 4,285,700
30.23% ↑
1977年 3,290,885
-18.53% ↓
1976年 4,039,353
11.23% ↑
1975年 3,631,668
-11.3% ↓
1974年 4,094,519
23.94% ↑
1973年 3,303,727
-8.81% ↓
1972年 3,622,903
-15.95% ↓
1971年 4,310,606
14.81% ↑
1970年 3,754,447
-10.15% ↓
1969年 4,178,422
17.45% ↑
1968年 3,557,703
-7.12% ↓
1967年 3,830,614
13.04% ↑
1966年 3,388,798
-2.05% ↓
1965年 3,459,687
13.87% ↑
1964年 3,038,191
-12.42% ↓
1963年 3,468,923
-5.48% ↓
1962年 3,670,000
1.41% ↑
1961年 3,618,829 -

ガイアナのサトウキビ生産量の推移を長期的に分析すると、大きく3つの段階に分けられます。第一の段階は1960年代から1970年代にかけての高水準かつ変動の多い時期です。この時期、1971年には生産量が4,310,606トンに達し、最高記録を更新しました。この高水準は、当時の国際市場におけるサトウキビ製品の需要の高まりと、ガイアナの農業インフラの拡張が背景にあります。

しかし、1980年代から1990年代にかけて第二の段階が始まり、生産量は減少傾向に転じました。1980年代後半には3,000,000トンを維持できなくなり、1989年には2,541,000トンにまで落ち込んでいます。この期間の減少の要因としては、プランテーションの老朽化、世界市場での価格変動、加えて国内の経済政策の不安定性が指摘されます。また、1980年代後半から1990年代の生産量減少は、同国の経済的な停滞を映し出したものであり、ガイアナのサトウキビ産業が抱える構造的な課題を浮き彫りにしました。

第三の段階である2000年代に入ると、一時期生産はやや回復する兆しを見せましたが、2010年代以降、再び急激な減少に転じました。この減少の背後には、まず気象変動の影響が挙げられます。ガイアナは地形的に洪水の影響を受けやすく、特に近年は降水量の増加や極端な気象条件による農地へのダメージが深刻です。また、疫病や土壌の劣化も生産性に負担をかけています。さらに、社会経済的な要因として、若年層の農業離れ、低賃金労働への依存、生産技術の近代化の遅れがサトウキビ産業の競争力低下に寄与しています。この結果、2023年にはついに1,000,000トンを下回る結果となり、1960年代の水準とは大きく隔たりを見せています。

一方で、ガイアナは石油開発などの新しい産業を多く展開しており、農業分野への投資が相対的に低下している状況も見逃せません。特に他国との比較では、ブラジルやインドのような高効率のサトウキビ栽培国との技術的な差が歴然としており、輸出競争力を大きく損なっています。また、アメリカや欧州諸国では代替甘味料などの普及が進み、従来のサトウキビ市場のシェア縮小も影響を与えています。

ガイアナにおけるサトウキビ生産の未来を考えると、政府と民間の協力による包括的な産業改革が求められます。まず、最新の栽培技術を導入するための国際機関からの技術援助や資金援助が重要です。例えば、耐気象性の高い品種の導入や農地の排水改善は優先されるべき課題です。また、脱炭素化の動きに合わせ、バイオエタノール生産のような再生可能エネルギーの方向性を含めた高付加価値の事業展開も視野に入れるべきです。さらに、農業従事者の労働環境改善や訓練を通じて、産業復興に携わる人材を育成することが不可欠です。

ガイアナは地政学的に重要な南米北部に位置し、輸出市場としてカリブ海地域や北米を狙うポテンシャルを持っています。気候変動や国際市場の需要変化に対応できる柔軟な政策を実施することで、同国のサトウキビ産業を回復・発展させることが可能です。そのためには、地域間協力や南米諸国との連携も活用し、持続可能な農業体制を構築する必要があります。サトウキビは単なる農産物にとどまらず、ガイアナの農村部の雇用維持や食品産業の基盤ともなり得る重要な資源です。詳しい戦略の策定と実行が急務であると言えるでしょう。