国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したガイアナのココナッツ生産量データによれば、ガイアナにおける生産量は1960年代から2023年までを通じて大きく変動してきています。生産量は過去60年間にわたり幾度かの急増と急減を見せており、1969年には60,805トンのピークを迎えましたが、その後の数十年間は減少傾向を続け、2018年には13,877トンと大きな低迷期を記録しました。ただし近年では、2023年に35,963トンまで回復を見せています。この推移には、天候や土地利用、経済政策、輸出需要の変化が深く影響している可能性があります。
ガイアナのココナッツ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 35,963 |
50.38% ↑
|
2022年 | 23,915 |
34.58% ↑
|
2021年 | 17,770 |
19.67% ↑
|
2020年 | 14,849 |
5.91% ↑
|
2019年 | 14,020 |
1.03% ↑
|
2018年 | 13,877 |
-12.09% ↓
|
2017年 | 15,786 |
-12.36% ↓
|
2016年 | 18,012 |
-10.41% ↓
|
2015年 | 20,104 |
-5% ↓
|
2014年 | 21,161 |
-64.9% ↓
|
2013年 | 60,280 |
0.04% ↑
|
2012年 | 60,256 |
-19.79% ↓
|
2011年 | 75,120 |
-2.12% ↓
|
2010年 | 76,745 |
-1.52% ↓
|
2009年 | 77,930 |
-0.85% ↓
|
2008年 | 78,600 |
11.79% ↑
|
2007年 | 70,313 |
-31.91% ↓
|
2006年 | 103,268 |
46.87% ↑
|
2005年 | 70,313 | - |
2004年 | 70,313 | - |
2003年 | 70,313 | - |
2002年 | 70,313 |
-19.64% ↓
|
2001年 | 87,500 |
11.32% ↑
|
2000年 | 78,600 |
9.17% ↑
|
1999年 | 72,000 |
26.76% ↑
|
1998年 | 56,800 |
-50.35% ↓
|
1997年 | 114,400 |
8.75% ↑
|
1996年 | 105,200 |
43.72% ↑
|
1995年 | 73,200 |
27.08% ↑
|
1994年 | 57,600 |
15.18% ↑
|
1993年 | 50,010 |
11.75% ↑
|
1992年 | 44,750 |
3.11% ↑
|
1991年 | 43,400 |
12.12% ↑
|
1990年 | 38,710 |
0.18% ↑
|
1989年 | 38,640 |
7.3% ↑
|
1988年 | 36,010 |
-0.22% ↓
|
1987年 | 36,090 |
-10.99% ↓
|
1986年 | 40,545 | - |
1985年 | 40,545 |
2% ↑
|
1984年 | 39,750 | - |
1983年 | 39,750 |
4.17% ↑
|
1982年 | 38,160 |
11.63% ↑
|
1981年 | 34,185 |
1.89% ↑
|
1980年 | 33,550 |
20.58% ↑
|
1979年 | 27,825 |
40% ↑
|
1978年 | 19,875 |
-21.13% ↓
|
1977年 | 25,200 |
-35.38% ↓
|
1976年 | 39,000 |
2.63% ↑
|
1975年 | 38,000 |
11.76% ↑
|
1974年 | 34,000 |
-44.35% ↓
|
1973年 | 61,094 |
-10.77% ↓
|
1972年 | 68,469 |
22.83% ↑
|
1971年 | 55,744 |
11.49% ↑
|
1970年 | 50,000 |
-17.77% ↓
|
1969年 | 60,805 |
10.14% ↑
|
1968年 | 55,206 |
52.26% ↑
|
1967年 | 36,257 |
-17.57% ↓
|
1966年 | 43,986 |
23.69% ↑
|
1965年 | 35,561 |
-21.45% ↓
|
1964年 | 45,272 |
-1.37% ↓
|
1963年 | 45,900 |
-7.04% ↓
|
1962年 | 49,376 |
-6.66% ↓
|
1961年 | 52,900 | - |
ガイアナは熱帯農業が盛んな国の一つとして、特にココナッツの生産が国内農業や輸出産業において重要な役割を果たしています。しかし、FAOのデータに基づく生産量の推移を見ると、その動向は安定を欠き、時期による大きな変動が特徴的です。
1960年代、ガイアナのココナッツ生産量は年間50,000トン台で推移していましたが、1969年には60,805トンという当時のピークを迎えました。その後は1970年代から1980年代にかけて、30,000トン台から40,000トン台という中程度の生産水準を維持しましたが、経済の構造変化や投資不足を背景に、1974年や1977年には34,000トンや25,200トンという低水準を記録しました。
1990年代に入ると状況が一変し、1996年から1997年にかけて105,200トンや114,400トンに達したことがわかります。これは新しい栽培技術の導入および輸出需要の増加などが影響を与えたと推測されます。しかし、1990年代終盤になると生産量は再び大幅に減少し、以降2000年代中頃には70,000トン台を推移する低成長の時期が続きました。
特に深刻なのは2014年以降の大幅な低下です。この年には21,161トン、そして2018年には13,877トンまで減少しました。この時期の減少は、気候変動による収穫量への悪影響、国内の農業インフラの弱体化、また輸出市場の競争激化が要因だった可能性があります。しかし、2020年代には状況が好転し、2023年には35,963トンと急速な回復を見せています。これは、政府の支援政策や農業技術の改善が奏功した可能性が考えられます。
課題として注目されるのは、ガイアナの農業生産が気候変動や地政学的リスクに影響されやすい点です。例えば、近年頻発する異常気象や洪水が農地に悪影響を与え、生産性の低下をもたらしました。また、農村部のインフラが脆弱であるため、世界市場への輸出能力が限られています。このような問題を解消するためには、生産技術の向上だけではなく、輸送インフラの整備や気候変動に適応した栽培方法の導入が不可欠です。
未来に向けた提案として、まず中小農家への技術支援と資金援助が重要です。これにより、気象ストレスや病害虫に強いココナッツ品種の導入が進むでしょう。また、国内および近隣諸国との協力体制を強化し、効率的な輸出ルートを確保することが生産拡大の鍵となります。さらに、持続可能な農業を推進するため、環境にやさしい農業方法を奨励し、既存の農地利用を最適化することが求められる場面も多いでしょう。
結論として、ガイアナのココナッツ生産量は近年回復基調にあるものの、依然として気候変動や国際競争、構造的な課題に直面しています。国や国際機関は、これらの問題解決に向けた具体的な対策を講じることで、農業の持続的な発展と生産の安定化に寄与することが期待されます。