Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の2024年最新データによると、ガイアナのパイナップル生産量は近年飛躍的な成長を遂げています。特に2015年以降、10,000トンを大幅に上回る数値を記録し、2023年には35,576トンに達しました。一方、20世紀中頃から2000年代初期までは、生産量が非常に低い水準にとどまり、波動的な増減が見られました。このデータは、ガイアナの農業政策や地政学的背景、自然環境が生産量に与えた影響を具体的に示しています。
ガイアナのパイナップル生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 35,576 |
4.51% ↑
|
2022年 | 34,040 |
3.6% ↑
|
2021年 | 32,856 |
-12.5% ↓
|
2020年 | 37,550 |
1.21% ↑
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2019年 | 37,100 |
6.39% ↑
|
2018年 | 34,873 |
105.98% ↑
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2017年 | 16,930 |
-38.51% ↓
|
2016年 | 27,534 |
42.97% ↑
|
2015年 | 19,259 |
306.15% ↑
|
2014年 | 4,742 |
-22.43% ↓
|
2013年 | 6,113 |
101.42% ↑
|
2012年 | 3,035 |
22.78% ↑
|
2011年 | 2,472 |
-31% ↓
|
2010年 | 3,583 |
43.31% ↑
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2009年 | 2,500 |
90.84% ↑
|
2008年 | 1,310 |
0.69% ↑
|
2007年 | 1,301 |
-57.16% ↓
|
2006年 | 3,037 |
90.29% ↑
|
2005年 | 1,596 |
-41.5% ↓
|
2004年 | 2,728 |
64.04% ↑
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2003年 | 1,663 |
-63.04% ↓
|
2002年 | 4,500 |
1.6% ↑
|
2001年 | 4,429 |
39.28% ↑
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2000年 | 3,180 |
27.2% ↑
|
1999年 | 2,500 |
108.33% ↑
|
1998年 | 1,200 |
-82.14% ↓
|
1997年 | 6,719 |
-6.68% ↓
|
1996年 | 7,200 |
-30.77% ↓
|
1995年 | 10,400 |
2.97% ↑
|
1994年 | 10,100 |
6.32% ↑
|
1993年 | 9,500 |
7.95% ↑
|
1992年 | 8,800 |
35.38% ↑
|
1991年 | 6,500 |
-14.47% ↓
|
1990年 | 7,600 |
-32.14% ↓
|
1989年 | 11,200 |
13.13% ↑
|
1988年 | 9,900 |
25.32% ↑
|
1987年 | 7,900 |
49.06% ↑
|
1986年 | 5,300 |
43.24% ↑
|
1985年 | 3,700 |
2.78% ↑
|
1984年 | 3,600 |
58.73% ↑
|
1983年 | 2,268 |
19.37% ↑
|
1982年 | 1,900 |
2.15% ↑
|
1981年 | 1,860 | - |
1980年 | 1,860 |
3.56% ↑
|
1979年 | 1,796 |
-0.22% ↓
|
1978年 | 1,800 |
-5.51% ↓
|
1977年 | 1,905 |
5.02% ↑
|
1976年 | 1,814 |
11.08% ↑
|
1975年 | 1,633 |
20.07% ↑
|
1974年 | 1,360 |
-33.37% ↓
|
1973年 | 2,041 | - |
1972年 | 2,041 |
21.71% ↑
|
1971年 | 1,677 |
23.22% ↑
|
1970年 | 1,361 |
0.67% ↑
|
1969年 | 1,352 |
6.37% ↑
|
1968年 | 1,271 |
-27.12% ↓
|
1967年 | 1,744 |
5.76% ↑
|
1966年 | 1,649 |
12.87% ↑
|
1965年 | 1,461 |
-21.54% ↓
|
1964年 | 1,862 |
20.36% ↑
|
1963年 | 1,547 |
54.7% ↑
|
1962年 | 1,000 | - |
1961年 | 1,000 | - |
ガイアナのパイナップル生産量は、1961年の1,000トンから始まり、その後2000トン未満の範囲内で長期間変動を示していましたが、1980年代後半には強い増加傾向が見られ、1989年には11,200トンにまで到達しました。この増加は、農業技術の向上や国際市場への輸出機会の拡大が主な要因であると考えられます。しかし、1990年代には再び不安定な動きが見られ、1998年にはわずか1,200トンにまで急減しました。この急激な減少は、地域的な気候変動や政治的・経済的動揺が影響した可能性があります。
2000年代以降、ガイアナのパイナップル生産は新たな安定期を迎えるも、依然として波を描く動きが続きました。特筆すべき点として、2015年には19,259トンと飛躍的な成長を遂げ、2018年以降には30,000トンを超える水準を維持しています。この近年の大幅な成長は、政府の農業セクター強化政策やインフラへの投資、国際市場への輸出戦略の成功を反映しているといえます。
一方で、こうした成長を達成する中で、ガイアナは幾つかの課題にも直面しています。気候変動による降水量や気温の変化が農業生産に重大なリスクを与えており、とりわけハリケーンや干ばつといった自然災害が果樹に多大な影響を及ぼしています。これに加え、農地の適正管理や輸出に至る物流インフラの整備がまだ完全ではなく、継続的な改善が求められています。
国際的に見れば、例えば中国やインドなどのアジア諸国は、近年急速に農業セクター全体を進化させています。それに比べると、ガイアナの農業インフラや技術の進展はまだ部分的であり、世界市場で競争力を発揮するには多くの努力が必要です。他の南米諸国であるコスタリカやブラジルと比較しても、国内消費を超えた輸出能力が依然として限定的であるといえるでしょう。
また、地政学的なリスクも無視できない要因です。たとえば、隣国との領土問題や貿易ルートに関連する緊張が、輸出量に影を落とす可能性があります。同時に、新型コロナウイルスのような感染症の流行は、一時的に物流ルートや労働力確保に困難を生じさせる要因となっています。
これらの課題に対処するためには、いくつかの具体的な対策が考えられます。気候変動対応型の農業技術の導入を進めることが急務です。例えば、降水量が減少しても対応できる灌漑設備の構築は、生産量の安定化につながります。また、農業従事者への教育や最新技術の普及を加速させるための支援政策が重要となるでしょう。さらに、国際市場への輸出拡大に向けたブランド構築や物流インフラの強化も欠かせません。
結論として、ガイアナのパイナップル生産量は近年の顕著な成長を示しているものの、気候変動やインフラ問題などの持続可能性を脅かす課題に直面しています。これらに抜本的に対応できる政策と国際的な協力体制を築くことで、ガイアナはさらなる発展と世界市場における地位の向上を目指すことが可能となるでしょう。