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ベナンの牛乳生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新した最新データによると、ベナンの牛乳生産量は1961年の4,824トンから、2023年には125,257トンに大幅な増加を見せています。特に1991年に急激な増加を記録し、それ以降は概ね安定した増加傾向が続いています。ただし、2020年には新型コロナウイルス感染症の影響が推察される減少が見られる一方で、2021年以降は回復基調が伺えます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 125,257
9.27% ↑
2022年 114,626
9.27% ↑
2021年 104,897
9.27% ↑
2020年 95,995
-23.29% ↓
2019年 125,146
2.6% ↑
2018年 121,975
2.58% ↑
2017年 118,903
2.61% ↑
2016年 115,881
2.6% ↑
2015年 112,950
2.62% ↑
2014年 110,066
2.62% ↑
2013年 107,254
2.56% ↑
2012年 104,576
2.57% ↑
2011年 101,959
2.64% ↑
2010年 99,334
2.61% ↑
2009年 96,807
2.57% ↑
2008年 94,379
2.58% ↑
2007年 92,001
2.6% ↑
2006年 89,673
2.84% ↑
2005年 87,196
2.45% ↑
2004年 85,110
2.5% ↑
2003年 83,034
2.25% ↑
2002年 81,210
2.54% ↑
2001年 79,199
3.76% ↑
2000年 76,328
-2.36% ↓
1999年 78,176
3.55% ↑
1998年 75,497
1.42% ↑
1997年 74,437
2.52% ↑
1996年 72,607
13.69% ↑
1995年 63,862
-11.3% ↓
1994年 72,000
9.1% ↑
1993年 65,995
0.01% ↑
1992年 65,990
3.52% ↑
1991年 63,748
308.64% ↑
1990年 15,600
14.29% ↑
1989年 13,650
-9.48% ↓
1988年 15,080
1.75% ↑
1987年 14,820 -
1986年 14,820
2.56% ↑
1985年 14,450
-0.76% ↓
1984年 14,560
10.3% ↑
1983年 13,200
2.04% ↑
1982年 12,936
1.99% ↑
1981年 12,684
2.03% ↑
1980年 12,432
10.21% ↑
1979年 11,280
1.62% ↑
1978年 11,100
11.26% ↑
1977年 9,977
-6.58% ↓
1976年 10,680
-1.11% ↓
1975年 10,800
14.83% ↑
1974年 9,405
10% ↑
1973年 8,550
0.53% ↑
1972年 8,505
5.19% ↑
1971年 8,085
-0.7% ↓
1970年 8,142
-4.03% ↓
1969年 8,484
7.77% ↑
1968年 7,872
-0.61% ↓
1967年 7,920
4.2% ↑
1966年 7,601
12.78% ↑
1965年 6,740
14.3% ↑
1964年 5,897
6.22% ↑
1963年 5,551
6.92% ↑
1962年 5,192
7.63% ↑
1961年 4,824 -

ベナンの牛乳生産量データを見ると、大きな特徴として3つの段階的な変化が確認できます。最初の時期は1960年代から1980年代半ばにかけての緩やかな増加期です。この間、主に技術の発展や牧畜業の拡大に伴い、生産量が徐々に増えていると考えられます。特に1984年には14,560トンに達し、安定成長を遂げていました。しかし1989年には13,650トンに減少しており、この要因として気候変動の影響や地域の経済的不安定性などが挙げられるかもしれません。

次に、1990年代初頭には劇的な生産量の増加が記録されています。1991年に63,748トン、1994年には72,000トンと大幅な伸びを見せています。この急増は、農牧業政策の改革や外部からの援助、さらには畜産業の集約化が推進された結果である可能性があります。ただし同じ1990年代中盤に63,862トンへの一時的な縮小が見られ、政策や生産システムの変動期であったことも示唆されています。

2000年代以降は、ほぼ一貫して生産量が拡大しています。2018年以降には年間約3,000トンから4,000トン規模で増加し、2023年には125,257トンに至りました。この成長は技術革新、農業インフラの改善、および地域内外での乳製品需要の拡大と密接に関係があります。一方2020年には95,995トンと、顕著な減少が見られましたが、これは新型コロナウイルス感染症の流行による供給チェーンの寸断や物流の制約、労働力不足が直接的な要因だと考えられます。その後、2021年から回復が見られ、2023年には過去最高を達成しました。

しかしながら、課題も少なくありません。現在、ベナンの牛乳生産は国全体の需要を賄うには十分とは言えず、多くが輸入品に依存しています。さらに、気候変動による干ばつや洪水、適切な牧草地の不足などが、今後の生産拡大に大きなリスクを与える要因になり得ます。また、農家の技術的な支援やインフラ整備が不完全であることも、生産の停滞につながる可能性があります。

これらの問題に対処するためには、いくつかの具体的な方策を講じる必要があります。例えば、地域ごとの気候に適した牧畜技術の普及や、気候変動に強い牧草地の整備が重要です。また、生乳の加工施設や保冷輸送システムを拡充することで国内の供給チェーンの効率を高めることができます。これには政府の公共投資だけでなく、民間セクターとのパートナーシップや国際機関からの援助も重要な役割を果たすでしょう。

さらに、ベナンだけでなく近隣諸国との地域協力も鍵となります。西アフリカ地域では農牧業が重要な産業であり、共通の問題に対して情報共有や技術移転を進めることで生産効率の向上が期待されます。地政学的には、地域の食糧安全保障を高めることで紛争や難民流出のリスクを低減する効果もあります。

以上のように、ベナンの牛乳生産は着実な成長を遂げているものの、内外の需要増加に対応するためには、供給能力をさらに拡大し、安定化する必要があります。これには気候や資源リスクを考慮した長期的なビジョンが不可欠です。国際農業機関と連携し、持続可能な牧畜モデルの導入および実施を加速させることが、今後ベナンが直面する課題解決の一助となると考えられます。