Skip to main content

ベナンのトマト生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(Food and Agriculture Organization)が発表した最新データによると、ベナンのトマト生産量は過去60年以上で大きな変動を見せています。1970年代から1980年代には比較的緩やかな上昇を示し、1990年以降は急激な生産量の増加が確認されます。その後、一時的に減少する時期はあるものの、2000年以降に再び増加傾向が現れ、2014年の過去最高の400,572トンを記録しました。しかし、その後は年によって減少と増加を繰り返しつつ、近年ではおおむね横ばいの傾向にあります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 279,466
4.77% ↑
2022年 266,750
0.02% ↑
2021年 266,685
2.14% ↑
2020年 261,103
-27.52% ↓
2019年 360,250
42.31% ↑
2018年 253,150
-21.99% ↓
2017年 324,506
-3.25% ↓
2016年 335,412
10.37% ↑
2015年 303,893
-24.14% ↓
2014年 400,572
71.98% ↑
2013年 232,912
7.8% ↑
2012年 216,052
31.96% ↑
2011年 163,720
-12.4% ↓
2010年 186,900
17.52% ↑
2009年 159,033
-13.82% ↓
2008年 184,526
18.21% ↑
2007年 156,104
4.85% ↑
2006年 148,878
3.88% ↑
2005年 143,312
-0.64% ↓
2004年 144,235
1.71% ↑
2003年 141,815
5.19% ↑
2002年 134,820
14.68% ↑
2001年 117,563
-15.56% ↓
2000年 139,231
11.92% ↑
1999年 124,401
16.9% ↑
1998年 106,415
-16.39% ↓
1997年 127,277
25.07% ↑
1996年 101,765
-6.76% ↓
1995年 109,142
17.57% ↑
1994年 92,829
28.03% ↑
1993年 72,507
-10.13% ↓
1992年 80,680
-44.06% ↓
1991年 144,235
110.59% ↑
1990年 68,491
3.27% ↑
1989年 66,323
-8.91% ↓
1988年 72,809
50.18% ↑
1987年 48,481
-34.51% ↓
1986年 74,031
61.08% ↑
1985年 45,958
43.38% ↑
1984年 32,054
-3.24% ↓
1983年 33,127
31.1% ↑
1982年 25,268
-26.75% ↓
1981年 34,497
1.57% ↑
1980年 33,965
-19.81% ↓
1979年 42,355
84.11% ↑
1978年 23,005
38% ↑
1977年 16,670
-7.95% ↓
1976年 18,110
-16.4% ↓
1975年 21,662
23.85% ↑
1974年 17,490
-12.2% ↓
1973年 19,920
97.62% ↑
1972年 10,080
-37.48% ↓
1971年 16,123
-13.32% ↓
1970年 18,600
104.28% ↑
1969年 9,105
8.34% ↑
1968年 8,404
4.68% ↑
1967年 8,028
28.02% ↑
1966年 6,271
-43.76% ↓
1965年 11,151
45.38% ↑
1964年 7,670
35.11% ↑
1963年 5,677
30.54% ↑
1962年 4,349
28.29% ↑
1961年 3,390 -

ベナンのトマト生産量の推移を振り返ると、いくつかの重要な特徴が浮かび上がります。1960年代から1970年代初頭にかけて緩やかな増加を見せたトマト生産量は、その後の1980年代には倍増に近い急激な成長を見せています。この動きは、農業技術の改良や国内外の食料需要の増加に伴うものと推察されます。また、1990年代以降では、生産量が10万トン前後から20万トン台へと移行しました。特に際立つのは2014年で、ベナンのトマト生産量が過去最高の400,572トンに達し、この時期には輸出市場への積極的な進出や国内消費の急増が背景にあると考えられます。

しかし、2014年以降は顕著な減少が見られ、2015年から2018年にかけての短期間では25万トン前後まで落ち込みました。この要因の一つとして、新型コロナウイルスによるパンデミックや気候変動による天候不順が挙げられます。これに加え、小規模農家が多いベナンにおいて、灌漑設備や肥料の不足が生産の制約となっていることも要因として無視できません。2020年から2022年にかけても、生産量は約26万トンで横ばいのまま推移しており、大きな成長傾向には至っていません。

国際的に見れば、トマトは主に地中海地域(例:イタリアやスペイン)やアメリカ、中国、インドなどで大量生産され、これらの国々が世界市場をリードしています。これらの国々と比べるとベナンのトマト生産量は相対的に少なく、輸出シェアも限定的です。ただし、西アフリカ地域における生産国としては、隣国ナイジェリアなどと共に重要な位置を占めています。この地域特有の降水量や気温のパターンがトマト栽培に適している一方、インフラの不足や農業支援政策が十分ではない点が競争力を制限しています。

地政学的に見ても、ベナンは安定した経済環境を保持していますが、近隣諸国が抱える安全保障上の課題(例:テロや武力紛争)に伴う輸送経路の障害が、農産物の輸出や市場拡大を妨げる要因となることがあります。また、気候変動による長期的な干ばつや降水量の変動が農業生産全般には深刻な影響を及ぼす可能性が高く、特に耐熱性や高収量のトマト品種の導入が急務です。

今後に向け、ベナンのトマト産業をさらなる発展に導くためには、いくつかの具体的な対策が必要です。第一に、スケールメリットを生かせるよう、小規模農家の協同組合を組織化し、近代的な灌漑設備や最新農業技術へのアクセスを拡大することは非常に重要です。第二に、農作物の生産だけでなく加工産業(例:トマトペーストやケチャップ製造)を国内で発展させることで付加価値を生み出し、雇用の創出につなげることが挙げられます。さらに、長期的には気候変動への対応力を高めるため、国際的な技術援助を活用した持続可能な農業システムの構築が欠かせません。

結論として、ベナンのトマト生産は過去数十年で着実に成長してきましたが、近年の停滞を乗り越えるには現状の課題への対処が不可欠です。この課題を克服することで、ベナンは地域および国際市場での競争力をさらに高め、西アフリカ全体の食品安全保障にも貢献できる可能性を秘めています。継続的な政府支援、国際協力、および地域間の需給調整が、この目標を達成する鍵となるでしょう。