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ベナンのサトウキビ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ベナンのサトウキビ生産量は、1985年から2023年までの間で大きな波を描きながら増加傾向を示してきました。特に1980年代後半から2000年代前半にかけて急激な上昇が見られ、その後は減少と増加を繰り返しつつ、2015年に96,000トンという高い生産量を記録しました。その後はやや安定し、直近の2022年と2023年には約80,000トンの生産量が維持されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 80,831
-0.09% ↓
2022年 80,907
7.16% ↑
2021年 75,500 -
2020年 75,500 -
2019年 75,500 -
2018年 75,500 -
2017年 75,500
-13.22% ↓
2016年 87,000
-9.38% ↓
2015年 96,000
28% ↑
2014年 75,000
15.38% ↑
2013年 65,000
-10.96% ↓
2012年 73,000
43.14% ↑
2011年 51,000
-41.38% ↓
2010年 87,000
24.45% ↑
2009年 69,908
8.06% ↑
2008年 64,696
60.24% ↑
2007年 40,375
-38.93% ↓
2006年 66,116
2.78% ↑
2005年 64,328
-6.16% ↓
2004年 68,549
-9.09% ↓
2003年 75,405
15.35% ↑
2002年 65,368
-10.93% ↓
2001年 73,389
40.91% ↑
2000年 52,083
19.73% ↑
1999年 43,500
-12.94% ↓
1998年 49,965
22.07% ↑
1997年 40,931
38.31% ↑
1996年 29,594
83.36% ↑
1995年 16,140
-53.29% ↓
1994年 34,555
1.44% ↑
1993年 34,063
-10.3% ↓
1992年 37,974
48.92% ↑
1991年 25,500
-6.16% ↓
1990年 27,173
9.33% ↑
1989年 24,853
5.28% ↑
1988年 23,606
121.44% ↑
1987年 10,660
31.93% ↑
1986年 8,080
-15.13% ↓
1985年 9,520 -

ベナンのサトウキビ生産量推移は、国内農業の技術発展や気候変動、経済政策、国際的な需要変動など、さまざまな要因の影響を受けています。データを見ると、1985年時点での生産量が約9,520トンと非常に小規模だったのに対し、2000年には52,083トンにまで増加し、2015年には96,000トンという過去最高水準が記録されています。この伸びは、農業技術の改善や栽培面積の拡大、さらには国際的な砂糖需要の高まりによるものと考えられます。サトウキビは砂糖やバイオエタノールなどさまざまな製品の原料になるため、輸出市場での潜在的な価値が高い作物です。

しかし、データからは生産量の一定しない時期も確認できます。例えば、1995年に16,140トンに急減したり、2007年には40,375トンと減少したりしています。これらの減少は、気候変動による干ばつや洪水、農業インフラの不足、市場価格の変動など、内外の多様な要因が複合的に影響した結果とみられます。これらの課題は単なる国内農業の問題にとどまらず、地域あるいは西アフリカ全体の農業政策とも関わっています。

近年の2022年および2023年の生産量は、それぞれ80,907トン、80,831トンと安定しており、かつ過去平均を大きく上回る水準にあります。この背景には、比較的安定した気候条件と政府の農業支援政策が影響していると考えられます。しかしながら、中国やインドなど、サトウキビ生産大国の状況と比較すると、ベナンの生産量は依然として低い水準に位置しています。例えば、インドは年間3億トンを超える生産を誇り、中国も1億トン以上を生産しています。この差から、ベナンが国際市場で競争力を高めるためには、さらなる農業技術の改良やインフラの整備が必要であるといえます。

また、地政学的背景も重要な影響を及ぼしています。ベナンは西アフリカに位置し、土地が肥沃である反面、収穫後の物流インフラが未整備な点が課題です。域内の地域衝突や政情不安が農産物輸出に与えるリスクも無視できません。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響で一時的に輸出市場が閉鎖され、市場の不確実性が増した点も一部の年次データに影響を及ぼしている可能性があります。

今後を見据えると、輸出用インフラの整備とサトウキビの付加価値を高める戦略が重要です。例えば、国内での加工施設の設立や、バイオ燃料分野への参入を推進することで、農民の収入向上と経済全体への寄与が期待されます。また、気候変動への対応として、干ばつ耐性のある品種の開発や効率的な灌漑技術の導入が急務です。さらに、地域的な農業協力の強化も有効です。同じくサハラ以南アフリカ地域でサトウキビを栽培する国々との連携により、技術や資材の共有が進む可能性があります。

結論として、ベナンにおけるサトウキビ生産は、1985年以降着実に増加基調にある一方で、その成長を安定させるための課題が依然として存在します。物流インフラの整備、気候条件への対策、国際市場での競争力強化を重点的に取り組むことで、より持続可能かつ効率的な農業振興が期待されます。このためには政府だけでなく、国際援助機関や民間セクターとの連携が不可欠です。