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ベナンのサトイモ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月更新の最新データによると、ベナンにおけるサトイモの生産量は、1960年代から長期的に見ると大幅に減少しています。1961年の生産量8,000トンから、2022年には2,352トンに低下しており、特に1980年代には1,000トンを下回る年も見られました。その後、生産量が一定の回復傾向を示していますが、依然として過去のピーク時には戻っていません。この変化には、農業環境の変化や社会的・経済的な要因などが影響している可能性があります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 3,515
49.45% ↑
2022年 2,352
22.1% ↑
2021年 1,926
4.85% ↑
2020年 1,837
0.3% ↑
2019年 1,831
71.31% ↑
2018年 1,069
-37.57% ↓
2017年 1,712
8.52% ↑
2016年 1,578
-3.42% ↓
2015年 1,634
4.45% ↑
2014年 1,564
-39.93% ↓
2013年 2,604
-3.91% ↓
2012年 2,710
44.53% ↑
2011年 1,875
27.9% ↑
2010年 1,466
-43.11% ↓
2009年 2,577
-12.14% ↓
2008年 2,933
-8.37% ↓
2007年 3,201
51.42% ↑
2006年 2,114
-11.92% ↓
2005年 2,400
-19.49% ↓
2004年 2,981
-0.73% ↓
2003年 3,003
-6.36% ↓
2002年 3,207
4.12% ↑
2001年 3,080
-12.45% ↓
2000年 3,518
-22.7% ↓
1999年 4,551
21.17% ↑
1998年 3,756
1.68% ↑
1997年 3,694
-0.83% ↓
1996年 3,725
22.94% ↑
1995年 3,030
-19.78% ↓
1994年 3,777
18.03% ↑
1993年 3,200
18.52% ↑
1992年 2,700
2.04% ↑
1991年 2,646
-22.5% ↓
1990年 3,414
51.8% ↑
1989年 2,249
-2.22% ↓
1988年 2,300
45.02% ↑
1987年 1,586
-10.7% ↓
1986年 1,776
55.65% ↑
1985年 1,141
19.23% ↑
1984年 957
172.65% ↑
1983年 351
-64.9% ↓
1982年 1,000
-50% ↓
1981年 2,000
-33.33% ↓
1980年 3,000
-25% ↓
1979年 4,000
-20% ↓
1978年 5,000
-16.67% ↓
1977年 6,000
-14.29% ↓
1976年 7,000
-6.67% ↓
1975年 7,500
-5.06% ↓
1974年 7,900
-0.74% ↓
1973年 7,959
33.76% ↑
1972年 5,950
-8.53% ↓
1971年 6,505
-55.2% ↓
1970年 14,520
10.84% ↑
1969年 13,100
19.09% ↑
1968年 11,000
-14.73% ↓
1967年 12,900
72% ↑
1966年 7,500
17.19% ↑
1965年 6,400
-32.63% ↓
1964年 9,500
-48.37% ↓
1963年 18,400
5.75% ↑
1962年 17,400
117.5% ↑
1961年 8,000 -

ベナンのサトイモ生産量データは、同国農業の歴史的変遷や社会的背景を反映しています。初期の1960年代には比較的高い生産量が見られましたが、1964年以降、急激な減少が続きました。その主要な理由のひとつとして、農地の利用変化や気候条件の悪化が挙げられます。特に、1970年代後半から1980年代にかけて、生産量の急激な収縮が観測され、1983年には351トンという最低水準を記録しました。

その後、1990年代にかけて、生産量は徐々に持ち直しました。しかし、安定的な回復には至らず、2000年代においても年間生産量は数千トンに留まりました。この不安定なパターンには、社会経済的な要因が深く関係しています。たとえば、輸出向け作物の選択が優先され、サトイモのような国内消費向け作物の生産が軽視された可能性があります。また、気候変動の影響や農業政策の立案・実行における課題も影響を及ぼしていると考えられます。

近年の2020年代では、2022年の生産量が2,352トンまで回復しているなど、微増の兆しも見られています。この増加は、国内で農業部門の改善が進められていること、あるいはサトイモの需要が地域レベルで再認識され始めたことによる可能性があります。とはいえ、気候変動による降雨パターンの変化や持続可能な農業技術の普及の不足といった課題が依然として残っています。

一方、地政学的背景も無視できません。ベナンを含めた西アフリカ地域における政情不安や経済格差は、農業分野にも直接的な悪影響を及ぼす要因となっています。例えば、周辺諸国での紛争や不安定な市場環境は、種子供給の不足や価格安定性の欠如を引き起こし、サトイモのような重要作物にも影響を与える可能性があります。

ベナン政府および国際的な協力機関が取り組むべき未来への対策として、まず第一に、サトイモを含む伝統的作物への支援を強化することが挙げられます。具体的には、持続可能な農業技術(例:適切な潅漑技術や自然災害に強い作物の導入)の普及を促進することが重要です。また、地元農民への技術教育の強化や、市場価格の安定を目指す政策も不可欠です。さらに、地域間での協力体制を構築し、各国間での種子・技術の共有を推進する仕組みも有効です。

気候変動の影響を軽減するためには、気象データの精密な収集・管理を基盤とした早期警告システムの導入も効果をもたらすと考えられます。また、農業分野への公的支援の拡大や、国際援助による資金提供も重要な要素です。

この分析から導き出される結論として、ベナンのサトイモ生産は、過去の減少傾向から完全に抜け出せていないものの、近年では若干の回復傾向が見られます。しかし、依然として重要な課題が残されており、法制度、技術革新、国際的な協力の枠組みなど、複合的な対策が必要です。この問題を解決するためには、将来的な農業政策の方向性を明確化し、地域住民の積極的な協力を得ることが鍵となるでしょう。