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ルワンダの牛乳生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ルワンダの牛乳生産量は、1961年の約17,300トンから2023年の182,648トンまで大幅に増加してきました。生産量は長い期間を通じ、地政学的危機や気候要因などで変動がありましたが、近年にかけて全体的には回復傾向が見られています。特に21世紀以降は農業技術の進歩や政策の改善によって、安定した生産量増加が実現されてきました。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 182,648
0.69% ↑
2022年 181,401
-3.49% ↓
2021年 187,952
-5.35% ↓
2020年 198,581
10.87% ↑
2019年 179,106
6.46% ↑
2018年 168,244
8.2% ↑
2017年 155,493
-3.31% ↓
2016年 160,809
-7.77% ↓
2015年 174,351
17.04% ↑
2014年 148,970
-20.76% ↓
2013年 188,000
1.08% ↑
2012年 186,000
1.09% ↑
2011年 184,000
6.76% ↑
2010年 172,345
18.86% ↑
2009年 145,000 -
2008年 145,000
-5.29% ↓
2007年 153,100
1.77% ↑
2006年 150,438
25.37% ↑
2005年 120,000
-1.17% ↓
2004年 121,417
7.96% ↑
2003年 112,463
0.41% ↑
2002年 112,000
-11.04% ↓
2001年 125,900
16.68% ↑
2000年 107,905
-1.9% ↓
1999年 110,000
12.24% ↑
1998年 98,000
15.29% ↑
1997年 85,000
-2.3% ↓
1996年 87,000
14.65% ↑
1995年 75,883
-5.15% ↓
1994年 80,000
-5.88% ↓
1993年 85,000
-4.28% ↓
1992年 88,800
1.31% ↑
1991年 87,650
6.85% ↑
1990年 82,028
-2.18% ↓
1989年 83,857
2.6% ↑
1988年 81,730
-2.72% ↓
1987年 84,014
-3.43% ↓
1986年 87,000
16% ↑
1985年 75,000
17.19% ↑
1984年 64,000
-4.48% ↓
1983年 67,000
-4.29% ↓
1982年 70,000
7.69% ↑
1981年 65,000
-4.41% ↓
1980年 68,000
36% ↑
1979年 50,000 -
1978年 50,000
25% ↑
1977年 40,000
33.33% ↑
1976年 30,000
42.86% ↑
1975年 21,000
-16% ↓
1974年 25,000
-3.03% ↓
1973年 25,780
8.73% ↑
1972年 23,710
-8.03% ↓
1971年 25,780
-13.17% ↓
1970年 29,690
22.18% ↑
1969年 24,300
7.05% ↑
1968年 22,700
5.58% ↑
1967年 21,500
2.38% ↑
1966年 21,000
11.7% ↑
1965年 18,800
2.73% ↑
1964年 18,300
1.67% ↑
1963年 18,000
12.5% ↑
1962年 16,000
-7.51% ↓
1961年 17,300 -

ルワンダの牛乳生産量は1960年代から長期的な成長傾向が見られますが、その過程でさまざまな要因が生産量に影響を与えてきました。初期の生産量は1万トン台に留まっていましたが、1970年代には農業開発の進展や畜産業の導入が進み、生産量が顕著に増加しました。例えば、1976年には30,000トン、1977年には40,000トン、1979年には50,000トンという急成長が記録されています。

1980年代は全体的に増加のペースが安定していましたが、1985年以降90,000トンを超えることも見られました。しかし、ルワンダの歴史的背景として1990年代に発生した内戦やジェノサイドの影響で生産量は激減し、1995年には75,883トンまで落ち込んでいます。その後、政治的な安定が戻った中で復興が進み、1999年には110,000トンを超え、2000年代にかけて持続的な成長を示しました。

2006年以降、一部の年で急激な増加が見られます。例えば、2006年には150,438トンを記録し、2010年には172,345トンに達しています。これらの増加は、政府が進めた酪農政策の成功や、家畜の衛生管理の向上、技術革新の導入に起因しています。一例として、ルワンダ政府が取り組んだ「One Cow Per Poor Family(貧困家庭へ1頭の牛を支給)」という政策が、農村地域の酪農生産を底上げし、栄養改善と収入向上を同時に達成しました。

しかし、2014年以降になると不安定さが再び目立つようになり、168,244トンを記録した2018年以降は緩やかな増減が続いています。気候変動の影響や人口増加に伴う生産負荷、さらには2020年に始まる新型コロナウイルスのパンデミックが牛乳供給網に影響を及ぼしたことで、2021年以降では急速な減少も観測されました。2023年時点では182,648トンと回復の兆しを見せていますが、地域全体としては依然として課題が残ります。

ルワンダ特有の課題として、気候変動に伴う干ばつや社会資本の不足などが挙げられます。さらに、農村地域における基盤整備の遅れが、生産効率の向上を阻んでいる側面があります。将来的にこの状況を改善するためには、水資源管理を地区単位で強化し、持続可能な農業技術をさらに導入する必要があります。また、牛の品種改良を進め、乳量の多い品種を導入することで全体的な収量増加を図ることが求められます。

地政学的な観点から見ると、ルワンダの牛乳生産量は東アフリカ全体にも重要な影響を持っています。酪農製品の輸出が可能となることで、地域間経済協力が促進される可能性があります。ただし、隣国との関係が政治的に緊張している場合は、貿易ルートの確保が課題となるでしょう。

結論として、牛乳生産の安定化と増産を図るためには、国際的な協力も含めた政策の推進が重要です。世界銀行や国際連合の支援を受けながら新しい農業技術を広く普及させることが実現されれば、ルワンダの酪農業全体の発展はさらに進み、地域住民の生活基盤の向上につながると期待されます。このほか、国民の栄養改善を目的とした食品安全政策の実施も並行して推進するべきです。